飛行機事故のいちばんの原因ってなんだと思いますか? これは実はMitigationだとのことです。 Mitigationとは何かといえば、「柔らかい表現」。
こういうことです。民間航空会社の大きい飛行機は基本的に二人で操縦するようにできています。飛行機が飛ぶときはパイロットは3人いて、地位が高い順からキャプテン、ファーストオフィサー、フライトエンジニアと呼ばれます。
普段のように何も問題がないときはいいのですが、悪天候、疲れ、スケジュールの遅れ、機材の不調などが重なると、大事故に繋がる可能性が高まります。このような非常事態で、ファーストオフィサー以下が、どれだけ目上のキャプテンに対して、ダイレクトに話せるか。つまりキャプテンのやり方が間違っていると感じたときに、どれだけはっきりとそれを伝えられるかが鍵だということです。
アメリカだとか西洋の国では、目下、目上という境目がアジアの国ほどは大きくありません ので、ファーストオフィサーがキャプテンに疑問を投げかけるのはそんなに難しいことではないけれど、日本や韓国などではなかなかそうも行かないということは、想像に容易いことです。
飛行機事故はファーストオフィサーが操縦しているときのほうが、キャプテンが操縦しているときよりも断然少ないそうですが、これも上のようなことを考えると納得の行くことです。
ここまで読んで、嘘っぽいなあ、眉唾だなあと思いましたか?この本によると、この「柔らかい言い方」を無くすことは過去15年間の民間航空会社の重要課題だそうで、大きな航空会社はどこも「Crew Resources Management (クルー人事マネージメント)」のトレーニングを行っているそうです。そこでは地位が低いクルーが目上のクルーにはっきりと自信を持ってコミュニケーションできるように研修を受けます。
さてでは1980年代から20年くらいの間にいちばん飛行機事故が多かった会社はどこだと思いますか?私は知らなかったのですが、なんと大韓航空だそうです。その頃は私も大韓航空の飛行機乗ったことあるし、安いから友達もよく乗っていたのに。どうして知らなかったんだろう?アエロフロートは怖いなんてことは聞いていましたが、やっぱりその辺も情報の操作があったんだろうか?
まあそれはともかく、その時代の大韓航空はユナイテッドなどのアメリカの航空会社に比べると、事故の比率は7倍だったそうです。こわーーーー。1999年にはデルタ航空とフランス航空は大韓とのパートナーシップを打ち切り、アメリカ防衛庁は軍隊の人事に大韓航空と使うことを禁じたそうです。知っていましたか?
さて、この本が出版された2000年代の後半は、大韓航空は内部の大変革を経て、今では安全の記録は世界レベルまで向上したそうです。
それには何があったと思いますか?
詳しく書くと長くなるのですが、短く言うと、機内でクルーがコミュニケーションに使う言葉を韓国語から英語に変えたのです。韓国語は日本語以上に敬語のシステムがややこしいらしく、目下の人が目上の人にフランクに話しかけるのはすごく難しいそうです。
これを機に大韓航空の安全記録は飛躍的に向上して今に至ってるそうです。
この本、他にも面白いことがいろいろ乗っていたのですよ。また明日以降に書きたいと思いますが、明日は大晦日ですからね。ブログお休みするかもしれません。だとしたら、是非よいお年をお迎えください。
こちらのボタンも是非是非ワンクリックお願いいたします。

3 件のコメント:
へえ、面白い話ですね。ありそうな話ですね。私は外資系にいるので下の人が上の人にへいこらする場面は少ないんですけど、一人だけ気持ち悪いくらいへりくだる部下がいてほんとにやめて欲しいです。そういう人は得てして仕事は出来ません。自信がないのかね。
この本、アマゾンで見たら1万円くらいするのしかありませんでした。そんなにすごい本なの?アメリカのアマゾンにはOutliers: The Story of Success by Malcolm Gladwell (Jun 7, 2011)があったけど、これかな?これは10ドルくらいでした。
あくあさん、日本の外資じゃ、やっぱりそれなりに上司との距離がむずかしいだろうね。とくに日本の会社で育った人には。
それですそれです。1万円もするって、それって日本のアマゾンで英語の本として買ったらということ?まあそこまでの価値はないかな。でも一度読んでみると面白いよ。キンドルってアメリカなどからダウンロードできないの?
タイトルも著者の名前も間違えて書いていた。失礼失礼。直しておきました。
コメントを投稿