2019年9月30日月曜日

ブレクジットの件、アイリッシュ・バックストップとは?

ブレクジットの交渉で一番のネックになってるのが、アイルランドのバックストップの件です。

アイルランドについてよく知らない人が多いと思うので、ちょっと説明します。

アイルランドはアイルランド島にあります。島のほとんどがアイルランド共和国に属します。普通アイルランドと言えばこの国を指します。がこの島の北の一部が「北アイルランド」で、ここは英国に属するのです。

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ですから英国と言えば、詳しく言うとイングランド、スコットランド、ウエールズ、そして北アイルランドで成り立っています。

今まではアイルランド共和国も北アイルランドを含む英国もEUだったから、関税の問題もなかったし、国境の問題もありませんでした。

ご存知かもしれませんが、20年前くらいまで、北アイルランドのテロは大きい問題でした。詳しくは書きませんが、北アイルランド内に、カトリックの親アイルランド派と、プロテスタントの親英国派が存在し、この不自然な領土をめぐってテロが何年も続いたのです。内戦状態が長く続き、多くの人が亡くなりました。それが1998年に「グッドフライデー条約」が結ばれ、やっと平和が訪れたのです。

この脆弱な平和を維持するためには、絶対に北アイルランドとアイルランド共和国の間に国境を設けてはならない。これは誰もが同意することのです。

が、イギリスがEUを抜けると、イギリスの一部である北アイルランドもEUを抜けることになります。すると北アイルランドとアイルランド共和国の境界線は、EU圏と英国の唯一の国境となるのです。

EUとイギリスは別々の経済圏になるのだから、この国境はノーチェックというわけにはいかない。でもチェックを導入する(国境を設ける)ことは、平和維持のためには誰も望んでいない。

どうするの?

というのが、バックドロップの背景なのです。バックドロップというのは、メイ首相が交渉したEUとの離脱条件の一つで、私も何回読んでもよくわからないんですが、「取りあえず将来のめどが立つまで、北アイルランドはEU扱いにしましょう。あ、でもそれでは北アイルランドだけイギリス本島と別扱いになってそれじゃいかんので、イギリス本島もとりあえずEU扱いにしときましょ。」ということらしいです。

???でしょ。

それで、「こんなの、どこが離脱だ~!」という怒りをあちこちから買って、条約は決まらなかったわけです。

もっと驚くことは、3年前にブレクジットの国民投票が行われたときは、この北アイルランドの問題は、誰一人として指摘してる人がいなかったのですよ。つまり、この北アイルランド国境問題のことなど全く頭になく国民投票が行われて、今になって、ところでこれどうする?って感じなのです。あほやね、ほんまに。

ちなみにこの間日本のラグビーチームが下したアイルランドは、全アイルランドチーム、つまりアイルランド共和国と北アイルランドのチームだそうです。ところが、サッカーのワールドカップのチームは北アイルランドとアイルランド共和国に別れているそうです。ややこしいです。

ではこちらもよろしくお願いします。



2019年9月28日土曜日

おひとり様

今年日本に行った時のことです。

平日の昼間は安いので、娘と二人で数回近所のカラオケに行きました。その時に気づいたのですが、一人でカラオケに来てる人、主婦っぽい人から老人から若者まで、結構いるんですね。一人カラオケって言葉を聞いていたので、よくあることだとは思ってましたが。

それで気づいたのですが、そう思って見てみると、ひとりでご飯食べてる人って多いですね。夜は気づかなかったですが、ランチは多かったです。外回りのサラリーマンがランチというわけではなく、主婦っぽい人をよく見ました。

ここまでは別に驚きませんが、ちょっと驚いたのは心斎橋のチェーンのカフェに行った時のこと。友達と二人で行ったのですが、二人で座れるテーブルが少ないんです。3階建てで、1階は全部ひとり用のテーブル、2階、3階も一人用テーブルが多かったです。ということは、こういったカフェ(サンマルクカフェ)って、一人で来る人が大半なんですね。

昔からこうだったかな~。そういえば妹は去年は一人でUSJに行ってワンピースのショーを見たと言っていたし、一人でいろんなことする人が日本には多いんですね。

そういうの、私はいいなあと思います。一人でいろいろ好きなことするのが当たり前の文化なら、別に人目が気になることもないし。息子ルイも、いいなあと言ってました。

イギリスでは、特に観察したわけではないですが、一人で食事する人はあんまり見ないかな。カフェは、私は一人で行くのが全く平気なので行きますが、そう言えばそういう人は少ないかもしれません。パブは、私は滅多に行かないのでよく知らないけど、一人で飲んでる人は少ないかな。家人は近所の行きつけのパブに(毎日のように)一人で行って、知り合いを見つけて一緒に飲んでるようです。が、ホテルに泊まった時など、一人でホテルのバーなどで飲んでるので、飲む人は一人ででも人と一緒でも、飲むのかもしれません。

何をするにしろ、日本のほうが一人で何かする人は多いです。

これってもしかして、日本って一人のほうが落ち着くから?日本って欧米に比べ、いろいろ気を遣う文化じゃないですか。人といると気を遣うから、ランチタイムとか、自分の時間くらい一人で誰にも気がねせずゆっくりしたいわってことなのかな。


確かにカラオケは、一度くらい一人で行ってみたいかな。3時間くらい。

2019年9月24日火曜日

イギリスの政治の天地がひっくり返った日

今日はまたイギリスの政治は、天地がひっくり返るような一日でした。

首相ジョンソンが、10月末のブレクジットの期限に先立って(野党からの詰問を避けるために)国会を5週間閉鎖したことに対し、最高裁判所がこれは違法であるとの判決を下しました。それを受け、先週から閉鎖になった国会は明日からまた開かれ、ジョンソンに辞任を迫る声が高まっています。

今までここに何度か最近のブレクジットの顛末を書いたのですが、長くややこしくなったので、ここでもう一度、無茶苦茶端折って書いてみます。

1. 今年の春、EU離脱の条約を国会で可決することが出来なかったので、メイ首相辞任。

2. 7月に、保守党党員間の投票で、「条約あろうがなかろうがブレクジット」と宣言したジョンソンが首相に。国会は9月まで夏休み。

3. 8月の国会の夏休み期間に、ジョンソンが「9月半ばから、諸事情により国会を5週間閉鎖」と発表。野党国会議員激怒。

4. 9月の第一週に国会召集。ジョンソンの「崖っぷちブレクジット」に反対する21人の保守レベル(Rebel)党議員と野党各党の結束により、大急ぎで「崖っぷちブレクジット禁止法」を立法化。9月16日より国会は閉鎖。

5. この間に、ジョンソンの国会閉鎖の合憲性をめぐっての裁判が最高裁に到達。

6. 今日最高裁で、これは違憲との判決。明日からまた国会召集。

以上です。詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。

イギリスの政治がえらいことになってる話

  イギリスの政治がさらにえらいことになってる件について

  なんとか崖っぷちブレクジット阻止なるか?

 ジョンソン首相がいろいろ追い詰められてる件

 


今日の判決は、今後のイギリスの歴史に何百年も残るような重要な判決だったそうです。(温暖化で文明が崩壊していなければの話ですが)ジョンソンの名前も、世代を超えて語り継がれることになるでしょうね~。

が、今日の判決は、イギリスの三権分立を改めてはっきりさせた重要な判決ではあるものの、ブレクジット自体に関しては、ほとんど影響がありません。

今後の焦点は
1. 10月末日までにブレクジットの条件を合意できるか。(おそらく無理との見方が95%)

2. できなかった場合、ジョンソンは先日立法化した法律に従って、EUにデッドラインの延長を申し込むか。(ジョンソンは、そんなことするなら死ぬほうがましと公言。)

3. 総選挙はいつか。(年内であることは必至)そしてその結果。


この3点の答えが明らかになったところで、まだまだブジクジット自体は進展しない。。。。ってところが驚くというか、ばかばかしいというかです。総選挙で保守党が負ければ、かなり動きは変わるはずなんですけど、驚いたことに(というか信じられないというか、イギリス人はあほかというか)、次の選挙も保守党優勢との声が強いです。

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2019年9月22日日曜日

グレンフェル・タワー

先週ロンドンにチャーリーを連れて行った時のことです。

車でロンドンに行くときは、いつもロンドンの真ん中を横切って行っていたのですが、今回は西のシェパーズ・ブッシュのあたりから北上する、ユーストン・ロードにつながる 道で行きました。

この部分は高架になっていて、高層住宅(ロンドンには少ない)が数棟そびえたつあたりを抜けていきます。

その時に気づきました。その一つが、あのグレンフェル・タワーでした。

2年前だったかな。覚えていますか?ロンドンの高層住宅の大火事。半日以上燃え続け、ニュースでも生で放送されていました。みんな恐怖心をもって見守るしかありませんでした。

この時代に、どうしてこんな大火事になるの?どうして消火できないの?

結局70人くらい亡くなりました。

今も鉄筋コンクリートの建物自体は残っていて、カバーに覆われて、大きな緑のハートの絵が描かれています。

それで思ったのです。あの火事の時、この高速道路からはこんなに近距離でしっかり見えたんだなって。道路自体は閉鎖になっていたのかもしれません。でもこの周りのビルやらこのあたりで生活する人には、半日もあの建物が焼けるのが見えたのですよ。もちろん煙もすごかっただろうし、火の粉なども飛んできたでしょうね。

あれを目にした人たちには、それはそれはトラウマになっただろうな。

チャーリーの寮は11階なんだけど、非常階段の確認をするように言っておかないと。

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2019年9月20日金曜日

地球温暖化のデモ


今日9月20日は地球温暖化の世界ストライキの日でした。日本ではニュースになってましたか?イギリスではBBCの夜10時のニュース番組の一番のニュースで、しかも30分番組の10分をこれに費やしてました。これはもともとは子供と若者が主体の学校ボイコットのストライキなのですが、この日の世界デモは大人も参加のストライキでした。

私の町ビデフォードでも毎月デモがあるのですが、参加者は数人。隣町バーンスタプルのデモも、春には大きいデモがあったのですが、ここ数か月は参加者が減っていました。

が、 今日はビデフォードでもこんなに人が集まりました。隣町バーンスタプルは300人くらいの人でだったそうです。



私もすごく参加したかったんだけど、金曜はヨガのクラスが2つある日。それで、環境団体Extinction RebellionのTシャツを着てレッスンに行き、2分間温暖化問題について話をしました。今日はたまたまなのか、生徒さんの数が普段の半分以下で、こんなことならヨガをキャンセルしてストライキに参加したらよかったかなと思ったのですが、ヨガを教えるというのも、長期的には環境問題の改善につながると信じて仕事。

ニュースでは世界中のデモの様子が流れていました。オーストラリアやニューヨークはすごい数でしたね。オーストラリアと米国は、環境問題に関しては世界の悪者なので、こういった若者の声が施政者に届けばいいと思いました。

けれども、こうして世界中で若者やそうでない人たちが何百万人もデモをしているのに、一方では、二酸化炭素排出の量は減るどころか増加の一方で、アマゾンやインドネシアの山火事(組織的放火)といった森林破壊も、大きく増えています。

こんなことしても、問題は一向に解決の方向には向かってないんですよ。

そう思うと悲観的になります。

でも一方で、この若者ストライキは、たった1年前の去年8月にスェーデン人のグレタ・トゥーンベリちゃんが一人で始めたのを機に、こんなに大規模になりました。この勢いが続く限り、何かが起こらないはずはない。そう思いたいです。

で、ニュースではやってませんでしたが、日本ではどうでしたか?なにかストはあったのでしょうか?ニュースではワールドカップのことばかりでしたけどね、日本のことは。

ではこちらもよろしくお願いします。


2019年9月19日木曜日

猫がえらそうにしている件

猫を飼ってる人はわかると思うんですが、猫って不思議な予知能力というか、状況把握能力がありますよね。

例えばうちの猫は獣医の予約の前日は、だいたい吐いてベッドの下に隠れるし、隣の猫は24時間くらい姿を消すそうです。それで隣のおばさんが仕方なしに獣医に予約キャンセルの電話をしたら、「まあ猫だからよくあることですね。」と言われてました。

数年前、1か月ほど別の猫も飼っていた時期があったのですが、その猫とうちのペッパーは非常に仲が悪く、ペッパーはその猫が普段寝泊まりする部屋には近づきませんでした。それがその猫が貰われていった20分後くらいには、平気でその部屋を横切るようになりました。別にもらわれていたのを見たわけでもないのに。

そして先週末、娘チャーリーが大学入学のためにロンドンの寮に入りました。

猫は我が家では基本的に人間の寝室には入ってはいけないことになっているのですが、チャーリーが家をでる前日は、ちゃっかりとチャーリーのベッドに寝てました。それを見つけて外に出しても、30分後くらいにはチャーリーの部屋に戻って、今度は見つからないように隠れてました。

それだけなら、まあ、猫にも愛情があるのね、可愛い、ってなるんですが。

そのチャーリーが出て行った途端にこれですよ。


今まではこのソファーの隣に小さめのソファーがあり、そこがペパーのソファで、そこを一匹で陣取って寝るか、それともこのソファーのアームレストとか背中の部分に丸まって休んでました。

それがこれ。3人掛けのソファー、家の真ん中、テレビの真ん前に陣取ってます。

確かに子供がいなくなって、猫の地位が上がったのはたしか。今日なんて、私は今まで買ったことのなかった高級キャットフード買ってしまいましたよ。

ではこちらもよろしくお願いします。

2019年9月17日火曜日

ジョンソン首相がいろいろ追い詰められてる件

イギリスの国会は、先週ぎりぎりで「条約なしのブレクジット禁止」の法律を立法化し、その直後に、予定通り首相ジョンソンが国会を閉鎖しました。国会は5週間閉鎖になり、ブリクジットの期限の2週間前にやっと再開される予定です。

野党の国会議員は閉鎖に及んで、かなり長々と国会に居座っていました。

元々ジョンソンとしては、国会を閉鎖して、審議時間切れによる「条約なしのブレクジット」に持ち込む計画だったのですが、野党数党と一部保守党議員が協力し立法化した上記の法律のため、それは難しくなりました。

ジョンソンはいまだに「条約があろうとなかろうと、10月31日にEUを脱退する。」と言い張ってますが、それが違法になったわけです。「では法律を破るということですか。」と、ニュースでインタビューされてました。イギリスの総理大臣が、「法律違反をするつもりか?」と聞かれるなんて、ありえないことです。

そしてこの上記の5週間の国会の閉鎖の合法性をめぐって、今日は英国の最高裁で裁判が行われています。先月イングランドの高等裁判所とスコットランドの高等裁判所で、時を同じくしてジョンソン政権が訴えられたのです。しかもスコットランドの法廷に訴えたのは、同じ保守党のもと総理大臣、ジョン・メジャーです。

イングランドの裁判所は合法、スコットランドは違法との判決を下し、今日最高裁での裁判が始まりました。

昨日はジョンソンはやっと思い腰を上げてルクセンブルクでEU側と話し合いを持ちましたが、記者会見には顔を出さす、ルクセンブルグの首相に批判されていました。

そうそう、それからジョンソンが持ち掛けていた総選挙なんですが、野党が同意せず、1-2か月先延ばしになりました。こんな事態に及んでも、オピニオンポールはジョンソンの保守党有利だそうです。

さらっと簡単にまとめようと思いましたが、もう全然まとまりませんよ!

しばらく「デイリー・ボリス」は続く模様です。


ではこちらもよろしくね

2019年9月16日月曜日

チャーリーが大学に入学した件

この週末、チャーリーがいよいよ入学ということで、ロンドンの大学寮に連れて行きました。

そもそも入学が正式に決まる夏の前から、すでに寮は割り当てられていました。ルイがおととし住んでいた同じ寮です。ロンドンブリッジの、大学の隣。ベッドから教室まで1分という距離でした。しかもロンドンのど真ん中です。寮自体はちょっと古くて、トイレやシャワー、キッチンは共同なのですが、なんと言っても場所がいいし、値段もロンドンにしては安いほうです。

それが引っ越しの直前(3日前)になって急にメールが来て、オーバーブッキングのため、別の寮に変えられました。これがすごく遠くて、しかもキングスカレッジの大学寮ではなく、私立の誰でも入れる学生寮。交通費もかかるし、寮費も30パーセントくらい高いんです。

いくら何でもなのは向こうもわかっているので、交通費に年間1000ポンドと、迷惑料として750ポンド支払ってくれて、しかも寮費の差額はむこう持ちとのことでした。

それでも場所が悪いことには変わりないし、何しろ同じ大学の学生とワイワイ暮らすつもりでいたチャーリーはかなり動揺してました。

が、仕方ありません。部屋自体はきれいだし、トイレとシャワーも個室についているので、悪い事ばかりではありません。しかもキングスカレッジの生徒が4分の1くらいとのことで、だんだんまあいいかという気持ちになりました。

それでも急遽に変更になったので、確認のメールもないし、電話しても、丁寧に謝ってはくれるものの、「大丈夫大丈夫、ちゃんと部屋はとってあるから。」というばかりで、それ以上の詳細はありません。

いったいどうなるのだ???と不安に思いながら車一杯に荷物を詰めて、6時間かけて連れて行きました。

結果は、部屋はありました。そしてきれいでした。

でもやたら大きい寮で、チャーリーの棟にはまだ誰もいず、不安そうなチャーリーを残してデボンに戻ってきた私たちも、不安でした。

が、こういう時こそ頼りになるソーシャルメディア。すでに、「直前に寮が変更になったキングスカレッジの新入生」のオンライングループが出来ていて、その中の数人と初日は出かけたようでした。昨晩はその仲間たちと、新歓のイベントで、ロンドン南のクラブに出かけたようです。

今日月曜は大学初日でした。初日とはいえ今週は勉強はなく、いろいろ新歓イベントやオリエンテーションがあるようです。今日は楽しそうな写真が送られてきました。私たちも一安心です。

こうして思えば、私がロンドンに一人で留学してきたのが1987年。もちろんネットもないし、それどころか電話もありませんでした。連絡と言えば、こちらからたまに公衆電話で30秒くらいかけるくらい。母は別に何も言いませんでしたが、さぞや不安だったことでしょう。

ではこちらもよろしくお願いします。

2019年9月6日金曜日

なんとか崖っぷちブレクジット阻止なるか?

昨日は、「下院が民主主義の名の下に命がけで通過させた『崖っぷちブレクジット禁止法』が、今晩上院に。通過なるか?」というところで夜が更けました。

一晩明けてニュースをチェックすると、あの後、延々と審議されて、夜中の1時20分にやっと可決されたとのことでした。

昨日のブログで、「100以上の細々した法案があり、これが終わってからブレクジットの審議。」と書きましたが、これ間違ってました。すみません。この100以上の法案は、すべてこのブリクジット法案の修正案でした。なぜ100もあるかというと、これはfilibusterと呼ばれる、時間切れを狙った作戦だそうです。

上院(貴族院)にも与党保守党と労働党などの野党の議員がいて、それぞれの党の政策に従って投票します。上院では、下院と違って、演説とか質問とかの時間制限がないそうです。それでこうやって、今回の場合は保守党の貴族院議員が、重箱の箱をつつくような細かい修正案を山ほど作り、時間切れを狙ったそうです。お年寄りばっかりの長老院なのに大変なことです。だから昨日は、野党の議員が寝袋もって議事堂入りしてたんですね。

でも結局夜中の1時半前に決着がつきました。午前4時か5時になるんじゃないかとか言われてましたから、ましなほうかもしれません。

こうして下院と上院を通過したので、これで立法化・・・・ではなくて、これを首相が女王に提出して、承認を受けないといけないそうです。これは単なる儀式のようなもので、女王が承認しないということは絶対にありません。が、ここが全く信頼されていないジョンソン首相。なんとか悪あがきをして、女王のところに提出しないんじゃないかとか危惧する声もあります。そんなことになったら、一体どうなるんでしょ?アナーキーですよ。

今日はジョンソンは、「EUに離脱期限の延期を申し込むくらいなら、どぶで死んだほうがまし。」と公言してました。って、もうこの「崖っぷちブレクジット禁止法」はほぼ立法化しているし、するしかないでしょ?しないの?

そういえば日曜には、ジョンソンの側近の大臣(マイケル・ゴーブ)が、「いくら国会が新しい法律を作って阻止しようとしても、法律を無視する可能性もある。」と、ありえない発言してましたっけ。

月曜にはまたジョンソンは議会に10月半ばの選挙を提議するそうですが、労働党をはじめとする野党は、いくら法律が通ってもジョンソンが約束しても、とにかくブレクジットの期限が無事すぎるまでは、選挙はしないと今晩もニュースで言ってました。「君の総選挙の提案は、白雪姫の魔女の毒のリンゴのようだ。」ってコービン氏は国会でジョンソンに言ってましたよ。月曜に総選挙をすることが決まらなければ、ジョンソンが自分で「5週間国会閉鎖」したのですから、その間は総選挙を告知することが出来ませんから、選挙は11月以降になります。自分で自分の首を絞めてんの。

しかし一国の首相がこれだけ信用されていないっていうのは、前代未聞ですよ。

無理やり10月31日にブレクジットに持ち込む最終手段としては、10月にすべてのEU加盟国が自国のEUコミッショナーを指名しないといけないのですが、それをしないんじゃないかとすら言われています。そうなるとEUの決まりとしては、即刻除名だそうです。

いくらなんでもそこまではしないだろうって、大方の政治家や解説者が言ってますが、どうだろう?そこまで不信感を持たれてるっていうだけで、無茶苦茶ありえないと思うんですが。

政治が活発なのはイギリスらしいと思われてるかもしれませんが、こういった慣例や前例を無視した強引なやり方は、イギリスのフェアプレーの精神からは大きく外れていると思います。トランプ化してます。

ではこちらもよろしくお願いします。

2019年9月5日木曜日

イギリスの政治がさらにえらいことになってる件について

政治での1週間は長いと言われますが、そう言えばちょうど一週間前に、ボリス・ジョンソンが国会を5週間閉鎖すると発表したのでした。この正式な用語はProrogueというのですが、その時はイギリス人でもこの言葉を知ってる人は少なかったのに、今やだれもが知ってる言葉となりました。

さて今日水曜の午後は、定例の「総理大臣の質疑応答」が国会で行われました。そこでは野党労働党党首コービン氏が、ジョンソンが「進展している」と主張する新EU離脱条約のドラフト案について質問すると、全く質問を無視して、まるで子供のように暴言の連発。結局5つの質問に一つも応えずに、終わり次第逃げるように出て行こうとしたところを、財務相の声明を聞かないといけないと、国会のリーダーに連れ戻されていました。

そして夕方以降に、昨日の続き、というか、第二弾のブレクジットの法案の投票が行われました。今日の法案は「離脱の期限時にEUとの離脱条約が出来ていなければ、政府はEUに離脱期限の延長を申し込まないといけない。」という、長ったらしいけど、要するに「条約なしの離脱禁止」の法律です。

昨日の法案は、21人の与党保守党員がジョンソンに逆らって賛成票を投じましたが、今日はさらに一人増えて、22人がこの法案に賛成し、楽々下院を通過しました。

それに反応して、ジョンソンは野党に喧嘩を売るように、国会解散総選挙を提議しました。が野党は、労働党もスコットランド国民党も「総選挙は大歓迎だけど、ジョンソンは信用できないから、『条約なしの離脱禁止法』が立法化されるまでは、これは受けて立たない。」とあっさりと受け流し。「卑怯者、臆病者、チキン!!」などのジョンソンの罵声も知らん顔です。

さあこれで一安心・・・・とはまだ行かないのですよ。

というのは、これはまだ下院(日本でいう衆議院)を通っただけなので、上院で可決されなければいけません。が、上院も下院と同じく来週から閉鎖になりますから、こちらも大急ぎで審議をしないといけません。なんでも、今日は100以上の細かい法案があるそうで、それが全部終わってからこのブレクジットの法案を審議するということで、ニュースで寝袋持ち込みで国会議事堂に向かう上院議員が映っていました。夜中を過ぎると予想されてます。(追記 この部分ちょっと間違ってました。翌日(9月6日)のブログで説明します。)

そしてここでまたイギリスの民主主義制度に関するややこしいことは、イギリスの上院は貴族院なのです。つまり選挙で選ばれている議員ではないのです。さすがに世襲の貴族は今は少ないらしいんですが、それでも何人かはいるそうです。(もっと多いかもしれません)。ではどういう人が貴族院の議員かというと、元大臣とか元総理大臣とか、イギリス国教会関係の人とか、ビジネスリーダーとか・・・。あとはどういう人がどういう基準で選ばれてるのか知りませんが、まあ「長年社会と広くかかわって貢献してきた人達」と言えます。

そう言うのってありえないくらい反民主主義だと思えるし、実際そう思ってるイギリス人も少なくはないと思うのですが、なにせ長年これでやってきて、しかも実際このシステムでうまく行ってるので、特に問題になることもありません。血の気の多い下院議員が通した法案を、年季の入ったの知恵ある上院議員がもう一度目を通して、ごくまれに「これはちょっと考えなおしたほうがいいんじゃないの」という感じで、下院に戻ってくるようです。これをさらに下院が可決したら、もう上院には行かないで立法化することが出来るはずです、多分。(すみません、ここはうろ覚えですので、多分、です。)

で、今晩の上院の動きなんですが、もちろん可能性としては上院で否決ということもあり得ます。が、なにせこれだけ世間を騒がせて、イギリスのデモクラシーと国民の生活の危機がかかっていて、22人もの保守党議員が政治家生命を投げうって上院までたどり着いた法案です。ここで、選挙で選ばれたわけでもない上院が否決したら、それはそれは、もうとんでもないことになるんじゃないかと思います。貴族院の存在自体が問題化されることもありえるでしょう。

なので、テレビの政治解説者の感じでは、まず通過するでしょうという見方のようです。むしろ、この前に山積みになってる細かい法案をどんどんフルスピードで片付けないと、時間切れになってしまうことのほうが、心配のようです。

で、もしもこのシナリオ通りに事が運べば、次の話題は総選挙になります。(が、なにせ1週間前は、条約なしの離脱はほぼ不可避と言われてましたから、私はまだまだ安心してないのですが。)

そもそものブレクジットは、保守党カメロン首相が国民投票をしたことが発端で、それから延々と一時の休みもなく今の修羅場につながっているのですから、保守党は選挙で負けるだろうと普通は思いますよね。それが、これがイギリスの選挙制度の問題などもあり、今回もまだまだ保守党有利という声が強いです。オピニオン調査も保守党有利のようです。私には気が遠くなるくらい信じられないことです。

ですからイギリスの政治ドラマからは目が離せないですよ、皆様。

ではこちらのクリックもよろしくお願いします。

2019年9月4日水曜日

イギリスの政治がえらいことになってる話

イギリスがえらい大変なことになってるらしい・・・ってことぐらいは日本でも報道されてるかもしれません。この夏日本に行った時も、あちこちで「ブレクジットどうなってるの?」って聞かれました。

その後状況は、1か月前よりもさらに泥沼。今日は朝からニュースから目が離せない日でありました。

その説明、あまりにもややこしいのですが、ごくごくかいつまんで書いてみます。

夏の前にメイ首相が辞任し、そのあと、保守党内で投票がもたれ、ご存知でしょうがボリス・ジョンソンが党首に選ばれました。なので、そのまま総選挙もなしで総理大臣になりました。その直後から国会は長期の夏休みに入り、今週からまた国会の審議が始まりました。

が、それに先立って、ジョンソンは国会を来週から5週間閉鎖するという、とんでもない動きに出たのです。なので、今週から国会審議が始まったというのに、来週から5週間閉鎖され、戻ってきたらすぐにブレクジットの期限(10月31日)というタイムテーブルになります。

これは何のためか。これは、「条約なしのブレクジット」を達成したいジョンソン政府が、国会がその妨げとなるような審議をできないようにするためです。

イギリスは日本と同じように、議会民主主義です。つまり国会議員を国民が直接選挙で選び、その議員間の与党の党首が首相として政府を率います。政府は国会の信頼があって初めて成り立っているのであり、それを失うと不信任ということになります。その三権分立の一つの国会を政府が封じ込めようとしているということで、この週末はイギリス国内中で、この政府の暴挙に怒った国民のデモが大々的に行われました。

ジョンソンの保守党は与党で、もちろん国会では過半数以上を占めるのですが、この過半数がたったの一人しかいません。この「条約なしのブレクジット」には保守党内でも反対派が多く、そういった保守党議員が反対の票を投じるのを防ぐために、ジョンソンは昨日、「総理大臣にに逆らって国会で投票した保守党議員は、保守党をクビにする。」と発表しました。

が、そんなこと言われたとて、じゃあそうですかと意見を変えるわけにはいきません。反対派は一層反発感を強くしました。

そして国会の審議は今日始まりました。が、始まるや早々に、ジョンソンが答弁している最中に、一人の保守党議員が国会議事堂の真ん中を堂々を歩いて反対側に席を移し、その場で自由民主党に鞍替えしました。

この時点で、保守党の過半数は失われました。

その後、保守党と北アイルランドの一派の政党を除くすべての野党が結束し、今晩遅くに「ブレクジットに関する決定権を、内閣から国会に移す。」という議案をだし、これが27票の差で可決されました。(これはテレビでライブで実況中継されていたのですが、こんなにドキドキしたテレビを見たのは久しぶりでした。)保守党議員の21人が政府に逆らって投票し、すぐに保守党から追放されました。そのうちの一人は、チャーチルの孫でした。

ということは、与党の保守党は、今晩大きく国会の過半数を割ってしまったのです。

それで、その場でジョンソンは国会を解散し、総選挙を宣言しました。が、数年前に法律が変わり、5年以内に総選挙を行うには、国会議員の3分の2が賛成しないといけないことになっています。それでジョンソンは、野党労働党のジェレミー・コービン氏に「総選挙を受けて立て」と挑みましたが、ここでジョンソンの罠に引っかかるまいと、コービン氏は「喜んで受けて立つ。『条件なしのブレクジット』を違法とする法律を明日国会で通過させてからな。」と答えました。

 明日は、今日できたほやほやの法律に従って、「条約なしのブリクジットは永久に受け入れない。」という法案を通すことが予定されています。

 こんな感じです。いやあ、すごいドラマですよ、イギリスの政治は。

ではこちらもよろ
しくね

2019年9月1日日曜日

ヨガキャンプ

サボり癖がついてご無沙汰してしまいました。

今週は1泊2日でヨガ・キャンプに行ってました。このイベント自体は8日間のイベントなんだけど、私は仕事の都合などなどでこれだけしか時間が取れませんでした。友人が一人で4日間申し込んでいて、日が近づいてくるにしたがって、なんとなく行く気が失せてきたと言っていたので、応援もかねて参加しました。

このキャンプは家から車で2時間ちょっとの場所にあります。距離にしたら100マイル(160km)くらい。私は毎日運転はしているけれど、遠出をすることは滅多になくて、モーターウエー(高速道路)も今まで数回しか運転したことがないのです。ここは今まで行った中で一番の遠出。しかも一度も行ったことのない場所にサテナビ頼りに行くのは初めてでした。

改めて言うほどのことでもないですが、サテナビってすごいですよね。何しろこれさえあれば、イギリス中スコットランドだって北アイルランドだって、一人で運転して行けるんですから。いや、実はヨーロッパも地続きだからいけるんですよ。すごい!

なので私にとっては、遠くまでモータウエーに乗って、サテナビ頼りに運転していくということ自体が、すごいアドベンチャーでした。

キャンプ場につくと、上記の友達がテントを立ててくれていました。ありがたいです。

プログラムはこんな感じ。会場テントが5つあり、そこで一日中いろんなヨガをやっています。と言っても、主催者の影響が強く出ていたので、アシュタンガやアイエンガ―などの
正統的ハタヨガよりも、クンダリーニやチャーンティングなどの、ちょっとヒッピー的なヨガのワークショップが多かったです。

後ろのサーカス風のテントがヨガテント
午後に到着してその日は2つ参加し、翌朝は5時45分からチャーンティングとヨガ・ダンス。これは流石に時間的に参加者は少なめでした。そのあと3つヨガワークショップに参加した後、また一人でモーターウエーを運転して帰ってきました。

朝5時半。朝もやが美しかったです。まだみんな寝静まってます。
友人ニッキーと朝の5時45分。朝起きて、ほぼそのままの状態で参加。
キャンプ先では、たった一泊しかしてないというのに、素晴らしいというか驚くようなことが起こりました。夜中に赤ちゃんが生まれたのです!

話によると、その妊婦さんはすでに数日産気づいていて、参加者の中にたまたま助産婦さんがいて、無事にその夜に出産となったそうです。

翌朝の朝食後のミーティングに、お父さんが赤ちゃんをお披露目に来てました。

主催者の人は、「赤ちゃんがこのキャンプで生まれたのは初めて。今度は誰かが死ねば、生と死のサイクルが完結するわ。私がここで死んでもいいわ。」と言ってました。

ではこちらもよろしくお願いします。