アンデスの山に1972年に飛行機が墜落して、2ヶ月以上して16人が救助された話を覚えていますか?私は子供のときにチラッと聞いた覚えがあります。でも頭に残っていたのは「人肉を食べて生き延びた」という話ばかりで、それ以上のことは知りませんでした。私が子供だったからあまり知らされなかったのかもしれませんが、おそらくあの頃の日本なので、ウルグアイなんて遠い国のこと、まともに報道もされず、ただ人肉を食べたということだけがセンセーショナルに話題になったんじゃないかと推測します。
あの事件の30年後(だから今から10年前になりますね)に作られた、生存者のインタビューなどで作られたドキュメンタリーだったのですが、とにかくすごい内容で、無茶苦茶感動しました。とっても長い話なんですが、少しずつ順を追って書いていこうと思います。
まず事故に至るまでのバックグラウンド。
この飛行機は普通の商業旅客機ではなく、ウルグアイの裕福な大学のラグビークラブが、アルゼンチンでの試合に遠征するためのチャーター飛行機でした。あの頃のウルグアイの経済レベルがどのくらいか詳しくは知りませんが、飛行機を借り切って遠征するくらいなので、かなり恵まれた若者達だったことでしょう。飛行機には選手達のほかに、コーチ、チーム付属の医者、そして選手の家族達が46人(だったと思う)乗っていました。
飛行機は悪天候のためアンデスの雪山に墜落しました。両翼を失った機体はまっ二つに折れ、前半分は雪山の斜面をそりのように滑り落ち、27人が命を取り留めました。
場所は標高4000メートル近い雪山。そして乗客は春用の服を着ているだけです。夜には外気はマイナス30度に下がるとか。乗客は機体の中で寄り添って暖をとりましたが、それでも最初の夜に数人が死にました。
ドキュメンタリーで一人が言っていました。
「最初の夜を過ごして朝が来たとき、それは今思い起こしても人生でいちばん嬉しかった瞬間の一つだった。生きていること。それが本当に嬉しかった。」
少しがんばれば救助が来る。それだけを心の支えに、生存者は一日一日、飢えと寒さを耐えしのぎました。トランジスターラジオがあったので、下界ののニュースを聞くことができました。でも延々と続く雪山に遭難した飛行機は最悪なことに白い機体で、吹雪の中での捜索は難航しました。
そして10日目に最悪のニュースが流れました。 アルゼンチン、ウルグアイ、チリの捜索部隊が、もう10日経っているので生存者がいるとは思えないので、捜索を打ち切ったのです。
このニュースを聞いた一人が、別のメンバーに、「いいニュースがある。捜索が打ち切られたそうだ。」といいました。すでにそのことを知っていた数人が「いいニュースとはどういう意味だ!」と詰め寄ると、
「ということは僕達は捜索隊に頼らず自力で自分達を救助できる。」と答えました。
食料はすぐに底をつきました。皮のかばんやらシートの中のスポンジやらフェースクリームなどを食べてみましたが、とても食べられるものではありません。
そして最後のオプションとして、死んだ人たちを食べることがディスカッションされました。でもこの飛行機の乗客は同じラグビークラブのメンバー達。つまり自分の友達や家族の体を食べることになるのです。
生存者の一人が「僕達がやらなければいけなかったようなことを、誰ももう二度としなくてもいいことを願う。」と言っていました。たぶんこういうことってタブーだから語られないけれど、きっと戦争だとか飢餓だとか、よっぽどの切羽詰った状況では時として起こることなんじゃないかなあ。人肉を食べるしか生き伸びるすべがない。本当にそれはまさに生き地獄だと思います。
これ以上悪いことなどありえないというこの状況で、さらに最悪のことが起こりました。
でもこの続きはまた明日。読みたくなったでしょ。ちょっとまってくださいね。
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4 件のコメント:
それ、映画で見ましたよ。感動しました。ドキュメンタリーも見てみたいですね。こっちでやらないかな。BBCとか?
みましたか。私も見たいです。あと生存者が書いた本が出てるので、それも読んでみようかなあ。
これは10年位前のドキュメンタリーなのだけど、日本でも衛星でやってるかもね。YoutubeでもHistory Channnellのドキュメンタリ(合計1時間半くらいかな)をみました。英語だけどよかったら見てみて。
YouTubeにそんなもん出てるの?著作権大丈夫なのかな?
Andes plane crashとか入れると出てくるんですよ。15分くらいのビデオがその6くらいまであります。まあYoutubeの著作権はいたちごっこみたいですね。
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