2012年1月4日水曜日

スティーブン・ローレンス事件の判決

昨日と今日は私のブログにアクセスしてくれる方がたくさんいらっしゃいました。どうしてかというと、先日スティーブンローレンスというティーンエージャーが18年前に殺害された事件のことを書いたのですが、その犯人たち二人が昨日有罪となり、今日その判決の内容が下されたからです。このページの右のPopular postsのところでも、この記事がいちばんトップになっています。

そこにも書いたとおり、スティーブンは複数の白人の若者に襲い掛かられて刺殺されました。そのうちの二人が今日有罪となりました。判決の内容は二人とも終身刑で、最低15年前後服役とのことです。最低期間が過ぎれば、刑務所内での行い次第で釈放ということです。

これは一見短すぎるような感じですが、この二人は事件を起こしたときは16歳と17歳だったので、その分短縮になったそうです。もしも今同じことをしていれば最低30年くらいだっただろうとのこと。

興味深かったのは、裁判官の声明で「実際に手を下して殺したかどうかにかかわらず、」という下りでした。複数人がギャング化して襲いかかりそのうちの誰かが2回刺したのですが、実際にナイフで手を下したかどうかは有罪判決には関係ないようです。なるほどね。日本でも同じなのかどうかはわかりませんが、イギリスらしい公平な判決だと感じました。

上にも書いたとおり、スティーブンに襲い掛かったのはこの二人だけではなく、名前が公表されているだけでもあと3人います。イギリスのような公正な国で、有罪判決が出る前に名前や顔写真が出るというだけでも異常なことです。

今回は今日有罪となった二人を犯罪に結びつけるDNAなどの新しい証拠が見つかったための再審となったわけですが、まだこのケースは片がついたわけではありません。警察はまだ捜査を続けているし目撃者も探しているし、スティーブンを襲った犯人全員が捕まるまでは、このケースは終わりではないと記者会見していました。

実際のところは新たな証拠は今のところないらしいんだけど、それでも二人が有罪になったことで、新たな証言などが出てくるんじゃないかとの期待はあるようです。

いつもはおとなしいBBCだけど、レポーターがまだ捕まっていない容疑者の追いかけレポートのようなことをしていたので、実はこちらもかなり証拠が集まってるんじゃないかなあと私は読んでいますが、どうかなあ。

前にも書きましたが、この事件以来イギリスの警察、司法を始め、あらゆる面で人種問題に関する法律や法令が変わりました。そこで触れましたが、警察に調査が入り、イギリスの警察は基本的に人種差別的な団体であるとの結論が公表されたのもこのときでした。 法的なことだけでなく、庶民レベルでも意識が変わったし、イギリスという国を大きく変えた事件でした。

もしもこれを読んで御興味お持ちになられたら、是非前述のこのブログ2011年12月1日の記事をご覧ください。右のPopular postsに上がっていれば、そちらをクリックしていただくと早いです。

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2 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

犯人の一部が捕まってよかったですね。しかし、今までの間、どんな気持ちで生きてきたんですかね。罪の意識より、ばれたらどうしようという保身の気持ちが強かったんだろうな。差別意識は根本からはなかなか消えないんだと思うけど、表面的にだけでも差別させないことを法律でしばるしかないよね。女性差別も同じです。

Atsuko さんのコメント...

この二人は前から顔も素性も割れていて一度裁判にかかったんだけど、警察の怠惰で証拠不十分で有罪にならなかったんですよ。それが今回、DNAなどの技術が向上したので新たな証拠が出てきて再逮捕されたんです。でも最近までイギリスには、一度無罪になったら同じ罪で裁判に掛けられないという法律があって、その法律の変更が必要になって、こんなに時間がかかったわけです。
人種差別だけで行きがかりの人間を殺すような輩は、罪の意識なんてないんじゃないかなあ。まあ「人間の屑」という言葉を使うのに適したケースじゃないでしょうか。