2014年11月1日土曜日

Stiff Upper Lip

Stiff Upper Lipという表現があります。「上唇を固く」という意味で、つまり状況にかかわらず、「感情に流されたり細かいことを言わず、しっかり自分を持て」ということです。まさにイギリスらしい美徳で、冗談でよく使われるくらいです。

物事にこだわったり、気になる人っていますよね。「機内食は食べない」とか、「スーパーの自社ブランドの物は買わない」とか、「中古品や古本は汚いから嫌」とか、「シーツは毎日替える」とか、「野菜は有機栽培でないと嫌」とか。私は全然そういうこだわりのないタイプなんだけど、それでも一つや二つはあるから(たとえば外から帰ったら絶対真っ先に石鹸で手を洗わないと嫌で、家族にもそれを押し付けるなど)、誰でも多少はあるのかもしれません。

日本人でもイギリス人でもその辺は同じだと思うんだけど、どちらかというと、日本ではそういうのは「こだわりがある」とか言われて、「自分はこんなに食通なのよ・清潔好きなのよ・一般人よりもレベルが高いのよ・センシティブなのよ。」というアピールポイントになってる気がします。

イギリスではそういうのはFussyといって嫌がられることが多いです。こうるさい、神経質すぎるなどという意味です。Fussyなことを言うと、それこそ「Stiff Upper Lip!」と言われて叱られたりします。

そんなこと考えていたら、Princess and a Peaという童話を思い出しました。

ある王国に雨の夜、お城のドアを叩く人がいます。あけるとそこにはずぶ濡れになった若く美しい女性が立っていました。彼女は自分がある国のお姫様で、ある事情で(内容は忘れた)一晩泊めてもらいたいと言います。親切な王室の家族は彼女を迎え入れます。

メイドが客室を用意します。お姫様の寝心地のいいようにマットレスを100枚重ねますが、そこに女王様がやってきて、「本当にお姫様なのか試しましょう。」と言って、100枚のマットの下に豆つぶを一つ置きます。

翌朝お姫様が朝食に現れると、王女様はよく眠れましたかと聞きました。するとお姫様は、「それが何かマットレスの下に硬いものがあり、よく眠れませんでした。」と答えます。王女様は、そんなにセンシティブなのは 本物のお姫様に違いないと、息子の王子様とそのお姫様を結婚させると言うお話です。

このお話からすると、イギリスでも昔は、そんなセンシティブさは、女性らしい育ちのいい繊細さと、美徳と取られていたようですね。

でもこれは現代人の私としては、娘に聞かせるには違和感ありました。泊めてもらっておいて、嘘でもぐっすり眠れたと言うのが礼儀じゃないのとか、その辺も気になった。

そうしたら、このパロディー版というか、現代版の絵本を見つけました。Princess and a Pumpkinという題でした。

お話は上記の通り始まるのですが、王女様は豆粒の代わりにかぼちゃを100枚のマットレスの下に置かせます。翌朝よく眠れたか聞かれ、「ええぐっすり、朝まで熟睡しました。」とお姫様は答え、王女様は 「このたくましさは一国の女王に必要な資質」と、息子の王子様と結婚させると言う話です。

こんな現代版が本になってるところを見ると、この童話に違和感を感じてたのは、わたしだけじゃないのでしょうね。

物事にこだわるのが美徳か短所かという問題は別にしても、こだわりない人生のほうが、人生楽なことは確かだと思います。出来るだけいろんな状況で、「まあええ、まあええ」と言いながらやっていきたい物です。

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3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

"stiff upper lip" って、イギリスでは、文句を言う云々というよりむしろ、「感情的になるな。冷静に振る舞え。」って感じの, "Be reserved!" "Be calm"「人前で、あからさまに感情的と思われる表現を使わない」って感じの意味だと思います。一見、「この人はシャイ?」って感じの印象を与えることも多いですが、特にイギリスの中流階級では伝統的に重んじられる振る舞いやコミュニュケーションの取り方です。 労働階級の人は、reserved とは少し違って、振る舞い方が変わってきますし。

ただ、21世紀になって、このreserved, "stiff upper lip" というのはold-fashioned というか、今のイギリス人、特に若い世代には当てはまらない人も多くなってきていると思います。

その背後には、グローバライジェイションや多民族多文化が進んで、誤解を招くために「適切な言葉を使って、的確に伝える」ことが教育やビジネス界で助長されてきたことも一要因です。あとダイアナ妃の影響も大きいと言われています。

そうそう、You Gov のウェブサイトのディスカッションの欄で、数年毎に「イギリス社会に"Stiff upper lip" は依然として存在するか?」について、ディスカッションのやりとりがされていました。

あくあ さんのコメント...

エステサロンを経営するに当たり、先生から、お客様が洗面を使ったらすぐにチェックに行って、必要なら掃除をするようにと言われました。人によってはすごく汚してるからと。そんなところに育ちが出るのよと。

実際、使ったことがわからないくらい綺麗にしている人もいれば、あちこち水浸しで、髪の毛が散乱しているような人もいます。

育ちのいい人は、ホテルでも人が泊まったのかというくらいきれいにして出ると聞いたことがありますが、そこまではまあ無理としても、洗面所に髪の毛散乱させとくのはちょっと恥ずかしいかもね。

Atsuko さんのコメント...

エステで洗面所汚かったら幻滅やよね。ホテルなどでも、人が掃除に来るからと汚くして放っておく人は多いやろうね。
でも日本の汚いなど、全然可愛いものの気がする。