2012年4月29日日曜日

フランス小説


本棚の断捨離で日本語の本を処分していたのですが、コレットの「青い麦」とサガンの「ブラームスはお好き」の2冊、10年以上も前に買って一度も読んだことなかったことに気がついて、早速読んでみました。

どちらも有名な本ですが、青い麦の筋書きを簡単に説明します。15歳と16歳の男女が避暑地で両親と一緒に夏を過ごします。この二人は幼馴染で、しかも深く愛し合っています。将来は同然のように結婚することを望んでいるのですが、大人になるまでのそれまでの間、学校に行ったり大学に行ったり職を見つけたり、そういうことが我慢なりません。しかし16歳の男のほうが、避暑地に現れた大人の女性に誘惑され、夜な夜な夜這いをするようになります。当然ながらそのアバンチュールはその女性がパリに戻ることで終わりになり、それが15歳の恋人にもばれるという話。

この本を読んで村上春樹の2冊の本を思い出しました。海辺のカフカには、深く愛し合う若い幼馴染の恋人達が出てきます。二人の間柄の描写などの雰囲気がよく似ていました。それから国境の南、太陽の西という本では、高校生の主人公にプラトニックの恋人がいるのですが、あるきっかけからその恋人の大学生のいとこと肉体だけの関係になり、その恋人をひどく傷つけるという筋書きでした。

まあ青い麦は有名な小説ですから 、きっと村上春樹も読んでるでしょうね。でもたぶん似た様な設定ということは意識もしてないんじゃないかなあ。

それからサガンの方の筋書きはこうです。

39歳の女性主人公には年上の恋人ロジェがいます。でもロジェは結婚を申し出るわけでもないし、しょっちゅう浮気をします。そして今はある売れない女優に夢中のようです。そうしているうちに、彼女は25歳の美貌のお金持ちの御曹司シモンと知り合い、彼に深く愛されます。初めは彼の求愛をあしらっていたのですが、シモンの熱意にほだされ、ロジェが浮気している寂しさもあり、シモンの愛を受け入れます。でもある日ばったりとロジェと会い、二人は離れられないことを実感し、同棲を始めたシモンと別れロジェを関係を戻します。でも小説の最後は、ロジェと夕食をとるのを待っていると、夜8時にに仕事で遅くなると電話が入ります。二人の間は復縁したからといって好転するわけではなく、主人公の寂しさは変わらないということを示唆するように。

サガンって有名だし、たぶん大学生の時に何冊が読んだと思うんだけど、ぜんぜんいいと思ったことがありませんでした。特にこの小説なんて、大学生じゃまだ分からないと思うんですよ。今読んでやっといろんなことがふんふんとうなづけるという感じです。面白く読みました。

「若いときに本を読め」といわれていますが、小説って若い作者に書かれている物は少ないし、大半の小説ってある程度の年にならないと分からない本も多いんじゃないかなあ。

この小説を読んで思ったのは、主人公とロジェの関係は、いくら紆余曲折があっても別れられない関係。赤い糸の縁。真実の愛といってもいいのかもしれません。でもね、これを読んではっと気づきました。真実の愛を見つけたからといって、幸せになれるとは限らないんですね。いろいろ浮気などの苦労はあれど、最後まで添い遂げる夫婦が幸せと世間で言われていますが、別に同じ伴侶とずっと一緒にいるからって、幸せかどうかとは関係ないと思います。

ロジェはたたき上げの実業家で、ひどい浮気癖。シモンのほうは美青年で、誠実に愛してくれるけど、酒飲みで仕事らしい仕事もしない頼りない男。本当どっちもどっちですよ。世の中にろくな男はおらんのか?

途中でとてもフランスらしい箇所がありました。主人公が心労でやつれてきたので、周りが転地療法を薦めますが、 「パリを離れるのも面倒だし、恋人を取り替えるだけにしておこう。」って台詞です。

どちらの小説からも思ったのですが、フランス人の貞操観念って、リベラルというか、日本ともイギリスともちがいますねえ。さすがに大統領が堂々と愛人を作る国。浮気に関してはすごく寛容みたいです。

そういえば昔読んだスタンダールの恋愛論にも、「オーストリア人の女性はこまやかな愛情があり恋人にかいがいしく尽くし、最高の恋人だ。だがこれは愛人に対しての話である。夫に対するときはオーストリア人でもフランス人も同じようなものだ。」と当たり前のように書いてあったのをしっかり覚えてますから。

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7 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

そうかぁ。そういう小説、若い頃しか読んでないけど、今読んだ方がいいのかもしれないけど、でも、今、そんな身も蓋もない愛憎劇を読むのも疲れそう・・・。

うちの上司がイギリス人なんだけど、結婚したら奥さん一筋で行くべきだ、行くものなんだ、日本人の貞操観念はおかしい、としょっちゅう食ってかかってきます。日本の男性の多くが浮気をしているということを以前話したからなんだけど。じゃあ、チャールズはどうなんだと言ってやりましたが。ほんとのところはどうなのかな?

Atsuko さんのコメント...

いやあ、でも読んでよかったですよ。ふっと目のうろこがはがれるというか、恋愛だとか真実の愛なんて物は、ないよりはいいけど、幸せになれるかどうかとは関係ないんだと思いました。

まあ建前的にはそうなんだろうし、そうやっていける人のほうが幸せなんじゃないですか?まあでもそうやって主張する人は子供っぽい感じがしますね。日本人の場合は、結婚向きの女性と風俗業の女性と分けてるところが、どちらの女性をも蔑視してる気がしますね。貞操感以前の、人権の問題では?

匿名 さんのコメント...

フランスやイタリアのラテン系の国は、恋愛にオープンというか、不倫とかに対する偏見が少ないみたいな気がしますが。私は夫の仕事の関係で、一時期フランスに住んでいたけど、フランスの女性はイギリスの女性に比べて、人柄がやわらかくて、フェミニンでおしゃれな人が多い気がします。やはり男性のフレッシャーが大きいからかも。

個人的にはイギリス人の女性、ここだけの話ですが、最悪だと思います。気は強いし、態度はでかいし、夫を尻に敷いて威張っているし、あと肥満の人も多くて、容姿もあまりよくないし。人柄にやわらかさに欠けた人が多い気がします。もちろん、一部例外もありますが。

私のデリケート(少しセンシティブな)夫がよく、「イギリス人の女性は気が強くて、おっかないし、怖いから、日本人と結婚した」なんてことを、冗談半分でよくいっています(笑)。

個人的には、イギリス人の男性の場合、奥さんが怖くて浮気ができないってことがよくあると思います。イギリスは女性にとって、離婚天国だし、気に入らないと、弁護士とかつけて、「取れるだけ取れ!」って感じで食ってかかってくるし。いやいやおっかない!

Atsuko さんのコメント...

匿名さん、昔会社で働いていたとき同じ部署にフランス人の女性がいました。本当にまるで外国人がイメージするフランス人女性の典型という感じで、きれいで可愛いけどちょっとどこか信用できないような人でした。それにしてもイギリス人の男は、何のかんの言ってもフランス人の女性に目が無いなあと思いましたよ。

イギリス人の女性はどうなんでしょうかね。いろんな人が多いけど、確かに愚痴や苦情の多い人はたくさんいますね。その一方でチャリタブルで、チャリティーやコミュニティーのためにいろいろがんばる人も多いし。

離婚、日本のほうが書類一枚でできるから、簡単そうじゃないですか?

Atsuko さんのコメント...

匿名さん、そうそう昨日Ebayで日本の本を売りにだしました。Japanese bookで検索すると出てくると思います。よかったら見てください。ハンドル名はd.f.woodwardです。

匿名 さんのコメント...

確かに建前は奉仕の心のあって、慈善活動とかに熱心な女性もいるけど、それらの女性が家庭で夫にもチャリタブルって保証はないですし。結構、大多数は夫を尻にしいているケース多い気がしますが。

いやいや、女性の場合は離婚はイギリスの方が断然有利だと思うわ。イギリスの女性の場合は、親権=養育権(母親が断然強い)、養育費の徴収等、自分の権利を知っているから、絶対に我慢したり、妥協しないで強気だわ。それに、貧困の場合は、これまた福祉国家だから、無料で弁護士を雇えるし。本当に「取れだけ取ちゃえ!」って感じでかかってくるし。怖いですよ。妻を選び間違えて、借金だらけで、大変なことになったなんてイギリス人のナイーブな男性(ほとんどが夫の周りの人達だけど)なんて何人も知ってますよ。端でみていて、凄い残酷って思ったし。みんな、借金を返すまで、数年実家に帰って暮らしてたし。彼らはきちんとした専門職についたスマートな男性なんですよ。本当にいいように利用されたるって思いましたよ。それから実際、離婚する費用(弁護士費、2世帯の生活費等)や親権のストレスを考えた結果、離婚を断念した不幸な男性も身近にいますし。

日本の場合は、書類提出で離婚が成立するから、手続きという意味では簡単だけど。ただ、両者が円満にサインするとは限らないし。女性の身分や地位がイギリスに比べて断然低いから、離婚すると女性が不利だから、妥協する人多いし。親権(養育権)だって、必ず母親がもらえるって保証はないし。無料で弁護士をやとえる福祉サービスもないし。養育費にしたって、イギリスみたいに父親を追跡して、裁判所から命令がでて、税金みたいに強制的に払わせるってことはないし。いやいや日本の女性本当に気の毒です。

確か、大阪で数年前に幼児が2人亡くなった事件がありましたよね。その子たちの母親は離婚した若いシングルマザーで、風俗で働きながら子育てをして、心身ともに疲れきっていたみたいだし。ある意味本当に可哀想でした。イギリスじゃ、離婚してシングルマザーになっても、元夫から養育費をしっかり取って、生活補助や手当てもしっかりもらって、楽々暮らせるし。大阪でおこったような可哀想なことがおこる可能性はまずないと思いますが。

Atsuko さんのコメント...

匿名さん、長文のコメントありがとうございます。

確かにChild Support Agencyが間に入って、給料から天引きで養育費取られたりしてね。まあ男性のほうから見たらかわいそうですが、一方では女性の権利が守られてるともいえますね。日本の書類一枚の離婚は、男性に便利にできてるともいえるし。実際今は女性もはたらきやすくなったけど、昔は夫に一方的に離婚を要求されて、子供を抱えて困った女性は山ほどいたことでしょう。

そのニュース覚えてますよ。その時たまたま日本にいたんです。しかも実家は大阪市内なので。その時ブログにも書いたし、何かエッセイに書いて投稿した記憶があります。それくらい苦しいニュースでした。