ご存知かと思いますが、イギリスは医療が無料です。お金がかかるのは、処方箋代(1500円弱)だけで、これも高校生までと60歳以上、妊婦、失業者は無料です。(つまり70パーセントくらいの人は無料。)そのほかは入院代も、食事代も、すべてただ。子供は歯医者も、矯正も、めがねもお金がかかりません。
去年の12月の半ばに、ちょっとした手術をしました。乳房の昔からあったしこりが大きくなったので、気になって医者に行ったのが10月末でした。するとすぐに病院に呼ばれました。
その日は専門医に会い、マンモグラフィーとスキャンを受け、乳がんの疑いはないけれど、念のために4週間後に、この地域の乳がんの一番の権威者の先生とのクリニックの予約をしてくれました。そして、乳がんを患った叔母が二人いることから、乳がんの遺伝子の専門家にもこの日の検査結果が送られました。
11月20日に、この有名な先生に会いました。問診と触診の後、「心配はないとは思うけど、しこりを取りたければ、取ってしまいましょう。」と言われました。
その1週間後くらいに、遺伝子の専門家から、「乳がんのリスクは一般と同じレベルで、定期的にマモグラフィーをうける(50歳以上は3年に一度行われます。)以外は、何も特別な検査をする必要はない。」という手紙が来ました。
12月16日に全身麻酔で手術を受けました。このことについては先日書きました。
そして今日この専門家と、執刀医から別々に手紙が来ました。どちらも、切り取ったしこりを細胞検査の結果、問題なしとのことでした。
一件落着。
この件で会ったお医者さんは4人。話をしなかったけどお世話になった専門家は、遺伝子の先生と麻酔師、スキャンの先生、マモグラフィーの技師。手術のときにお世話してくれた看護婦さんは3人。受けた検査や手術は世界のトップレベル。
しかもお医者さんも、そして特に看護婦さんたちも、みんなとても親切でした。専門医からの手紙ですら、「もう全然心配ないですよ。でも何か質問があれば、遠慮なくコンタクトしてください。」との優しい言葉でくくられていました。
しかもこれはすべて、一介の外人への治療です。長く住んでいようと、住み始めたばかりの学生だろうと、一切何の質問も受けることなく、誰もが同じように無料で治療が受けられるのです。(最近の移民問題で、居住者の証明が要るようになるとか言われてますが、今のところそんな気配は一切なしです。)
イギリス人って、特にマスコミってNHS(医療システム)について文句言うのが好きだけど、本当はみんなNHSをすばらしいシステムだと誇らしく思って、愛していると思います。
こういうシステムを国民が一致団結して守り続けようと願っているというのは、イギリスってあらためて、すごい国だなあと思いました。うちのルイが、このNHSのお医者さんになれれば良いなあと、これも改めて思ってます。
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5 件のコメント:
確かに、貧富の差など関係なく、お金のことを気にしないで医療が受けらえるってとは素晴らしいことですね。ただ、この制度も、今の政府の方針を見ていると、いつまで続くことやらって感じですよね。どんどんプライベート化が進んでいるし。まあ、あつこさんは田舎に住んでいて、人口密度の低いところだから、手厚く治療してもらえるのだろうけど。これがロンドンやロンドン近郊の都市部だと、なかなかそうもいかない。常に人手不足、資金不足、患者が多すぎて、GPも病院も全てオーバーストレッチしている状態で、本当にパンク寸前みたいなことを言っているのを医療関係の仕事についている友人からよく聞きます。都市部だと、GPの予約を取るのも一苦労っていうのが現実だし。病院に行っても、とにかく数をこなさないといけないから、すごくストレスがたまってるなあっていう風な看護士さんとか、結構見かけるし。私自身も都市部のGPや病院、田舎のGPや病院両方行きましたが、対応が全然違う。特に、田舎の裕福層が住む田舎や地方都市だと、待ち時間が少なくて、対応がすごく丁寧。本当ポストコードロッタリーって言葉をイギリス人が使うのがよくわかる。
あと、最近は外国人は、ビザを登録する際に、NHSの加入のお金を払わないといけなくなっていますよね。保守党になってから非EU国からの移民への条件がどんどん厳しくなってますね。
あつこの書いてたのと、匿名さんの書いてたのとでちょっと事情が違うみたいだけど・・・いずれにしても、みんなが無料でそんなサービスを受けられる仕組みを維持するためには税金が必要だと思うんだけど、税金の使われ方のプライオリティの問題なのかなぁ?
確かに日本は税金のうちの結構な割合が意味もないことに使われているとは思うけど、イギリスではそんなことはないのかな?
厚子さん、わたしもサイモンの脳腫瘍が発病したときNHSは凄いと思いました。ロンドンのど真ん中のUCHにお世話になりましたが、2度の脳手術、放射線治療、抗癌剤治療、4度の入院、スピーチサラピスト、フィジオサラピスト、勿論看護の人たち皆にお世話になってすべて無料でした。(というか国民保険料を払っているからですけれど)ロンドンオリンピックの開会式でNHSがテーマになったことも国の象徴に値する程貴重な公共機関である証拠だと思います。そういうNHSの病院で白衣を着て働くルイ君の姿、凛々しいだろうな。大変な仕事だと思うけれど、ルイ君だったら大丈夫、頑張ってね。
あくあさん、派遣員とか学生ビザの人は、ビザ取得のときに年間200ポンド(学生150ポンド)支払わされるそうですが、額は、日本の保険料とは比較にならない安さです。いったん払ったら、そのあとはイギリス人とまったく同じ。(永久ビザの場合はいらないそうです。)
税金はね、そりゃあ日本とはぜんぜん額が比較にならないもん。しかも税金の上に、国民保険料という名目の事実上税金ががっぽりかかるし。しかしイギリスのほうが防衛費も高いし、学校もぜんぜんお金かからないし、社会保険もしっかりしてるし、そう考えたら、税金って無駄なく使われてるのかな。
日本の税金ってどこにいってるんだろう?
直子さん、私の簡単な手術だけでも、少なくとも実費なら100万円くらいはかかっただろうなあと思うけど、本当にサイモンの時は額にしたらすごかったでしょうね。しかも無料なのに、水準が高いところがすごいと思います。
私もロンドンで、ユーストンの近くのエリザベス・ガッラット・ホスピタルと、UCHで、それぞれ子宮頸がん初期と皮膚がんの疑いで手術しました。どちらも日帰りでしたが、やっぱりケアのレベルはすごくよかったです。待たされるのは待たされましたが、まあそれは北デボンでも同じでした。
今日は電話ありがとうございました。すごく参考になりました。そのA*3つとAの生徒さんの話、特に参考にします。成績だけじゃないってことですね。
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