ずいぶん昔のことになりますが、思い出したことがありましたので、書きます。
ルイが1歳で、おなかにチャーリーがいて妊娠3ヶ月くらいだった頃、パスポートの書き換えでひとりでロンドンに行きました。ロンドンで地下鉄に乗ると、まだ3ヶ月だったのでそれほどおなかが目立つわけじゃなかったんだけど、 乗り換えるたびに瞬時に数人の人が席を立って、譲ってくれました。
その2ヵ月後、マタニティーウエアを着始める頃に日本にデイブとルイと3人で行きました。ある午後3人で大阪の地下鉄に乗ると、私は大きいおなかで立っているのに、梅田から西田辺までの20分くらいの間、誰も席を譲ってくれないということがありました。
立っている辛さというよりも、日本では妊婦に席を譲ろうという人はいないのかと、ロンドンとのあまりの違いに相当がっかりしました。
そうしている間に、自宅から徒歩15分くらいの西田辺という駅に着きました。地下鉄の駅から出てくると、雨が降っていました。傘を持っていなかったんだけど、ルイの乗っているバギーにはカバーがあるから大丈夫だし、仕方ないから家まで濡れて帰るつもりで歩き出し、駅から300メートルくらいの横断歩道で信号が変わるのを待っていました。
すると、30歳くらいの男の人が走ってくるのです。そして私の隣に止まって、自分のさしていた傘を私のほうによこして、
「妊婦さんが濡れてはいけませんからね。」
といって、私に傘を持たせて、もと来た方向に走って戻って行ったのです。 わざわざ遠くから見かけて、逆方向から走って、傘を渡しに来てくれたのでした。
突然のことで、ろくに御礼を行ったかどうかも思い出せません。傘はもちろんお返しできませんでした。
地下鉄で誰も席を譲ってくれなくて、イギリス人に比べて、日本人ってなんてマナーがなっていなくて、不親切なんだと、かなりがっくりしていたところした。親切がありがたいだけでなく、タイミング的に不思議な出来事でした。
もちろん妊婦にも老人にも席を譲ろうとしない日本人はたくさんいるけど、一方でこんな親切な日本人もいるんですね。日本人だからイギリス人だからというのではなく、どの国にも親切な人もいれば、不親切な人もいるということだなあと、改めて思いました。
それはそうなんですが、乗り物の席に関しては、こういうこともありました。
それから15年後くらいの2013年の夏、私達親子が、朝の御堂筋線に乗っていると、立っていたルイが熱中症か、真っ青になって気分が悪くなったんです。私とチャーリーがあわててバタバタしていたので、ルイが具合が悪いことは誰の目にも明らかだと思うんですが、その時も誰も席を譲ってくれませんでした。
イギリスでは、100パーセント誰かが席を譲ってくれるシナリオです。
イギリスのほうが、老人や妊婦や障害のある人に席を譲るというのは、やっぱり徹底してると思います。これって、日本人のほうが冷たいと言うよりは、こういうことをするのが気恥ずかしいとか 、人の目が恥ずかしいとか、知らない人に話しかけたくないとか、わけのわからん気負いがあるのかもしれません。イギリスでは、席を譲らないほうが人の目が気になりますけどね。
イギリス育ちのルイとチャーリーは、大阪でバスに乗ると、老人がたくさん乗り込んできて必ず席を譲らないといけないから、バスに乗るのは嫌がってます。
「譲るのが当然」という風習が根付いてるか根付いていないかの違いなのかな。風習、習慣って馬鹿にならないことです。
ではこちら
イギリス(海外生活・情報) ブログランキングへのクリックもよろしく
2 件のコメント:
やっぱり教育が重要だよね。小学生くらいの頃からそう教え込まれ、親も同様にしていれば、子供たちも同じようにするようになることでしょう。私は気が付いたらそういうことをするようにしているけれど、しらんぷりの人が多いのは事実ですね。しかし、自分の傘をあげて自分は濡れて行くというのはなかなかすごいね。かっこいい。
おっしゃるとおりだよね。日本でも優先席とか、席をゆずしましょうとかずっとやってるけど、それを言う必要が無いくらい根付かないといけないんだろうね。
そう、かっこいいでしょ。でもその人は、外見はオタクっぽい、あんまりかっこよくない人でした。男は外見じゃないってことね。
コメントを投稿