2013年7月23日火曜日

アウトサイダー

大学のときの卒論(ロシア語科)は、ドストエフスキーの小説におけるアウトサイダーについてでした。イギリス人作家のコリン・ウィルソンと言う人が書いたアウトサイダーという本があります。「ニヒリズムに陥らずに、アウトサイダーとして俗世界と迎合することなく生きるにはどうすればいいか。」というのがそのテーマなのですが、それをドストエフスキーの小説と照らし合わせて論じた物です。

その時はけっこう真剣に書いて、規定どおりの長さを書いて、Aで合格した事は覚えてますが、その内容については詳しくは全然覚えてません。

それでその卒論の事は、提出して以来ほとんど考えることもないのですが、先日ふと思いつきました。

今の私ってまさにアウトサイダーだなって。

なぜかというと、こうしてイギリスの田舎で外人として住んでるから。ロンドンでも外人である事は変わらないんだけど、そもそもロンドンは日本人が多い上に、ロンドンの人口自体が外人が大半じゃないかと思うほどだから、それほどアウトサイダー観はありません。

でもこういう田舎は違いますよ。まあ、とにかくイギリス人だらけです。当たり前か。ぱっと目もまず白人ばかりだし、その白人のなかでも、たとえばアメリカ人だとかイタリア人とかいうだけで浮き上がるほどです。

私も最初はちょっと居心地が悪かったんだけど、半年もすれば全然気にならなくなりました。なので別によそ者扱いされるとか差別されるとか、そういうことはありません。悪い意味だけでなく、いい意味でも特別扱いされることもないし。(日本の白人の外人みたいに)。でもやっぱり、ごくごく微妙にお互いに暗黙の了解と言うか、あの人はアウトサイダーだから、私はアウトサイダーだから。。。と言うのはある気がします。

そういうのはどうかというと、今になって思うのですが、私にとっては心地がいいんだと思います。ほぼ95パーセントは溶け込んでるけど、どこかちょっとだけ距離を持ってるというか。で、その時は意識的に選んだつもりはないけど、結局は自分で自分がアウトサイダーでいられる場所を選んだのだという気がしてます。

で、よくよく考えてみれば、私の今の立場って、この卒論に書いたような立場なんですよ。無害な一般市民として、普通に懸命働いて、社会に溶け込んで、普通に暮らしてます。でもどこか距離を持っている。何かあれば、一切ひっくるめてどこかに飛び去れるような部分が気持ちの中にある。「ニヒリズムに陥らず、世間と微妙な距離を持って暮らす。」というか。

コメント常連のあくあさんが、「昔、『自分は世界をまたにかけるキャリアウーマンになって目黒に住む。』と思っていたら、本当にそうなった」とご自身のブログに書いてました。私も、こんな風にアウトサイダーとして生きることについて論文書いたら、どうやらそうなったみたいです。

私もあくあさんみたいに、「大金持ちになって世界を自由に飛び回る。」とか、考えておけばよかったわ。

ところでうちの子供たちはハーフです。私は自分で選んでイギリスに住んでるんだから、外人として多少不便だとか特別な目で見られることがあっても、じぶんのチョイスだから仕方ありません。でも子供たちは選んでハーフになったわけじゃないし、どう思ってるのかなあと気になってました。

白人ばかりの学校で、やっぱり目立つしね。(数人は白人でない生徒もいる。)

でもいまのところ、自分達が日本人とのハーフと言うことをすごく誇りに思ってます。私は別に日本に特別な愛国心もないし、すごい国だとも思ってないのに。確かに日本に住むハーフが、不便なこともあるかも知れないけど、得なこともあるように、ルイとチャーリーもハーフなので得な面もあるのかも。

しかも今や日本はイギリスの若者の間ではすごくクールな国と思われてるので、それも大きいでしょうね。もしも日本人じゃなくて中国人とかインド人だったらどう思ったかなあ。

ルイは小学校に入ったときに、ほんの一瞬差別されていじめられたことがあったのですが(校長先生が超厳格に対処して、父兄やら教育委員会まで正式な手紙を書きました。ルイちゃんは自分が差別されてるとも気がつかなかったらしいけど。)、今もしも似たようなことが起こったら、「かわいそうなイギリス人め。僕らが日本人ハーフだから、やっかんでいるのだろう。」と本気で思うと思いますよ。

まあとにかく、そういうわけで子供たちは私以上に日本に行くのを楽しみにしてます。日本語たどたどしいのに、自分達はれっきとした日本人だと豪語してます。

今までのところ、日本語のGCSE試験を受けた以外はまったく普通のイギリス人の子供として育ちましたが、これから日本とどういう係わり合いを持って成長していくのか、楽しみです。

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やっぱり見た目上は、バタフライが一番絵になる被写体のようです。泳ぐほうはしんどいけど。

2 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

あつこもだいたい想像通りの人生を歩んでるよね。ロンドンのような都会にいるかと思ったけど、郊外にいるっていうのも、それはそれでかえって合ってる気もするし。人間、よくも悪くも思ったようになるよね。

Atsuko さんのコメント...

ある意味では想像通りかな。まあ、普通にOLとか主婦とかは全然似合ってなかったよね。田舎にいるのはよく分からんけど、銀行辞めたときに、ファーマーになりたいと強く思ったことがあったんですよ。そのせいか?