2010年1月16日土曜日

英語と日本語

日本語にはあるけど英語にはない表現、もしくはその逆というのを考えてみました。

日本にいるときに、外国にはないと聞いていた物にまな板と肩こりがあります。この外国というのがどこのことか、たぶんアメリカだと思うんですが、どちらにしてもこれはウソです。

イギリスにはChopping Boardという物があります。これはまな板。アメリカにも絶対あると思います。それから肩こり。これはstiff shoulders。もちろんあります。ないわけがない。なければマッサージなんて発明されませんよ。

一体どこの誰がこんなこと言ったのでしょう。イギリスに来る数年前から、アメリカやイギリスの生活記をよく読んだのでそこに書かれていたように思います。まな板なしであちらの人はどうやって料理するんだろうと思ったのを覚えています。ほんと、いい加減なものです。

他に有名なのは「甘え」。これはいくら頭をひねっても、的確な言葉が思いつきません。depend on, rely on というのは似てるけど「頼りにする」という意味で少し違う。日本語の持つ否定的な、人間関係に頼りきった、気持ちの悪い依存の仕方というのは、やっぱり英語ではないようです。

ちなみに手元の辞書を引いてみると、
behave like a spoiled child
be coquettish
presume on, take advantage
と載っていました。はじめのは「甘やかされた子供のように振舞う」という意味で、説明が長ったらしいし、意味もはっきりしません。2番目のは女性が男性に甘えるという意味なので、片手落ち。最後の二つは「利用する、つけ入る」という意味で、ちょっと直接的過ぎる。


昔「甘えの構造」という本が話題になったのを覚えています。そのときに甘えというコンセプトは日本独特ときいたんですが、間違っていなかったようです。

「心細い」という言葉も今思いついたのですが、なかなかちょうど良い英語がないですね。日本語の辞書によると、頼りない、不安だということですが、unreliable, undependable  といってしまっては「頼りにならない」というきつい意味になるし、anxious worriedというのは「心配」ということで、これのほうがちょっと近い気がするけど、少し違う。

逆に英語であるのに日本語でないと思うのは、いろいろあるけどまず思いつくのはワニとかえるとウサギ。

ワニはご存知のとおりcrocodile とalligator があって、外見は似ているけれど、実はこの二つは遺伝子的にはずいぶん違うらしい。 frogは蛙で toad はヒキガエル。これも日本では区別しないけど、イギリスでは必ず区別してます。言い間違えると直されます。rabbit というのは普通に言うウサギ。hareは後ろ足の長い野生のウサギです。これも絶対こちらではスズメと鳩のように区別します。日本語では適切な言葉がないので、日本にはいないとばかり思っていたら、去年こんのさんのブログにこのHareの写真が出ていました。

そして極めつけはmouse とrat。マウスというのは大きさにしたら5センチくらいまでのねずみで、家ねずみ野ねずみのほか、いろいろ種類はありますが、特に毛嫌いされるほどではないです。さすがに家の中にはいられると食べ物をかじられたりして困るのでネズミ捕りをかけたりしますが、問題になるほどではありません。

でもラットは違います。イギリスでは昔、1340年代に黒死病という疫病で多くの人が死んだのですが、それがラットにつく蚤が原因で広がったので、恐れられています。ラットは日本語ではどぶ鼠ですが、そんなかわいいものではありません。大きさは30センチ近く、マウスよりも格段に大きい。赤ちゃんがラットにかじられて殺されなんてはなしも、本当かウソか知りませんが聞きます。

これが出ると必ず毒をまいて殺したり、保健所に通達します。うちの近くでもいます。都会でも田舎でも人間のいるところには必ずいるといわれています。怖いですよー。

なんだかはなしが甘えからねずみまでずいぶん飛んでしましました。他にもいろいろあるだろうなあ。ちょっと考えて見ます。

6 件のコメント:

こんの さんのコメント...

土居 健郎 2009年7月5日に逝去しました
「甘えの構造」日本特有の精神構造を述べたものとして、日本では第1級の扱いを受けてます
やはりイギリスでは同じ概念として言葉がないのですね

ウサギ あれは
あつこさんに教えられるまで知りませんでした。後ろ足の長いのは、あの時はじめて見ました。その後は目にしておりません

やはりお国柄ってありますですね。面白いことです

あくあ さんのコメント...

根回しは?

これって日本語でなんていうんだっけ?とわからなくなることもよくありますね。

Diversity, facilitation, encourage, reasonable, governance, etc. etc.

本読みと山歩き さんのコメント...

いうまでもありませんが、言葉は文化です。
(釈迦に説法ですが)
言葉の表現が違うのはそもまま文化の表れでまことに面白い。
「ねずみ」など、日本では区別する必要がないのに、西欧では種類が多いので、区別の必要があったということですよね。
 アラビア語では、「らくだが水を飲む」か「水を飲む」か忘れましたが、相当の表現種類があるようです。
まさにお国柄を表しています。
 「あくあ」さんがおっしゃる“根回し”など、うちの会社では適当な言葉がないのか、皆英語で“Nemawashi”と言っております。(笑)

Atsuko さんのコメント...

こんのさん、この本名前は知っていますが、読んだことはないんです。

あのウサギ、やっぱり名前あるんでしょうね。

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、根回し、言葉は確かに思いつきませんが、似たようなことこっちでもしますよ。委員会などであらかじめ役員などを決めておくとか。言葉は、prearrange といっても、やっぱりぴんと来ませんね。

多様性といってもやっぱりちょっとぴんとこないしね。こういうことば多いですよね。翻訳してる人は本当大変だろうなあ。

Atsuko さんのコメント...

山歩きさん、日本の会社に働いてる現地人は、やっぱりそれなりに要所要所で日本語知ってる人が多いですよね。わたしが昔働いてたときは、karoshi(過労死)という言葉がイギリス人社員の間で使われてました。
こういうのは日本の企業を一歩出ると一般にはぜんぜん知られてないと思うんだけど。