2016年7月23日土曜日

民主主義について

イギリスには民主主義の精神が深く根付いていて、「公平さ」が非常に大切にされる国です。

そのイギリスで民主主義に関して疑問を口にするのは、人種差別とか女性蔑視の発言をするよりもさらに顰蹙を買う行為だと思います。

それを承知の上で、例の国民投票以来、心にくすぶっていたことを書きます。

私は実はかなり昔から、根本的な原則としては信じているけど、実際の民主主義のあり方、行使され方に疑問を持っていました。

まず選挙。イギリスは基本的に2大政党が交代で政権を握る国です。その総選挙で一番の鍵を握るのはどういった人達だと思いますか?

「浮動票」と呼ばれる人達です。普段は特に政治的興味も知識もないけれど、選挙だけは行くという人達。一概には言えませんが、よく調べもしないで、自分の周りの人達やたまたま読んだ新聞やテレビに影響されて投票する人達。

そういう人達が、政権の行方を握るのって、ちょっと疑問だとおもいませんか?

イギリスでは日本のように、選挙は行きたい人だけが行くものなので、本当にぜんぜん興味ない人は行きません。でもこれはよくない、選挙にはぜひ行こうというキャンペーンのようなものが毎回ありますが、そんな必要あるんでしょうか?政治に興味のない人達は、選挙に行くべきではないと私は思います。

オーストラリアでは、必ず選挙に行かないと行けないそうです。これなど、ぜんぜん意味がわかりません。

そして先月の国民投票。ネットで、92歳の普段めったに家を出ないほぼ盲目の老女が投票に行き、離脱に投票したことが美談のように語られてました。でも私にはそれほど美談には思えません。

92歳の寝たきりの老人が、最短でも2年先まで起こらないEU離脱に投票するなんて、私には身勝手に思えます。それよりも、うちの子供たちのように、これからの長い将来をその影響の下に生きることになる若者にぜんぜん発言権がないこと。彼らは、もう何年も前に年金生活に入って悠々自適に暮らしてる世代が好き勝手に投票したその結果をこれから長い間背負って行かなければいけない。これのどこが民主的なのでしょうか?

このような疑問を言葉にする人達は今回はたくさんいました。それによって何かが変わるとはおもわないけど、でも民主主義をHoly Grail(聖杯)のように、決して疑問を呈してはいけないことのように扱うのは、何か納得がいきません。

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6 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

うん、それは賛成。

とはいえ、関心のある人だけが選挙に行くとすると、若者が行かなかったりして、余計年寄りに寄るし。
余命で加重するか・・・。

nekonasu ねこなす さんのコメント...

普通の総選挙なら、4年後にはまた政権が変わる可能性があるからどうにでもなるけど、今回のEUの国民投票はこの先ずっと数十年のことが関わるのに、簡単に国民投票で決定するのは間違っていたと思います。
そうそう、私もいつも思うけど、「どちらがいいかわからない」という人はちゃんと色々と自分で調べてみるべきだと思うし、特に今回の選挙は16歳以上から選挙に参加してもらうべきだと思いました。

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、若者は忙しいし、政治を調べる時間がないから、選挙にも行かないのかな。老人は暇だからテレビ見てるし、そういった低レベルのテレビで流している政治情報を元に選挙に行く。これも民主主義の弊害かも。

Atsuko さんのコメント...

ねこなすさん、私もカメロンが勝手にそんな長期的に影響の出る、複雑な問題を 国民投票なんていう政治的ギャンブルに出たのがそもそもの間違いだったと思います。
私も息子が17歳なので、特に、16歳からにして欲しかったと思います。あくあさんの書いているように、「余命で加重」出来れば一番フェアな気がするけど、これは無理ですね、ははは。

はなまる さんのコメント...

こんにちは。

結局キャメロンが選挙に勝つために国民投票を公約したのが間違いだったと。
難しい政治的決断を政治に興味のない人間に委ねるリスクを軽視していた結果ですね。

ただEU離脱によってイギリスが実際どうなるかは老人にも16,7歳の子供にも正直わからないのでは。
なので老人の参政権については私は否定したくないです。
90過ぎてもうすぐ死ぬから参政権はいらないというなら少々屁理屈になりますが余命宣告を受けた若者も参政権はいらないですしね。
線引きを始めたら20代、30代だって選挙権与えていいのか?と思われる人もいますし、老人に投票するなという口でたった16の子供に選挙権を与えるべきというのも矛盾していると思うのです。

ちなみに我が家の子供は先日16歳からの参政権を求めるデモに参加しましたし、私と私の周囲の人間はほとんど残留派です。
それだけに離脱派の勝利には驚きました。
それでもこれからの人たちがこの結果を踏まえながらイギリスを良い方向にまた変えていってくれたらと切望しています。

Atsuko さんのコメント...

はなまるさん、コメントありがとうございます。
確かに16歳に参政権を与えるなら、なぜ15歳でないのかとか、どこかで線を引かなければいけないことですしね。

友人のお父さん(老人)なんですが、どちらに投票するか決めかねていたので、17歳と14歳の孫に、「どちらに入れて欲しいか、お前達の将来のことだから、お前たちが望むように投票してあげよう。」と聞いたそうです。そういう風に考える人もいたとおもいたいです。