話の筋は省きますが、主役のアンナカレーニナはキーラ・ナイトリーです。彼女は確かにすごく人気があるんだけど、初めにキャストを聞いたときから、アンナには向いてない気がしました。映画評論家は大体好意的に書いてますが、私はやっぱりミスキャスト と思うな。
小説の中の私のイメージは、もうちょっと濃厚な感じのしっとりとした30代の美女。キーラナイトリーのあの屈託の無い笑いは全然イメージに合いません。それになんといっても彼女は細すぎて、ぜんぜんセクシーさを感じない。人妻アンナが当時では考えられないような犠牲を払って愛人ブロンスキーに溺れていくという話だけど、キーラナイトリーのアンナに細くては色気がぜんぜん無くて、そんなムードまったくなし。
ブロンスキーはアーロンなんとかという若手の俳優でした。彼の演技のせいか、それとも脚本のせいか分からないけど、これも役不足。ブロンスキーは、社会的地位のある人妻が抗えないほどの暗く強く決定的な魅力のある、しかし根本的には誠実さと真摯さに欠ける男。その人目を引くプレイボーイ的面はよくできていたけど、彼の魅力に説得力がなかった。小説ではもっとニヒルなタイプだった記憶があるんだけど、映画では遊び人という感じでした。
それになんといっても、この二人を絶対的運命的に惹きつけるケミストリーがぜんぜん感じられませんでした。
そしてアンナの夫がイギリスではすごく人気のあるジュード・ロー。彼の演技自体はよかったんだけど、それが裏目にでた感じでした。小説では彼はほとんど印象に残らない、つまらない官僚だったと記憶してるんだけど、映画の中ではちょっと深く描きすぎで、どうしてアンナがこんないい人を捨ててあんなちゃらちゃらした若造と、大してよくも無いセックスに溺れるのか疑問に感じるほどです。はげてめがねをかけてはいるんですが、やっぱりハンサムは隠せない。退屈な旦那を演じるにはいい男過ぎます。
映画自体は、ちょっと変わった構成でした。普通のドラマではなく、舞台のお芝居みたいな組み立てです。お芝居の部分もあり、ミュージカル的な部分もあり、普通の部分もあり。私はこれはこれでなかなか面白い試みだなあと思ったけど、一緒に行った人たちはあんまり好きではなかったようです。
でも全体としては、2時間以上の長い映画なのに全然退屈する部分も無くて、悪くない映画だとは思いました。小説を読まずに見たほうが、先入観が無くてもっと楽しめるかもしれません。
映画を 見たあとに思い出したんですが、アンナカレーニナ、実はすごい大昔、大学1年のときに、私の在籍していたロシア語科全員が大阪のソ連領時間に招かれて、ロシア語で字幕もなしに見たことがありました。その時はロシア語を勉強し始めたばかりでぜんぜん分からなくて(その後大して上達もしませんでしたが)、本もまだ読んだことなくって、それでも最後まで見たような記憶があります。
ぜんぜん内容は分からなかったけど、最後のシーンだけがすごく印象に残ってます。話を知らない人や映画を見に行く人のために、 どういうものかは伏せておきますね。
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4 件のコメント:
領事館に行きましたね。
ニエマグウ
っていう台詞があったのと
主演女優が京マチ子に似てると
思ったのを覚えているぞ。
ワレンチーナさん、行きましたよね。総勢50人で行ったのかなあ。長い映画だったんだろうか?内容の記憶は全然ないです。
ニエマグウ?それ何?
映画のあとで、田中先生が、「私が初めてロシア語の映画見たときは、シュトー・エタしか分からなかったわ、おほほ。」と、上品にかわいらしくおっしゃっていたの覚えてます。あと豪華な階段のシャンデリアとか。
なんとあれから30年近くになるではないか!!!!
鮮明に思い出しました。
映画の中で、暗闇で人の動く気配がして「クトーエタ」ってセリフ。
私たち生徒全員笑ったのよ。これだけは自信持って分かったからね。
とっても懐かしい。
(追伸・とってもお久しぶり。でも読んでますよ!)
ぎちゃん、コメントありがとう。
シュトーではなくて、クトーだったのか。そういわれてみればなんとなく思い出すような、暗い小屋か何かに隠れてる場面だったっけ?
豊中のソビエト領事館。
あの頃はあの10年後にソ連がなくなっちゃうなんて誰も思わなかったよね。やっぱり昔のこと。
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