2013年2月12日火曜日

リンジー

デイブの昔からの友達で、リチャードという人がいます。彼の奥さんが、リンジーと言う名前なんですが、本当にいい人なんです。私と同じ年で病院の婦長さんをしているのですが、本当に明るくて気さくで優しくて一緒にいて気兼ねしなくて楽しい人。

私はリチャードとリンジーと、もう15-16年くらいお付き合いしています。遠くに住んでるので年に1回お互いの家に泊りに行くかどうかという感じなんですが、私とリンジーは本当に気があって、私は彼女と時間を過ごすのが大好きです。

この夏はロンドンオリンピックがあったので、4泊も泊めて頂きました。お互い別々のイベントのチケットを持っていたのですが、一日は一緒にロンドンまでマラソンを見に行ったりもしました。そしてその数日後には彼らが9歳の娘さんと一緒に泊りに来てくれて、また一緒にテレビでオリンピック観戦をしました。

そのリチャードから昨日電話がありました。私が電話を取ったんだけど、声を聞いただけで何か良くない予感がしました。

リンジーが乳癌になったそうです。見つかったのは3週間前。しかも、どういうわけで発見が遅れたのかわかりませんが、骨に移転しているそうです。

リチャードは何でも物事を最悪の場合を考えるタイプなので、彼からの話では、「もう乳房摘出も出来ない。」ということでした。それを聞いたデイブも、目に涙をためてました。

でもリンジーのことだから、結構本人のほうが元気にしてるような気がします。看護婦だから治療法とかについても知ってるだろうし。むやみに楽観的でもないとは思うけど、リチャードのようにお先真っ暗という感じでもないんじゃないかな。たぶん現実的に、今後の治療のステップや家族のこと、仕事のことなどを考えてると思う。

私はこれを聞いて、すぐにリンジーと話をしたいなあと思ったんだけど、きっと彼女はそれどころじゃないと思って、それで今朝手紙を出しました。手書きの手紙を書いたなんて何年ぶりな事か。でも今でもメールやメッセージじゃだめないこともあるんだなあと改めて思いました。

移転した乳癌、予後は良くないことは知ってるけど、でもまだまだ医療ができる事はあるはず。完治しないまでも、子供がいるんだから、少しでも長く元気に暮らさなければいけません。不妊症治療で出来た娘さんはまだ9歳。せめて中学に行くまでは元気に生きないと。

こういうことがあると、本当に往復ビンタを食らったような気分になります。何をつまらないこと言って、甘えて、文句言って暮らしてるんだって。だれそれの態度が気に入らないとか、忙しすぎるとか、誰も手伝ってくれないとか、 お金がないとか、時間がないとか。そんなつまらないことを口実に、自分の周りにある楽しいこと、素晴らしいことに目を向けないで、不満一杯で日々をすごすなんて。

前回同じようなことを思ったのは地震の時。あの時も、こんな日常的なつまらない愚痴を抱いて、家族みんな元気でやっていることをぜんぜん感謝もしないで生きてるなんて、罰当たりなことだと思いました。

感謝をするというのは神仏にというのではないし、罰当たりというのも、本当に罰が当たると思ってるわけじゃありません。でも、気持ちさえ切り替えればいくらでも楽しいことも素晴らしいことも美しいこともあるのに、あえて不満なことに目を向けている自分の愚かさを改めて思い知らされるわけです。

エイブラハムの教えのエッセンスは、Wherever you are, reach for the best feeling thoughts.(どんな状況にあろうと、できるだけいいことに目を向けなさい。)。本当に人生の一番重要な教訓はこれだと思います。

たぶんリンジーも、できるだけ気持ちを明るくもって、毎日ポジティブにやってることと思います。奇跡なんて世界中で常に起こってるんだから、彼女も全快しないとも限らないんだし、とりあえず最低でもあと数年は元気にやってくれるものを信じています。

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4 件のコメント:

ぎ さんのコメント...

お友達はきっと仕事上病気を克服したり病気とうまく付き合った見本となる患者さんをご存じのはず、前向きにかならずやいい方向に進んでいかれることと念じてます。

乳がん、同じ世代にも本当に多いです。イギリスでも健康診断受けたりするのですか?我が家の場合、私が人間ドックのようなのを受けると高額(自費だと5万くらいする)なので簡単なものだけど、マンモグラフィーと超音波はオプションでもやります。一度胃がんの疑い、と言われた時は娘も9歳くらいだったし本当にいろいろと考えました。

あくあ さんのコメント...

そうかぁ・・・ほんと乳がん多いですね。私の周りにもいっぱいいますけど、ほとんどの人はけろっと治ってますね。しかし、看護婦さんなのにどうして発見が遅れたのかなぁ。まあ誰しもがんだと言われるといろいろ考えちゃうでしょうけど、どこかで開き直って前向きになってくれると信じてます。

しかし、あつこ、そんなに不満たらたらには全く見えないけど?

Atsuko さんのコメント...

ぎちゃん、イギリスはすべてNHSという国家医療サービスで無料なんだけど、自分では選べないというか、家庭医に紹介状を書いてもらわないと、検査は受けられないんです。でもなかなかきちんとシステムが整ってるし、むしろ日本のように過剰医療にならないから、それは安心かな。もちろんどうしてもという人はプライベートで受けられるけど、そういう人は少ないね。
女性は20代から子宮頸がん、49歳からはマンモグラフィーの定期検査に呼ばれます。
早期発見早期発見とあまりに躍起になると、心配性になるし、バランスが難しいよね。

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、イギリスはきっと日本よりも乳癌が多いはず。女性の3人に一人は人生のどこかでかかるという統計らしい。でも乳癌って、やっぱり欧米のほうが断然多いから、食生活に関係あるのかなあ。

私もどうして発見が遅れたのかなあと思ってました。彼女は自分でチェックするタイプではないけど。医者の不摂生というやつかなあ。

ありがとう。不満たらたらというわけじゃないけど、周りの人がやるべきことをきちんとやっていないと、すごく頭に来て、すべてを取り仕切りたくなるタイプです。あんまり人を信用できないというか。ストレス。