2010年9月1日水曜日

ねじを巻く

村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」という小説に、世界のねじを巻く鳥が出てきます。姿は現れず、その声だけを聞く主人公が、まるで世界のねじを巻いてるような音だと思います。

そういう「ねじを巻く日」が日本から帰ってきて続いていました。

はじめの数日は時差ぼけで朝早く目が覚めたし、しばらくはなかなか調子が戻りませんでした。何もする気もしない、ただ必要最低限のことだけしかする気にならない日々。先のことを考える精神的余裕がなくて、ただその日その日をこつこつとやり過ごしていくだけの日。そういうのはまさに「ねじを巻いている」という気がします。うつ病だとかそんなたいしたことではなく、ただ調子が出ないだけ。ただ淡々とやるべきことをこなしてねじを巻いていれば、そのうち元気が出てくるだろうということはわかっています。

いつも日本から帰ってくると、なかなか変な感じが抜けません。特に今年や去年は長く帰っていたので、余計です。まるで日本には日本で私の人生はちゃんとあって、イギリスにもそれは存在して、その二つの人生をスイッチしてる感じ。これって、たとえば大阪と東京などのように実家から遠くに住んでる人って、同じなのかなあ。そして私の場合は、おそらく日本で「もしも私がイギリスに住んでいなかったら」という選ばなかった選択肢を考えさせられるからでしょう。

15年近く前、お正月に日本に3週間帰ったことがありました。そのときは途中で家族とハワイにも旅行しました。それでこっちに帰ってくると、1ヶ月くらい本当に調子が悪く、うつ病になったのかと思いました。友人に「そりゃあ実家に帰って、しかも常夏のハワイなんてところからこの寒くてくらいイギリスに戻ってきたら、鬱にもなるでしょう。」といわれました。ごもっとも。

イギリスはここ数日また暖かく、天気が良いです。今日は午後はルイの学校の友達やそのお母さんたちとビーチでバーベキューをして、太陽をたっぷり浴びてきました。

そろそろ調子が戻ってきそうです。

調子といえば阪神はすごくいい調子! 鳥谷君は球団新記録です。ただの野球とはいえ、阪神が勝つと気分良いですね。もしも私がイギリスに住んでいなければ、絶対阪神のファンクラブに入って、黄色のユニフォームを着て甲子園で応援しています。

6 件のコメント:

こんの さんのコメント...

> そろそろ調子が戻ってきそうです
あつこさん 拝読した感じでは、復調したように思われますが...
こちらは相変わらず酷暑で、思考力ゼロになってしまいます
なにも思い浮かびません
ねじをまくことすらしたくない(笑い)

阪神 頑張ってますねぇ

Atsuko さんのコメント...

こんのさん、調子って徐々に戻ってきて、気づいた頃には回復という感じになるんでしょうかねえ。
うちの母も電話で暑いとこぼしていました。イギリスの寒さがうらやましいとも。あの異常な暑さに比べると、イギリスの寒さのほうがましかなあ。
8月の上旬に数日暑いのは我慢しても、こんなにいつまでも暑いと、本当にばてますよね。

あくあ さんのコメント...

ふーん、海外暮らしをしているとそんなことがあるのね。国内ではないと思うよ。そんなに変わらないから。ま、人間は順応するから、じき戻りますよ。

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、日本に住んでると、そんなに長く実家に帰る事も無いだろうしね。ああ、また退屈な毎日が始まるという、ホリデーあとの腑抜け状態かなあ。

ふぅ さんのコメント...

あつこの書いていること、私も身にしみるわ~。日本から帰ってきたら、いろいろ考えるよね。
ところで、タイガース。近年は強くなったけど、その昔「ダメ阪神」とか言われてなかったっけ?私が小学生の頃って、同級生の男の子たちが阪神タイガースか阪急ブレーブスの子供会みたいなのに入っていた気がする。
でも、やっぱり強い方が応援する甲斐もあるし、実家でも毎晩盛り上がっていました(笑)。

Atsuko さんのコメント...

ふぅさん、でしょ。去年あなたが「里心がついてきた」と書いていたけれど、本当にそんな感じかなあ。いわゆるホームシックというのでしょうか。それにやっぱり年齢的に、いろいろ考えるよね。特に子供の手がだんだんかからなくなってくると。

そりゃああんなところに住んでいれば、盛り上がるでしょう。歓声が聞こえてくるっていうことはない?昨日まで甲子園で3連勝、今年はいけるか?優勝確実となったら、やっぱり大阪に帰りたいねえ。