2009年9月5日土曜日

経済活動

仕事のことをほとんどブログに書いたことがないので、何をしているんだろうと思っている人もいるかもしれませんね。百姓ではありませんよ。

私の名刺には、「ヨガの先生、アロマセラピスト、リフレクソロジスト」と書いてあります。

30歳くらいのときに銀行の仕事をやめたとき、ちょっとお金があったのでぶらぶらしていました。それで、どうしてもシティーに戻って金融業を続ける気になれず、アロマセラピストになろうと思いついて、9ヶ月間アロマセラピーの学校に通いました。そしてその間、週末にはリフレクソロジーの学校に行って、そっちも資格とりました。ヨガのほうは完全な趣味だったんだけど、興味本位でティーチャー・トレーニングのクラスにも行っていました。

そうするうちに、アロマの学校に通ってる間に、人からヨガをスポーツクラブで教えないかと話が来ました。それがヨガの先生になったきっかけです。

アロマのほうはロンドンでもデボンに越してきてからも、部屋を借りて営業していたんですが、出産を期に続けられなくなりました。それでそれ以来、こちらのほうは細々と家に時々お客さんが来るくらいです。昔はアダルトスクールで教えるくらいがんばってたんですが。

一方ヨガの方はなぜか、とんとんと話が進むんです。おそらくセラピストよりヨガの先生のほうが人数が少ないんでしょうね。3年位前まではデボン州の運営するアダルトスクールで教えていて、忙しいときは週に8クラスくらい教えていたんですが、そのころいろいろアダルトスクールの再編成があり、そこで教えられなくなりました。

それで3年位前から、家の近く(徒歩10分)の村の集会所で教え始めました。これは自分でホールを借りて自分で宣伝してと、すべて自営なので、はじめは少し心配したのですが、まずまず盛況で今は週二回、村で教えています。この村って人口100人以下だと思うんですが、村で働いてるひとって、農家を除いてほかにはいないだろうなあ。

そのほかに、北デボンカレッジという短大の夜間の部で、週に2クラス教えています。

だからこの夏まではレギュラーのクラスは週に4回でした。実労5.5時間。お金のほうは時給にしたらもちろん普通の仕事よりはずっと良いけど、でも何しろ働く時間が短いから、それほどの収入にはなりません。

でも9月からまた学校の年度が変わるので、新しく3クラス始めることになっています。ただしこちらは最低10人くらいは集まらないとキャンセルになるので、うまく行くかどうかはわからないんですが。

というわけで私がしている経済活動は、週に4回ヨガを教えに行って(それも学校のある間だけ。学校がお休みのときは私もお休み)、週に一人くらいアロマのお客さんが来て、それだけです。あと春から秋にかけては畑仕事しています。これは売らないので収入にはならないけれど、その分家計は浮いているので、経済活動ですね。あ、あと時々日本にアロマセラピーのオイルを輸出しています。


そしてこれは経済活動ではぜんぜんないんですけど、子供が学校に行っている昼間は、できるだけエッセイなどを書くなど文筆活動しています。今までのところ、イギリスで出版されている日本語雑誌のほかには活字になったことはないので、ぜーンゼン仕事ではないんですけど、趣味と思うと怠け心に負けてしまうので、お金にならない仕事と思って、自分を律しています。

あとはもちろん主婦というか母親業しています。炊事洗濯掃除など、全般。まあうちはほぼ毎日1日3食家で作るし、家が広くて子供が小さいので、これも仕事といえば仕事ですなあ。

こうして思うと、私って本当に幸せですよねえ。銀行で働いているのが嫌で嫌で、やめてからは、二度と人に雇われたくない、やりたくない仕事をしたくないと思っていたら、今まで何とかなってきてるんですからね。好きなことしてお金もらって、上司も嫌な同僚もいないし、通勤もないし。これで何とか生活していられるのは、まあもちろんデイブが働いてるからなんだけど。

デイブも好きなことして働いてます。家具職人で、高級家具をビデフォードの町のワークショップで作って、年に何回か外国やロンドンに取り付けに行きます。普通の人が買えるような額の家具ではないので、驚くようなお屋敷や有名人や、豪華ヨットなんかに取り付けに行ってるようです。

まあ彼の場合は労働時間も長いし、結構きつい肉体労働なんだろうけど、でもすごく好きでやっています。とにかく家具を作るのが何より好き、という人なんです。お金のほうは最低ではないけど、あまりよくもない。公務員程度か。でもどういうわけかひょんなことから、今まではボスに雇用されていたのですが、最近ビジネスのパートナーになってしまいました。大丈夫かなあ、この人。ビジネスなんかできんのかな。まあ、収入が減らなければ、私としてはどっちでも良いんだけど。

でもとにかく、私も彼も自分の好きなことして、お金もらってるんですよね。だから職業に関しては、われわれはとっても幸せと思います。

こんな良いところに住んでるし、家で採れた野菜や果物を食べて、蟹が取れるくらいきれいな海も近くて。好きなことしてお金もらって、空いた時間は趣味で詩やらエッセイやら小説書いて。

贅沢なって思いますか?この間書いたmidlife crisisの件、こういったバックグラウンドで、私は「ああでも、何か満たされない。」って言っているんです。要するに人間って、川の水と同じで、一所にじっとしていると、濁ってしまうのかなあ。だから私は、ああ、何か新しいことしたい、と思ってるのかなあ。

6 件のコメント:

こんの さんのコメント...

イギリスの農業ですが、農家の所得はいくらぐらいあるのかなぁ
農業で生計が成り立つのはもちろんでしょうが...
あつこさん家の農地は、農家のそれとずいぶんと違うのでしょうか?

あつこさんが起業するとすれば、どんなことをやりたいと考えてるのでしょう?
興味津々ですなぁ

お子さんたちは、将来なにをしていきたいと言ってますか?
うふふ 今日は???の連続

Atsuko さんのコメント...

イギリスの農家はすごく苦しいようです。デイブのお兄さんも、乳牛が200頭以上いる農家だったんですが、赤字続きで、農家をやめて、土地に豪邸を建てて売り払いました。うちの農地は確か2500坪くらいなんですが、そのうちの10分の一くらいを畑と菜園にしてるだけで、あとはほったらかしです。もったいない話だとは思うんですが。

昔はアロマとかのクリニックをしたいなあと思っていましたが、今はイギリスと日本に半分ずつ住めるような仕事があれば良いのになあと思ってます。イギリスで日本の翻訳するとか、あっても良いんじゃないかと思うんだけど。

子供は、ルイは科学者、チャーリーは獣医になりたいそうです。昔は恐竜博士だったんだけど。

あくあ さんのコメント...

いい環境で好きなことをして暮らせちゃうと刺激が足りなくて、何か他のものを求めちゃうんじゃないですか?私は常に新しいこと、刺激的なことがないとすぐに飽きちゃいます。毎日同じ日が続いても心穏やかに、こんのさんがおっしゃるように、「存在することが幸せ」の域に達したいと思うけど、まだ20年くらいは無理みたいです。

本読みと山歩き さんのコメント...

あつこさんらしい、仕事ぶりでうらやましい。
ヨガも習っていると、それを先生をやらないっって誘ってくれる人がいる。
その人の能力と人となりが、今のあつこさんとなっているんですな~。
サラリーマンっというのは、嫌な上司もいるし、いやだと思う仕事もたまにはありますが、きっと“楽”なんだと思います。労働時間はある程度決まっているし、自分の時間をもてますから。
実家は自営業ですが、24時間/365日、自分でなんでもやらねばならない、子供の頃、その様子をみてましたから。
それが好きなことなら、きっと楽しい!?
経済活動と自分の仕事がうまくマッチすることはなかなかありません。
基本的な楽観主義者の私は、仕事も極力良いところだけを楽しみ、プライベートは好きに楽しむよう心がけています。
「ここで満ち足りた」と思えばその人の成長はとまり、「足ることを知る」らねば人はいつまでも不平不満をいう。
禅問答のようですね。
仕事風にいえば、「理想は高く、目標は達成可能な範囲で立て、ちょっとずつ前進する」!
私の場合、妻(パートナー)と将来、とあるところに住んで、自給自足の生活に挑戦して、庵の中で“本当の人間の姿は、自分を高めるとは”を考えること!?です。
“悟を開く”ことか、これは!??(笑)

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、人間は常に動いているものだから、常に前進したい、拡張したいと思うのは同然のことで、むしろ止まってしまう方が危険だと思いますよ。平穏って聞こえは良いけど、人間って平穏な生活を送るために生まれてきているわけではないと思うけど。
だからそれで、いつも新しいことを求めて同然なんだと思いますよ。

Atsuko さんのコメント...

山歩きさん、サラリーマンって楽なのかな。確かに決まったお給料もらって、一応生活が安定してるのは、うらやましいけれど。私も金融で働いていたときは、「会社の私は死人だ」と自分に言い聞かせて働いていたけど、ある日、「このままでは一生こんなことをしていなければいけない。」と思って、愕然としました。
やめたときは衝動辞めだったのですが、その後時々またそこで働いている夢を見て、冷や汗で真っ青になって目が覚めます。そして、ああやめてよかったってしみじみ思います。
でもその銀行が合併併合になって、一緒に働いていた人は住宅ローンが返せるくらいお金おもらってやめたと聞いて、ちょっとだけ後悔しました。

私も自給自足を目指して時期もあったのですが、今は興味が薄れています。畑仕事は楽しいんだけど、それだけのパッションはないんだろうなあ。