カトリック教についてもサイババについても興味のある人は少ないだろうけど、こういう宗教戦争のご時世にぴったりのタイミングだったので、書きます。
この本は1990年代の初めに、バチカンの現職の神父さんによって書かれました。神学を学び、バチカン内のPR関係の仕事についていた神父さんですが、40代の頃に宗教的な内的危機を迎え、持病となる難病を患ったこともあり、いったんバチカンを離れローマに戻ります。
その頃東洋の宗教やスピリチュアルに惹かれ、ついにインドにサイババに会いに行き、サイババの信奉者となります。
サイババはキリスト教でもイスラムでも、他の宗教を否定しないですから、この神父さんは立場的にはカトリックのままで、9回もインドのサイババのアシュラムに行き続け、この本を書きます。
著者はもともと神的なことにはぜんぜん抵抗のない人ですから、サイババの奇跡などは、まるで普通のことのように受け入れているので、あまり本では触れられません。本の内容はむしろ、カトリックの教義との比較が多いです。
そして彼はついにはこの内的矛盾を抱え続けることができず、この本を出版することにより、カトリック教会に対し、「サイババは神の化身であり、イエスキリストと同じであり、その教えは根本的には同じである」(サイババの教えの通り)とのオープンレターを書きます。彼はイエスキリストもカトリックもサイババも同じように愛しているのです。
しかしそれにより、予想できたことですが、カトリック教会から破門になります。
破門になるとは、教徒に話すことも教会に足を入れることもできなくなり、それまでバチカンから与えられていた住宅や給与だけでなく、年金などのすべての金銭的特権も取り上げられます。しかも、現代でこそこれだけですが、中世なら教会の中庭で、火あぶりの刑に処されていたのと同じ罪とされています。
本はここで終わるのですが、ネットで調べたところ、その後彼はインドに渡りサイババのアシュラムに住み、まだ若くして40代で、サイババに看取られて亡くなったそうです。
日本ではカトリックもプロテスタントも同じキリスト教で区別付かないだろうけど、イギリスでは一部のリベラルな人からは、カトリックは「諸悪の根源」のように思われています。
まず避妊、中絶、離婚禁止。同性愛は罪悪。エイズは同性愛者への神からの罰。HIV感染をエイズの原因と認めず、未だにコンドームの着用を禁止。同棲は罪悪。
そして宗教的対立の元になる、他の宗教への不寛容さ。
それでもカトリック教徒は世界中にたくさんいるから、私の知識が偏ってるんだろうとは思うけど、それにしてもこの本は、カトリック教会がいかにポリティカルな時代遅れのエリート主義の団体かが垣間見れる本でした。
サイババに関しては、それほど触れてなかったので、またサイババ関係の本を2冊アマゾンで注文しました。楽しみです。
では、ここまで辛抱して読んでくれた奇特な方がいらっしゃったら、こちらもよろしくね
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2 件のコメント:
へえ、カトリックって未だにそうなのか。ある意味、原理主義なんだねぇ。ともすると怖いかもね。
そうそう、原理主義、私もそう思った。この宗教抗争の時代、ちょっと怖いよね。
私の友達はオーストラリアでカトリックで育ち、子供のころ毎週ミサに連れて行かれたんだけど、神父さんはすべて礼拝を祭壇に向かって、信者に背中を向けて行い、しかも全部ラテン語だったんだって。その子はすごいアンチ・カトリックに成長したよ。
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