2010年3月27日土曜日

誰にも属さない土地




うちの家は道路からプライベート・ドライブに入って、30メートくらい先に家が建ってます。このドライブはうちとお隣さんとお向かいさんの3軒で共有していています。そのドライブの左側が私たちの土地で、右側に道路に面して別の家(Aさんの家)が建っています。

このAさんの家とドライブの間にドライブに沿って長さ5メートル、幅1メートルくらいの草地があります。この土地が誰に属しているかわからない。草が生えていますからほうっておけばぼうぼうになりますから、時々誰かが草を刈ります。昔はお向かいさんが世話をしていたのですが、おととしこのAさんたちが引越ししてきて以来、彼女たち夫婦は普通以上の情熱を欠けて整備しています。壁沿いに花を植えたりまで。

それで私たちはちょっと危機感を感じていました。イギリスでは誰にも属していない土地は、世話をしてる人のものになるという法律があります。(何年か世話をし続けなければいけないとは思いますが。)どうやらAさんたちはそれを狙ってるようなんです。確かに位置的には彼らの家の真横なので、彼らが所有するのが理にかなってるようではあるんですが、私たちにはそうなると困る事情があるのです。

というのはこのドライブは、自家用車が通るにはぜんぜん狭くありませんが、トラックが通るのはぎりぎりで、そういう時はこの草地に乗り上げて入ってきます。日本では聞いたことありませんが、うちはガスが通ってないので、暖房や給湯の燃料はディーゼルオイルを使っていて、これを年に数回1回につき1トンずつ、大きいタンクロリーで家の裏にあるタンクに届けてもらうんです。だからこのドライブが狭くなるとすごく困るんです。

もちろんディーゼルだけでなく、大きいものの宅配だとか、緊急の救急車や消防車もここに入れないと困ります。

今週木曜に私が買い物から帰ってくると、このAさん夫婦がまた熱心にここを世話をしてるのが目に付きました。それでどうしようかなあと思ったんですが、思い切って話しに行きました。

花を植えたり草を刈ったりして世話をしてくれるのはすごくうれしいが、実はこの土地を所有されては困る理由がある。なぜなら、ここに建て増しなどをされてドライブが狭くなると、生活ができなくなるからだ。あなた方はそういうことをしないだろうけれど、将来この家が売りに出たときに、次の所有者がそうしないとも限らない。だからこの土地はこのまま誰にも属さないままにしておきたい。というような旨でした。

すると彼女はとってもよく理解してくれました。ガーデニングがすきだし、自分たちは年金生活者で仕事も退職してるし、時間があるから世話をしている。そういう事情はちょっと聞いていたので良くわかっている。この土地を自分たちのものにしようとは思っていないし、ぜんぜん心配しなくてもいいとのことでした。

このことは実は去年の夏からちょっと懸念事項になっていたので、とってもほっとしました。だってこういうことってこじれると必ずや弁護士が中に入って、すごくお金がかかってややこしいことになって、近所づきあいが無くなるからです。そうなると誰もが居心地が悪い。

実はこのA さん、1年位前からヨガに来てくれてるんです。それで仲良くなったし、先日はヨガの後お茶に招いていただいて、1時間ほどあれこれおしゃべりするということもありました。

こういう田舎って実はこういう土地の境界線についての問題が絶えないんです。図面を見ても良くわからないことが多くて、境界線がどこか良くわからない。

でも普段から仲良くしている人とは、こういうことがあってもちゃんと誠実に話し合えば大体解決するし、近所づきあいって大切ですね。先日お邪魔したときは、昼間からこんなことして油売ってていいのかなとちょっと思いましたが、それが良かった。

今週はずっと雨でしたが、今日はちょっと晴れたので、たまっていたガーデニングをしました。庭の様子を写真で上げときます。

6 件のコメント:

こんの さんのコメント...

あつこさん 今日のブログもとても現実的といいますか、(そうだなぁ 分かる、わかる)と頷いて読みました
いいところに落ち着いてホッとしました

境界 それって、なかなか面倒なのです
感情的になりやすいのでね
境の曖昧な畑もありますから、よく分かります

仲良く暮らすのがいちばんですねぇ

Atsuko さんのコメント...

こんのさん、わかりにくい話ですみません。こんのさんのところでもやっぱりありますか。田舎ってそうみたいですね。都会ではありえないことでしょうけど。

この辺はどこでも車で行くので、近所に住んでいてもあまり顔を合わすこともなく、なかなか田舎でも近所づきあいは難しいです。

本読みと山歩き さんのコメント...

土地の問題は、田舎も都会もはっきりさせておいた方が良いのに、誰の土地でもない!?場所があるなんて信じられない。
一応、線引きとかなんとか決めておいたほうが良いような気がしますが。仲良く。

やっはり、あつこさんは私にとっては、とってもよいところに住んでいますね。
丘陵地帯で、立派な木(スギかヒノキ?)があって、自由に花が植えられて。
ところで、写真にある水仙は、球根を植えるんですよね。自生じゃないですよね。
こっちでも、あちこにで見かけるもので。

Atsuko さんのコメント...

山歩きさん、こういうややこしい土地があるんですよ。大きい土地ではないんですが、昔の不動産の図面を見ても、古い地図のコピーにマジックで線が引いてあるだけで、誰にも弁護士にもわからないんです。

この木はすごく大きいんですよ。10メートルくらいあるんじゃないかな。こういう木を所有してるというのは気分はいいですが、家の保険とかが高くなるし、数年前植木屋さんに枝を切ってもらったときは、二人で1日掛りで、しかも5万円くらいしました。
水仙は5年位前に植えました。毎年だんだん増えてきます。でも森とかに行くと、自然(のような)水仙もありますね。きっと野生化したんでしょう。

あくあ さんのコメント...

正直に言いに行ったのはよかったね。勇気あるね。そしていい結果もついてきて。世の中捨てたもんじゃないですね。

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、その人と仲良くなったのでいいやすかったですね。そうでなければ言いにくかったと思います。

この土地って広さにすると5平方メートル位で、これがロンドンにあるとすればそれだけでかなりの金銭的価値がありますが、こういうところの土地は本当に価値がないので、割合あっさり話がつくんでしょう。