2016年4月9日土曜日

イギリスの階級制度 2

イギリスの階級制度は、伝統的には、Upper class, Middle class, Working Classと言われています。上流階級、中産階級、労働者階級です。上流、中流、下流でないところに注目です。

上流って言うのは、お金持ちや資産持ちという定義ではありません。イギリスで言う上流とは、ロイヤルな方たちのことです。ロイヤルファミリーのメンバーではなくても、Lordやら、Countessやら、いろいろイギリスには称号があり、いわゆる「貴族」です。日本で言えばお公家さんですね。なので、パーセンテージ的にはすごく少ないです。他の階級と入れ替わったり混ざることもないですから、話題にもならないグループです。ここでも、話題からはずします。

中産階級って言うのは、日本の中流とはちょっと違います。日本の中流って「庶民」とほぼ同義語ですよね。イギリスではミドルクラスって言うのは、よく言えば「教養のあるお金持ち」、悪く言えば「ちょっとお高くとまった人達」という印象でしょうか。

定義を検索してみましたが、流動的なものですから、これといった確定したものがありません。経済的には、財を生産する手段を持つ人達のことだと思います。ビジネス経営者や、プロフェッショナルな職業がこれに当たります。職業は、お医者さん、先生、会社経営、商売、などなど。特徴としては、ある程度の資産(持ち家、貯金)があり、大卒。

労働者階級とは、言葉の通り、働いてお金を得る人達。大体がブルーカラーワーカーを指します。職業で言えば、伝統的には炭坑夫(今は炭坑はすべて閉鎖になりました)。今では、工場やお店で働く人達。

でももちろんこれは、ざっくりした定義で、それにはまらない職業もいれば、はまらない人達もたくさんいます。というか、大体の人はどちらにも当てはまる部分を持っていると思います。

というわけで、もともと階級制度というのは、職業(そして派生的に収入)による階級だったのですが、今でも階級制度が話題になるのは、文化的や生活的にいろんな方面で、階級での違いが現れてるからです。時々は、ここはイギリスというひとつの文化ではなく、二つの文化が平行して存在しているようにも感じられるほどです。

私的に断言してしまえば、階級を決めるのは、その人がどういう文化に属しているかだと思います。

たとえば、聴く音楽、趣味、好きなスポーツ、好きな洋服のスタイル、ホリデーの過ごし方、見るテレビチャンネル 。こんなものにも階級が現れています。例を挙げると、スポーツは中流はラグビー、労働者階級はサッカー。ホリデーなら、中流はスコットランドやフランスで2週間、散策やお城めぐり。労働者階級は、スペインの南の島のプールつきのホテルで海水浴。テレビは、中産階級はBBC2とチャンネル4、労働者階級はITV (って、これはさすがにイギリスに住んでないとわからないだろうなあ。)

イギリスの階級制度で誤解して欲しくないのは、中産階級が労働者階級より上だとか優れているとかいうわけではないということです。確かに中産階級のほうが資力も資産もありますが、住んでいる者にとっての実感は、あくまでも二つの相容れない文化圏だということです。

実感だけを例えて言えば、巨人と阪神とか、東京と大阪とかに近いかもしれません。東京の人が大阪を「お金にがめつくて、漫才師とやくざの住む町」と思い(かな?)、大阪の人が東京を、「かっこつけの、田舎もんの集まり」と思ってるようなものでしょうか。(笑)

前回このテーマで書いたときに、コメントがありましたが、80年代のサッチャー時代には、反サッチャー派の運動は、パンクのムーブメントから、左派知的階層を巻き込んで、それはそれは盛り上がったものでした。 その頃は、私のようなよそ者の目には、イギリスの労働者階級ってアンチエスタブシュメントで、それはそれはたくましく映った物でした。

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4 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

すごいね、その分類。そして、東京と大阪みたいなもんという整理もすごい。

BBCとかだけ見てる人々と言われるとエスタブリッシュメントな感じがするけど、それに先生とかも入るのか。日本で先生と言うと、家に帰るとワイドショー見てそうなイメージだけど、イギリスの先生はもっと立派なのね。

Atsuko さんのコメント...

日本でも先生はワイドショーっていうイメージはないでしょ~。先生の立派さは、日本もイギリスも同じくらいと思うけど、中産階級が立派と言うわけではないよ。階級には上も下もないんですよ。東京と大阪とか、京都と大阪とか、左京区と宇治とか・・・・って、ますますわからんか。

イギリスはテレビは基本チャンネルは5つしかないから、(衛星放送以降増えたけど、BBC4とニュース以外だいたい見るに耐えないものばかり)、そしてその2つがBBCだから、皆実は結構BBCばっかり見てるよ。労働者階級はBBC1,中産階級はBBC2かな。

nekonasu ねこなす さんのコメント...

なんか、よくわかります。
うちのダンナの実家は完全なる労働階級で、ダンナもその気持ちのままですが、実際にはダンナは家族の中で初めての大卒となり、完全に中産階級のような行動を取ってます。(笑)
いつも子供たちとも話してますが、たぶん過渡期というか・・・
ダンナは認めたくないけど、やっぱり労働階級な部分はサッカーファンということくらい、って感じです。(笑)
私の周りの先生は(子供たちを通した経験)、立派というよりビジネスライクというか、自分の都合でサッサと辞める、という印象の方が強くてあんまり良くない感じ。
もちろん例外もいて、素晴らしい先生たちとも出会いましたが。

↓ところで、ほんとに南西部ってアイキアが少ないですよね。
長女を大学に送って行く時に、足りなければ近くのアイキアで買い足せばいいね、と思ってたら、ぜんぜんないことが分かってビックリしました。
だって、一番近いのがブリストルなんてね〜。
うちからだと、最寄りのアイキアまで車で15分くらいなので、いつでも行ける感覚でした。

Atsuko さんのコメント...

ねこなすさん、そうですか。イギリスに永く住めばすむほど、この階級制度ってわかってきますよね。逆に、長くすまないとなかなかわからない。私たち外国人は、階級について(内輪で)発言するけど、イギリス人ってめったに口にしないですよね。「中産階級のような行動」って、私はすごくわかるけど、きっと日本に住む人達はわからないだろうなあ。

学校の先生は、まったく同じです。あきれるような先生もいましたし、すばらしい先生もいるし。日本とこれは同じですね。

IKEAまで15分ですか~。それはそれで、しょっちゅう買いものに行く誘惑が強すぎて困るかな。エクセターに出来るって話がずっと出てるんですが、まだみたいです。