2010年10月27日水曜日

Catcher in the Rye 感想

まずは簡単なあらすじから。

主人公はホールデンという名の16歳くらいの若者です。彼は裕福な家庭の子息が行く寄宿生の学校に行ってるのですが、成績が悪く退学になろうとしています。彼は退学になるのは初めてではなく、これで数校目。それで両親の家には1学期の終わりに連絡が行くことになってます。彼としては最後の日まで学校にいて、親のところに通知が行ってから家に帰る予定でした。

それが他の寮生ともめ、いろんなことに嫌気が差して、寮を飛び出します。実家に連絡が行く水曜まであと数日を、ニューヨーク内のホテルに泊まって時間を潰してから帰宅することにしました。

そしてその間にいろいろな目にあいます。酔っ払ったり、デートをして喧嘩したり、昔の友達に会ったり、売春婦を部屋に呼んで、そのポン引きに殴られたり。などなど。そしてさまざまなことに嫌気が差して、でもどうしても妹に会いたくなり、親がいない間にこっそり家に入り、妹に会います。そしてまた家を飛び出して・・・。という筋にもならないようなストーリーです。

で、とどのつまりは若者の不満の小説なんだろうということなんだけど、それだけでもない。とにかく彼は学校だとか教師だとか、周りの学生だとか、ほとんどのものにうんざりしてます。その理由は彼らがPhoney だから。Phoney というのは偽者のという意味。これはうまく説明するのが難しいんだけど、読むと意味がわかってきます。

彼がPhoney でないと思うのは、死んでしまった弟のアリーと妹のフィービー。そして道中ですれ違った子供やら尼僧やら、彼が心惹かれる人たちが描写されます。

ただそれだけの話なんですが、ヤマの「俺はライ麦畑で子供をがけから落ちへんように守りたいねん。」という有名な段落と、フィービーがメリーゴーランドに乗っているのを見てる最後のひと段落、ページにしたら合計1ページにもならない部分で、急に胸が詰まって泣かされるんですよ。

やっぱりこれは名作ですよ。真摯に生きるというのはどういうことなんだろう、そういうことを考えられるのは16歳のときだけなんだろうか、それとも死ぬまでそういう問題を正面から考えてやっていくことができるんだろうか。Phoneyでない生き方を忘れないでいられるんだろうか。いやいや、そんなことを言葉にすると説教臭くなっちゃうんですよね。それこそPhoney。でもこの小説を読んで少しでも心が動けば、まだ処置なしというわけでもないのかも。

最後の文章を載せておきます

Boy, it began to rain like a bastard. In buckets, I swear to god. All the parents and mothers and everybody went over and stood right under the roof of the carousel, so they wounldn't get soaked to the skin or anyghing, but I stuck around on the bench for quite a while. I got pretty soaking wet, especially my neck and my pants. My hunting hat really gave me quite a lot of protection, in a way, but I got soake anyway. I didn't care, though. I felt so damn happy all of a sudden, the way old Phebe kept going round and round. I was damn near bawling, I felt so damn happy ,if you want know the truth. I don't know why. It was just that she looked so damn nice, the way she kept going round and round, in her blue coat and all, God I wish you could've been there.

あほみたい雨が降り出した。ホンマじゃじゃ降りや。濡れへんように他のお父さんとかとかお母さんとかみんなメリーゴーランドの屋根の下に移動した。でも俺はしばらくベンチに座ってた。だいぶ濡れたで、特に首とズボン。ハンティングハットのおかげでちょっとはましやったけど、やっぱり濡れた。でもそんなことはどうでもええ。俺は急にすごい嬉しなってん、フィービーがぐるぐる回ってんの見て。ホンマのこと言うたら、嬉しいて叫びかけやったわ。何でかわかれへん。ただフィービーがすごい可愛く見えてん、青いコートとか着てぐるぐるまわってるとこ。ホンマ見せたかったわ。



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4 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

大阪弁訳も面白いけど、原文もいいね。そのGodを全然訳さないのは、Godって言っても神様を意味してるわけじゃないから?

こんの さんのコメント...

あつこさん いっそ、大阪言葉でさまざまな名作を訳しまわったらどうだろう...
もしかしたら、ね それが売れる!かもよぉ

売れなくても、きっと誰かが認めてくれ、それがきっかけで自分の作品の出版が企画される可能性も

いろいろと夢を見るのは、楽しいことです
詩やエッセイが陽の目をみるかも
ぜひやってみたらいい

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、そう、そのとおりですね。意味合いとしては「まあ」とか「まったくもう」という感じだと思うんだけど、大阪弁ではホンマ、という感じかなあ。
訳せなかったのはOld PhebeのOld。「親しい」という意味の呼びかけだけど、「可愛いフィービー」とか言うのも変だし、いい言葉が思いつかなかった。

Atsuko さんのコメント...

こんのさん、そういわれるとそんな気になってきました。よし、やるぞとがんばってやるとしんどいので、こんなふうにちょこちょこ訳そうかなあ。それとも有名な作品を選んで、その名場面を大阪弁に訳すブログを作るとか。。