2009年10月3日土曜日

子供の教育


IKEAで買ったワードローブができました。これで59ポンドですから、1万2000円くらい。安いモンです。ちなみにわたしはぜんぜん手伝わなかったのですが(賢明)、45分くらいでできたそうです。

昨日の夜、昔ロンドンの銀行で一緒に働いていた友達に、1年以上ぶりに電話して話しました。彼女は今ロンドンの南の郊外に住んでいて、まだシティーで働いてます。彼女のところにはルイと同じ年の男の子がいます。二人とも今小学校6年生で、来年9月から中学に行きます。

イギリスの中学というのは5年制で、その後卒業しても良いけど、大学に行きたい人はそのあと2年間シックスス・フォーム(6th form)というコースを取ります。これはその中学に残ることもできるし、別の短大のようなところで勉強しても良い。ここで勉強してAレベルというテストを受けます。このA レベルの結果で大学が決まるので、シックスス・フォームと言うのは、進学校の高校か予備校のようなものです。

イギリスの中学というのは昔(わたしたちの年代)は小学校を卒業する11歳でイレブン・プラスという試験を受け、それで勉強のできる子はグラマースクールという学校に良き、できない子はセカンダリー・モダンという学校にいくというシステムでした。でもこれは労働者階級とエリート階級の格差を広げるばかりで、しかもそれを11歳で決めるのは酷だという声がたかまり、このテストは廃止されて、みんなコンプリヘンシブという普通科の中学に行くようになりました。

それがまた最近はシステムが変わって、選抜式の学校ができて、地区によってはイレブン・プラスがまた導入されたという話をちらりとニュースで聞いていました。

でもうちの家のあたりはそもそも中学と中学の間が離れているから、通学できる学校が限られているので、この辺の子はみんな同じ中学に行きます。まあ日本の公立の中学と同じようなものです。もしも校区の学校が嫌な人は、別の学校に申し込めますが、学校のレベルとしては大差がありません。イレブン・プラスのテストもない。それなので実際のチョイスとしては、公立に入れるか私立に入れるかですが、多くの家庭にとっては、お金のかかる私立なんて問題外です。

ルイは今年が最後の年なので、どこの中学に入れたいかという申請を先日しました。行く先は校区の友達がみんな行くビデフォード・カレッジ。来来週にオープンモーニングというのがあって、学校見学に行きます。

前置きが長くなりましたが、本題。その昔の友達との電話のことです。彼女の子供の話を聞いて、わたしは本当に絶句してしまいました。

彼女の住むあたりは選抜校があり、お母さんたちはみんな躍起になって自分の子供をそこに入れようとしてるんですって。多分感じとしては、日本の公立高校の入試のようなものかな。そのためにはもうすぐもたれるイレブン・プラステストで良い成績を上げねばならず、彼女のところは家庭教師も来るし、毎日彼女が勉強を見て、週末に模試を受けたり、学校の試験を受けたりしているそうです。

信じられない。うちとぜんぜん違う。うちだけでなく、この辺の人はそんなことはぜんぜんしません。私なんて学校がどんなカリキュラムかも知らないし、ただ毎日宿題した?と聞くだけ。勉強なんて3年生くらい以来見てないし、向こうだってわたしに勉強なんて見てもらいたくないと思う。普段は習い事とか水泳であちこち走り回って、そんな時間はまったくなし。

うちの子供たちはどちらも学校の成績はトップクラスで、いつも先生に「何も言うことありません」って言われるので、ぜんぜん心配してなかったんだけど、でもトップクラスとはいえ、この学校って一学年20人しかいないんです。だからトップクラスで当たり前というか、本当にそれがどのレベルなのかよくわからない。でも先生がよくできるって言うからそれを真に受けてたんだけど、本当にそれで良いのかと心配になってきました。

中学に行ってもこの調子ならまずトップクラスかもしれないけど、でも所詮こんな田舎の公立中学校。2000人以上もいる学校なので、毎年良い大学に行く生徒は何人かいるようだけど、本当に大丈夫なのかな。ロンドンやその近郊では、日本並みに教育ママが子供を勉強させているようだし、年々厳しくなってきている大学受験、そんな子供たちと同じ土俵で、ちゃんと良い大学、希望の大学にいけるんだろうか。

でも実際問題、引越しするつもりもないし、とにかく今は習い事とスポーツでそんな余裕はぜんぜんありません。学校の先生が問題ないって言ってるところを、無理やり勉強させる必要もない気がするし、それになんといっても子供たちは毎日結構幸せそうにしているので、そんなプレッシャーをかけてしんどい思いをさせたくない。

むしろ親が言うと逆効果ということもありますよね。私もわたしの妹も、母子家庭で母が働いていたのでほとんど塾にも行かずまったく放任で育ちましたが、まあまあ世間並みの大学を卒業したし。親がうるさい家が受験が成功するというわけではぜんぜんないしなあ。 わたしなんて反骨精神が旺盛だから、勉強しろといわれれば、ただ自分の自由を証明するだけのために、わざと勉強しなかったかもしれない。

でも一方ではわたしは大阪の公立高校で波にもまれてきたし、中学も高校も大きい学校でかなり勉強にはうるさかった。家では何も言われなかったけど、確かに学校はしっかり勉強しないとついていけないような環境でした。ルイやチャーリーの学校のような、教会に付属の一学年20人のかわいい村の小学校ではありません。

勉強だけの問題にとどまらないこともあります。わたしの日本の友達にはもう子供が中学や高校という人たちもいますが、親が勉強に口やかましいほど、そのくらいの年になって親子の仲がうまく行かなくなる傾向があるようにも思えるし。うーん。

そのロンドンの友達の場合は、今は彼もお母さんの言うことを聞いてがんばってるようですが、彼女があまりにもそのことしか頭にないのも気にかかる。親が自分が良い学校に行くことだけを生きがいにしてるのって、子供にとってすごい負担ですよ。彼女には、「大きくなって家庭内暴力なんて話もあるから、気をつけてね」とは言ったけど。

子供には良い大学にいって欲しい、スポーツで活躍して欲しい、ピアノが上手になって欲しい、ロイヤルバレエに入って欲しい等々、わたしも含め親と言うのははいろいろ期待があるわけですが、それって80パーセントくらいは勝手な親のエゴです。子供のために自分を犠牲に、なんて聞こえが良いけど、それはウソ。自分自身が生きがいが見つけられないから子供のアチーブメントを生きがいにしたり、子供が良い学校に行ったりスポーツで活躍すると鼻が高いとか、そういった親の都合勝手な動機が半分。親のわたしが言うんだから本当です。

だからわたしも子供には過剰な期待やプレッシャーはかけたくないんだけど、でもやっぱり気になる会話でした。今のままで良いんだろうか、良いに違いないけど、でもほんとになにもしなくていいのかなって。

「アブラハムの教え」によると、子供は放っておけば放っておくほど良いとのこと。わたしもそうだと思っています。だからますますお母さんはこれから自分勝手に趣味を広げて、好きにさせてもらって、あなたたちをのびのび自由に成長させてあげるわ、ほっほっほ。
お母さんは趣味の詩のブログ、また更新しました。写真も載せてあります。http://fordfarmpoems.blogspot.com/

4 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

立派なお母さんですね。だからルイ君もチャーリーちゃんもそんなにいい子に育ってるのね。教育ママは問題だと思いますよ。(ちなみに日本の教育ママは大阪は公立学校に入れるけど、東京は私立に入れようとします)いい大学には入れられるかもしれないけど、いい大学に入ったからっていい人生が送れるってわけじゃないし。好奇心を刺激するような本とか伝記とかビデオとか、そういうものを紹介してあげたり、いろんなところに連れて行って視野を広げてあげたらそれでいいんじゃないかなと私は思いますね。アブラハムは正しいと思うなぁ。

こんの さんのコメント...

   自分が少しだけ褪せていくことに
   気がつきもせず
   その失われるものの意味もわからず
今日のポエム
う~む ちょっと説明すぎるような...
気分としては、わかるのですが

あつこさん 約束の画像「天童の家」にアップしました
覚悟して見てくださいな

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、アブラハムの教えによると、人間にとって一番強い欲求は自由であることで、だから特にまだ現世のしがらみで汚れていない「新しい」若い人たちは、親に反抗するんだって。前世のしがらみで汚れきっている親たちは、子供のやることに口を挟むなということでした。
立派なお母さんといってくれるのは嬉しいのだけど、わたしだって特にチャーリーのバレエにはプレッシャー欠けすぎかなあと思うこともあります。教育ママというより、ステージママになりそうで、気をつけなければ。
大阪は公立。それってやっぱりお金がかからにってことに関係あるのかな。「私立なんかそんな高いとこあほらしい、行かせられるか。公立にせい、公立。」

Atsuko さんのコメント...

こんのさんってやっぱり鋭いですね。本当は夏が終わって寂しいなあという気持ちから書き始めたんですが、それでは締りが悪くなって、後半をひねって書き加えた感じで書きました。なので言葉が先走りしているのかも知れません。貴重なご指摘、ありがとうございます。

ところで昨日かおととい、詩のことでメールお送りしましたがつきましたでしょうか?「配達が遅れた」という通知が来たんですが。