2016年6月16日木曜日

The Miracle of Mindfulness 読書感想

著者はThich Nhat Hanhという、ぜんぜん発音の仕方がわからない名前の、ベトナム人の仏教のマスターです。欧米の仏教徒の一部の間では著名な先生です。

Mindfulというのは最近よく使われる言葉です。平たく言えば、瞑想・メディテーションと同じようなもの。瞑想は座ってするものですが、何時間も座れるものではないので、禅の修業に行くと、歩く瞑想があります。一歩一歩、感覚を研ぎ澄ませて、歩くという今の行為に気持ちを集中する行為です。これがマインドフル。

その集中を、瞑想や歩く瞑想に限らず、日常でも実践することがマインドフルの意味です。

マインドフルの意義は、対象は呼吸でも感触でも何でもいいのですが、とにかく「今」の時間に気持ちを集中させることです。過去も未来も、たとえそれが5分先のことでも、それはもう(まだ)存在しないことで、実際に存在するのは現在だけ。その現在とのつながりに、自分の存在の本質を見つける行為です。

この本では、週に一日マインドフルな日を持つことが提案されています。こんな感じ。

朝起きたらゆっくり呼吸をし、意識を集中して顔を洗い、一口一口丁寧に味わって朝食を食べます。そして気持ちを集中して、食器を洗います。その後、ゆっくりと丁寧に気持ちを込めて掃除をして・・・・。という感じで続きます。

これを読んで思ったんです。この一日って何かに似てる。

村上春樹の小説に出てくる主人公たちの一日に似てると思うんです。丁寧にパスタをゆで、ゆっくりとビールと一緒に食べ、ジャズのレコードを時間をかけて選び、きれいにシャツにアイロンをかけ、念入りにスーツにブラシを・・・・、って感じじゃないですか。

村上春樹論で、仏教の影響について述べている人がいましたが、そういわれてみれば、禅的要素があるのかもしれません。

それから、日本の茶道って禅の体現のように言われてますが、その意味も、マインドフルという面から考えれば、よく意味がわかってきました。

とにかく、簡単でいい本です。この著者の本をもっと読もうと思いました。

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2 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

おお、すごい連想ですね。確かにそうかも。

そう言われてみれば、そんな日は、というか、そんな瞬間は全くないな・・・。

ちょうどここしばらく、NHKがキラーストレスという特集をしていて、人間を死に至らしめるストレスを緩めるものとして、運動とマインドフルネスが挙げられていました。

しかし、ほんと、この年になって、その通りだなと思います。

運動も、マインドフルネスもしないとね。両方とも足りないけど。

Atsuko さんのコメント...

マインドフルネスって、日本でも使うの?面白いね。コンセプトとしては日本的、禅的と思うんだけど、ぴったりの言葉がないのね。

そんな瞬間まったくないって、それは気をつけないとストレスで大変なことになるよ~。