2016年4月6日水曜日

イギリスの階級制度 1

イギリスが階級社会ということは昔から言われてますので、耳にしたことがある人が多いと思います。それについて書こうと思うのですが、これは本当に大きいテーマなので、一日では書けないと思いますので、少しずつ記事にしたいと思います。

私がイギリスに初めて住み始めたのは1987年でした。わあ、もう30年近くになるんですね。その時点ですら、「イギリスには階級制度という悪癖がはびこっているが、これは徐々になくなりつつある。」という理解でした。それから30年経って、これは確かにそういう流れはあるものの、簡単に変わらないなあという部分もあります。形が変わっていっている部分もあるのかもしれません。

大学に1年行ったのち、シティーの証券会社に就職しました。シティーでは、ディーリングルームの社員は、朝7時半からミーティングがあります。事務系の バックオフィスは9時始業です。ディーリングルームの社員たちは、秘書たち数人を除けば、プロフェッショナル採用で、いわゆるエリートです。残業代は付きません。

バックオフィスや秘書たちは、部長レベルを除けばノン・プロフェッショナルで、残業代が付きます。給料も低い(と言うか、普通の世間並み)です。

これは階級制度の一面ではあるのですが、歴史をたどるともっと奥深いのです。

イギリスでは一般的に言って、ホワイトカラーは9時か9時半出勤ですが、伝統的には、地位が高いほど、出勤が遅いのです。弁護士や会計士などのプロフェッショナルな仕事もそうです。いわゆる重役出勤というやつですね。 (多分今はこれは変わってきたと思いますが。)。

そして今でも、ワーキングクラスの朝は早いです。うちの家人の仕事は家具職人なのですが、朝は8時始業。7時前に出勤する人もいます。大工さんや配管職人さんも依頼すると、朝8時前には来ますよ。まあ、ヨーロッパは一般的に日本より朝が早いようですので、それもあるのかもしれません。

で、上記のシティーの話に戻ります。 一般的に行ってエリートは朝は遅いのに、なぜシティーではエリートのディーラーたちが朝7時から出勤するのか。

それは昔、シティーがまだ今のような世界的金融市場の中心地ではなかった頃、シティーでの仕事はいわゆる株屋でした。とくに証券取引所のフロアで走り回るようなディーラーの仕事は、野心だけは高い中卒のたたき上げの仕事だったそうです。なので、シティーでは今でも朝が早いのだとか。

ちなみに私が働いていた頃は、ディーラーは皆大卒でケンブリッジやオックスフォードを出ているエリートもいたものの、扱いは「紳士以下」という感じでした。グリード丸出しで、電話でシャウトしながらお金を動かす仕事は、確かに品のないイメージは否めません。

同じシティーの証券会社でも、法律関係やカンパニーセクレタリーなどは、昔ながらの本物のエリートのように振舞っていたイメージがあります。出勤も確かに遅かったです。そして多分給料もボーナスもがっぽりもらっていたんだろうと思います。

私のイギリスの階級制度との出会いのはじめはこんな感じでした。

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6 件のコメント:

直子 さんのコメント...

出勤時間での階級区別、考えたこともありませんでした。面白いアングルですね。これだと教師はやっぱり労働者階級だわ。

鉄火のマキ さんのコメント...

私も87年からイギリス住まいなので、「うわー、もう30年になるのか」と驚きます。私は結婚して証券会社のアシスタント職につくまでは遊び歩いていましたけど。

旦那はマスコミ勤めで根っからの誇り高い労働階級。それこそサッチャー時代は旦那の家族や友達の考えに共感することが多かったのですが、子供を育てている内に今度は彼らのVictimhood Culture的な文句ばかり言って努力を怠っているのに嫌気が差すようになりました。この国の階級制度には色々考えさせらる事が多いというか面白いですね。

Atsuko さんのコメント...

直子さん、
まあ、先生は学校が朝早いからしょうがないですね。最近は校長先生もすごく早くて、朝7時半ごろメール来たりしているし、本当に学校の先生は大変と思いますよ。

Atsuko さんのコメント...

鉄火のマキさん、マキさんも30年ですか、偶然の一致ですね。じゃあ、いろいろ見てきたことも同じでしょうね。

おっしゃることすごくわかります。80年代はバンクの時代だし、サッチャー的なバブル的なものに対するアンチの意識って強かったですよね。そして同時に、労働者階級が「文句ばっかり言う」というのも感じます。

外国人って言うのは階級制度の外にいると思うので、その辺はカメレオン的に、いろいろイギリス人にはわからないような観察も出来ているのかなあと、自分ではちょっと思っています。

あくあ さんのコメント...

証券会社の朝が早いのは、今は世界がつながっていて、ロンドンが開く頃にはアジアが閉まるから、アジアのマーケットの情報を整理してロンドン市場が開くまでに準備しなきゃいけないからじゃないの?昔は各国別々だったのかもしれないけど・・・・でもそれっていつ頃だろう。

それと私のいた米系、欧州系の会社ではバックオフィスの人達もプロで残業代はつかなかったですよ。日本だとノンプロの仕事は派遣社員とか契約社員とか、契約形態の異なる人がやってるけど、ロンドンには今もノンプロとかいう採用形態があるのかな?聞いたことないけど。

Atsuko さんのコメント...


あくあさん、今はロンドンの場合は、ヨーロッパが1時間早いから、それが一番の理由と思うけどね。

あくあさんのいた銀行も、ロンドン支店なら、きっとそうだと思うよ。イギリスは組合が強いし、基本は残業は付く。秘書とか事務とか受付とか、絶対に残業付くはず。そして給料は結構安いと思う。(と言うか、シティーの外と同じくらい。)バックオフィスでも、マネジャークラスは付かないよ。