2013年1月11日金曜日

トルストイのヨーロッパ人観察

今トルストイの戦争と平和の日本語訳を読んでます。

去年の秋に同じくトルストイ作のアンナカレーニナの映画を見て、その後昔読んだことのある原作日本語訳を読み返したら、やめられなくなるくらい面白かったんです。それで今は戦争と平和の3巻目を読んでます。(全部で4巻あります。)15年位前にも読んだんだけど、結構覚えてるところもあるし、ぜんぜん忘れてるところもありました。前回よりも面白く読んでます。

私は大学ではロシア語とロシア文学を勉強しました。今は知りませんが、そのころの日本ではロシア文学と言えば19世紀の4大巨匠の作品が主に取り上げられていました。 この4人とは、ドストエフスキー、チェーコフ、プーシキン、ゴーゴリーです。

そう、トルストイは入ってませんでした。その頃のその道のスノッブなアカデミックスの間では、ドストエフスキーが哲学書に近いのに対し、トルストイは大衆小説、娯楽小説的な捕らえ方もちょっとあった気がしました。 そういうわけで私も大学時代はトルストイは読まなかったんですよ。ロシア語科なのに。

まだ読み終わってないし、何しろ長いので感想は書きませんが、ちょっと面白いことが書いてあったので、取り上げます。

「ドイツ人は科学と言う抽象的理念に立って絶対の自信を持つ。
フランス人が自信を持つのは、自分が頭脳も肉体も魅力的であると考えるからである。
イタリア人が自信を持つのは、自分が熱狂しやすく、自分をも他人をもあっさり忘れてしまうからである。
ロシア人が自信を持つのは、まさに自分は何も知らないし、知りたいとも思わないからである。」
とのこと。

そして
「イギリス人の自信は、自分は世界で最もよく組織された国の公民であると言う基礎の上に固定している。自分がイギリス人として何をなすべきかを常に知っているし、イギリス人として自分がなすことはすべて疑いも無くりっぱなことである、と心得ている。」

この本って200年位前に書かれたと思うんだけど、ヨーロッパ人の気質ってぜんぜんかわってないんですね。ドイツ人もフランス人もあたってると思うけど、特にこのイギリス人の描写は本当に的確だと思いました。

そうなんです。イギリス人って今のイギリスの経済とか産業とか、世界的に水準が高くないことがわかってるし、自信を持ってないんだけど、「自分は世界で最もよく組織された国の公民である」と言う自信はすごく持ってると思うんです。

最後のロシア人気質はわかるようなわからないような。でもこの時代の小説の中に出てくるロシア人とソビエト自体のロシア人、今のお金持ちになったロシア人って、同じ民族とは思えないくらい印象がちがうなあ。 他のヨーロッパ人ってあんまり変わってないのに。

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2 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

私はロシア語科だったことは隠して生きてます(笑)間違いなくその4人は出てきません。

その各国の人の描写、面白いですね。そして気質が変わっていないというのもすごいね。で、ロシア人が別の民族みたいだという点は、ロシア人もロシア文化もあまり知らないからわからないけど、体制や生活レベルが極端に違うと気質も変わるのかなぁ。中国は変わってきてるのかな?

ところで、ロンドンは世界一の都市になったようですよ。オリンピックのおかげだそうです。何を基準にしたどこの調査だか忘れましたが。

Atsuko さんのコメント...

ヨーロッパ人の気質が変わらないのも面白いし、200年位前のロシア人の観察が、今の私達の観察と同じっていうのも面白いですね。

ロシア人はきっと本人達の気質は変わってないんだろうけどね。ただこちらで見る我々の眼が変わってるだけで。中国人って変わらない気がするなあ。

ロンドンが世界一の都市?なんか大雑把な決め付けですね。たいていのイギリス人は、「そういってくれるのはありがたいけど、オリンピックのほとぼりが冷めるまでさ。」ときっと思ってるんじゃないかな。