2019年10月27日日曜日

ブレクジット、結局延期?

もう相当こちらも嫌気がさしてきたのですが、乗り掛かった舟で、簡単にその後の様子をまとめてみます。

ご存知のように10月31日が期限で、ジョンソン首相は「延期をEUに申し込むくらいならドブで死んだほうがまし。」と豪語してました。が、野党各派が団結して、「期限までに条約が決まらなければ、EUに延期を申し込まないといけない。」という法律を立法化したので(ベン法と呼ばれている)、今月に入って、どうやら本気でEUと交渉をし始めました。

けれども交渉は難航。EU側からもイギリスからも否定的なコメントしか出てこない・・・と思っていたら、今月半ばになって、突然EUとの交渉が成功しました。

この日のニュースは、ジョンソンもEUのリーダーたちもニコニコ顔。やっと漕ぎつけた、これであとは英国議会が承認するのみ。

・・・・って、そんなに簡単に承認するわけないのに、イギリス以外の世界中では、「やっとイギリスがEU離脱!」という ニュースが流れたようです。

そんなわけないでしょ。ここまでならメイ首相がやったのと同じです。

が、取りあえず国会で大急ぎで承認の投票をしないといけないと、19日は異例の土曜日の国会が開かれました。(皮肉にもこの日はたまたまロンドンで、百万人以上が参加したと言われている大きな反ブレクジットのデモが行われた日でもありました。 )なぜこの土曜日に緊急で国会が召集されたかと言うと、この日の夜が、EUに延期を申し込む期限だったからです。

つまりジョンソンとしては、その日にぎりぎり国会に持って行って、ろくに国会で議論をする時間を与えずに投票に持ち込んで、ブリクジットを成功させようという目論みでした。

が、これが野党と与党保守党の一部の議員の反感を買い、「この新しい条約を国会でじっくり検討するべき。」という提案が過半数の支持を受け、期限内にEU離脱は無理となりました。

ちなみにこの新しい条約の内容は、北アイルランドの問題に関しては、前回のメイ首相の時の条約(バックストップ)と、次のような違いがあります。

前回のバックストップとは、アイルランド共和国と北アイルランドの間にEU/英国の税関を作るわけにはいかず(ややこしい北アイルランド和平問題)、かといって英国の一部である北アイルランドとイギリス本土の間に税関を作ることもできないから、近い将来新しい取り決めが出来るまでは、とりあえずはイギリス全部をひっくるめてEUとの間には税関は無しにするということでした。

が、これは議会の承認を得ることが出来ず、ご存知のように総理大臣がジョンソンに代わりました。

ジョンソンの新しい条約は、アイルランド共和国と北アイルランドの間には税関は無し。が、本土と北アイルランドとの間で何かしらのチェック機能を設けることによって、イギリスとアイルランド共和国の間に 目に見えない税関を作るというものです。

が、これはDUPという北アイルランドの超保守党が最後までもめた挙句に反対票を投じ、今に至りました。

これが先週の土曜日。それで今月末までに離脱は無理となり、上記ベン法によりジョンソンはEUに期限延長の申し込みの手紙を出さなけれがいけなくなりました。が、ジョンソンはそんなことは絶対にしないと啖呵を切ってましたから、その行方は注目されてました。まさか堂々と法律を無視?そうなると逮捕?

が、ふたを開けると全くの茶番。EUに延期申し込みの手紙を署名なしで送り、同時に「僕としては延期など望んでいない。」という手紙も送り付けたのです。子供か!これが総理大臣ですから、イギリスの民主主義も地に落ちたものです。

で、その延期ですが、昨日の金曜にEUから返事があるはずだったのですが、これが月曜になったようです。

EUも、特にフランスなどは相当忍耐の限界に達しているようですが、それでもまず間違いなく延長は認められるだろうと言われています。その期間ですが、ジョンソンは2週間で十分とかふざけたことを言ってますが、 一方で2年くらいという声もあります。

元々ややこしいこのブレクジット問題が、こうしてここまでこじれにこじれているのは、保守党ジョンソン政権が国会で過半数を切っていて(その原因が、ジョンソン自ら21人の保守党議員をクビにしたため)、何をするにも連結野党が同意しないからです。

それでジョンソンは国会を解散して総選挙に持っていきたいのですが、ジョンソンを全く信用していない野党は、「条約なしのブリクジット」の可能性がなくなるまでは、国会解散に同意しないとテコでも動きません。それで、ジョンソンは「それなら解散に合意するまでは、政府はストをする」とまで 言い始めました。

これには高級紙ガーディアンまで「まあそれも笑えるからいいんじゃないの。」と社説を載せていたほどです。国を挙げてあきれています。

が、オピニオンポールはまだジョンソン率いる保守は有利とか。もう生きる気力なくなる・・・・

ではこちらもよろしくお願いします。

2 件のコメント:

nekonasu ねこなす さんのコメント...

ほんと、呆れますよね。
さっさと2回目の国民投票をすればいいものを。
そういえば、「Get ready for Brexit」の政府コマーシャルが流れる回数がいきなり少なくなってませんか?(笑)
やっぱり31日は絶対に無理だと悟ったのでしょうかね。(爆)

Atsuko さんのコメント...

こんにちは。
私も2回目の国民投票に大賛成です。
LibDemの様に、「ブリクジットキャンセル」というのも、ここまで世論が分かれている以上、ますます社会を分断させるだけだし、もともとの国民投票が、全く何の具体性もなく情報も限られた中の投票だったし、その上あれは3年以上も前のことで、老人が多く死んで若者が多く選挙権を得たのだから、これが一番スッキリすると思うのです。
まだ31日にとか言ってる政治家って、自分で嘘ついてるってわかって言ってるんでしょうね。