2018年12月7日金曜日

ブリクジットの件

イギリスが2年前にEU離脱の国民投票をして、今いろいろ大変なことになってるってことは日本の方もニュースでご存知でしょうか。

普段は政治にはなるべく関わらないようにしてる私なんですが、これは深く深く心を煩わせております。

今の状況をまとめるとこんな感じ。

2年前に国民投票があり離脱することになり、来年いよいよその期限がやってくるのですが、その後のEUと、主に貿易や移民などの制度をどうするかなど、いろいろ細かい条約を結びなおす必要があります。何しろ今までは国境がない前提で産業も経済も人間の移動も成り立ってきましたから、EUを抜けるとなると、今後の関税はどうなるのかとか、税関でのチェックとか、とにかく困ることだらけなんです。

そのためにメイ首相の政府は、先月新しい条約の草案を作りあげ、来週これが国会で投票されます。

が、これが否決されるだろうとの見通しが強いんです。

メイ首相の率いる与党は保守党なんですが、保守党内でもブリクジット歓迎派と、EU支持派がいます。メイ首相はもともとEU支持派だったのに、何の因果かブリクジットを遂行する役目についてしまいました。

ブリクジット派はこの草案はEU寄りすぎるだとし、反対の票を投じると宣言してます。 しかし離脱の期限は迫ってますから、この草案が否決されると、何の新たな条約もなくEUを抜けることになりかねません。それはほとんどの政治家とほぼすべての経済関係者ビジネス関係者は「最悪の事態」 とみなしてるんですが、中には「条件なしの離脱大歓迎(ハードブリクジット、いわば絶交するようなもの)」という、ちょっと頭の中を疑いたくなるようなブリクジット派の政治家もいます。

一方でEU離脱反対派は、この草案が否決されたら、もう一度国民投票を行って、国民に「新たな条約なしの離脱」と「EUに戻る」を選択させるべきだという声も高まっています。いったん投票されたものをまた国民投票するなんていうのは普通ならありえないんですが、何しろ2年前は国民もいろんな詳細を知らないで投票したから、もう一度オプションがはっきりしてきた現在、国民の声を聴くべきだとの声は現実的になってきました。

EUを抜けるにわたっての一番の大問題は北アイルランドです。アイルランド島の一部の北アイルランドは英国領なんですが、ご存知のように20年くらいまではこれをめぐってテロ活動が激しく行われていました。これが20年ほど前に労働党政府の下で政治的に決着がついたのですが、EU離脱になると、今は無くなった北と南アイルランドの間の国境をまた再開しないといけません。そうなるとまた昔のようなテロの時代に逆戻りするんじゃないかと危惧されているのです。

そうそう、そして今回のEU離脱の一番の茶番というか、大阪的に言うとオチは、UKIP(英国独立党)です。この政党が当時のキャメロン首相に圧力をかけて国民投票に持っていき、EU離脱の一番の原動力となったのですが、このリーダーのファラージ氏は国民投票の後すぐに政治から身を引きました。UKIPはその後リーダーが変わり、今では反イスラム教徒のただの人種差別主義右翼団体となり下がり、ファラージ氏が党を辞めるほどになりました。

要するにイギリスは、猫の皮をかぶった反イスラム・反外国人の人種差別主義右翼団体にまんまとだまされ、 国民投票に持ち込まれ、EU離脱に投票し、しかし今では当事者の離脱派の政治家は後ろに引っ込み、もともとEU離脱反対派の政府がそれに携わっているという茶番なんです。

国民投票がもう一度行われる可能性は今でもすごく低いと思うんですが、そうなるとうちの子供たちには、とにかく勉強をほったらかしにしても、死ぬ気で政治活動に参加しろと言っておきます。あなたたちの未来なんだから。

ではこちらもよろしくお願いします

4 件のコメント:

本読みと山歩き さんのコメント...

この件、日本でも結構 報道されてます。 xx独立党の党首が辞任したことは知りませんでした。
EUそのものは世紀の新たなトライアル、
結果はどうなるか分かりませんが、よい「オチ」になると良いですね。
英国だけでなく、フランスの暴動も心配です…今は世界で起こることが日本にも影響する世の中ですからね。

Atsuko さんのコメント...

山歩きさん
良いオチになるとは思えないんですけど、どうでしょう?日本から持ってきた日本円をポンドに替える機会を待ってたんですが、いよいよポンド暴落も近いかなあと思ってます。株も下がると、私の年金はどうなることやら。
フランスはストライキよくやってますが、今回はかなりひどそうですね。

A子 さんのコメント...

初めまして。

メイ首相、反対派だったのに今は離脱交渉の矢面に立ってよくやってるなー、と感心したり不思議に思っています。
普通あり得ないですよね?どうして引き受けてこんな大変なことしてるんだろう、と。
その上離脱派の人たちがどんどん辞めていってるし、変な状況になっていますよね。

要するにイギリスは、猫の皮をかぶった反イスラム・反外国人の人種差別主義右翼団体にまんまとだまされ、 国民投票に持ち込まれ、EU離脱に投票し、しかし今では当事者の離脱派の政治家は後ろに引っ込み、もともとEU離脱反対派の政府がそれに携わっているという茶番なんです。

そうなんですか、それは知りませんでした。
もう一度国民投票をしたら良いんじゃないかな、と思いますけど、そうなると益々混乱するのかしら。
詳しく教えてくださりありがとうございました。

Atsuko さんのコメント...

A子さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
私はメイ首相は昔、内務相だった頃はすごく嫌いな政治家だったんですが、首相になってからは割と好きになりました。あれだけの難しい状況で、四方八方からたたかれて、それでもやっていけるのは女性しかいない!と思ってます。首相を換えろとの声が強いですが、今この状況で、彼女以上の仕事のできる人がいるのか、さらに混乱するだけと思うんですが、どうでしょう。

茶番の件は私もちょっと端折りすぎたかもしれませんので、そういう意見もあるとお許しください。

私ももう一度国民投票が一番と思うんだけどな。