2010年4月25日日曜日
牛と血を出す心臓
祖父母の家は岐阜県の田舎にありました。そこに行くにはまず新幹線で新名古屋まで行き、そこから名鉄を1回か2回乗り換えて行きます。最後に乗る電車は1時間に2本の単線でした。その終点が祖父母の家の最寄り駅です。
その終点に着く10分くらい前のあたりで、ガレージくらいの大きさの牛小屋が一軒ポツリと田んぼの中に立っていました。そこには牛が一頭いました。都会っ子の私と妹は、ここを通るたびに窓から必ずこの牛を見てました。家畜というものがすごく珍しかったんです。大阪の家から岐阜の田舎までの道中、家畜を見るのはここだけでしたから、これがとっても楽しみでした。
今住んでる家は、家から広々とした草原が見えます。何が植わっているのかよくわからないんですが、たまに牛が放牧されています。だから今の窓から牛が見えます。これは別に珍しい風景ではありません。デイブの実家は酪農農家だったし、子供たちも田舎育ちなので、牛や羊は珍しくもなんともない。私もここにすんで10年以上ですから、別にしげしげと眺めたりはしません。
でもその昔、妹と電車の窓にしがみついてたった1頭の牛を見たことを思うと、なんだか不思議な感慨が沸いてきます。それだけ日本ってイギリスに比べると家畜が少ない。でもそれだけでなく、個人的にすごく遠い距離(地理的、時間的)を超えて、ここにやってきたんだなあという感じがします。年に数回通る電車の窓から1頭の牛を探す子供と、居間の窓から牛がたくさん放牧されてるのが見える大人の私。
写真はブリーディング・ハート(Bleeding heart)という花です。「血を流す心臓」というとスプラッター映画的ですが、英語でのニュアンスは「悲嘆にくれて心から血が出る」という感じの意味合いです。
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4 件のコメント:
あつこさんのお住まい、なんだか羨ましくなるほど佳い所なんですねぇ
このような環境で暮らせたら、きっと長生きしますでしょう
「血を流す心臓」のタイトルを見て驚きましたが...
そういうことなのですねぇ。安心しました(笑い)
命名っていろいろと面白いですなぁ
日本の獣医がもうかるからと小動物(ペット)にばかり向かい、家畜をみる医者が少なくなっていて、後継ぎがいないからと80台のお医者さんがあちこちの農家を回っているというドキュメンタリーだかニュースだかを見ました。牛の肛門に肩まで腕を突っ込んで妊娠しているかどうかみたりしてるんですよ。大変な仕事ですよね。
こんのさん、うちもいい環境ですけど、こんのさんのところもとってもいい所じゃありませんか。カモシカやサルがいるなんて。
このはなは、白いところが赤だともっとそれらしく見えるんですけどね。
あくあさん、一度デイブの家で牛の帝王切開を獣医さんがするのを見ました。本当に牛の中に肩まで腕を入れていました。彼ってケンブリッジ大学卒だとのことでした。ケンブリッジまで行って、牛の出産を手伝うんだなあ。
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