2010年5月11日火曜日

イギリスの政治の近況

もう政治には興味がなくなったといっておきながら、この最近のイギリスの政治ドラマから目が話せません。

ご存知のように先週木曜に選挙があり, 今まで野党だった保守党が306、労働党が258、自民党が57席取りました。そういうわけで保守党が勝ったことは勝ったのですが、650席ある議席の過半数には至らず、まだ政府が確立されていません。

選挙の直後から、保守党は自民党と連立政権の話し合いを始めました。保守党は右、自民党は中間です。これがうまく行けば保守党と自民党の連立で総理大臣は保守党のカメロン氏になる予定です。

でも問題はこの交渉です。自民党は57席しかないので、弱小の政党かと思うとそうではなく、地方議会ではかなり力を持っています。そして今回の選挙でも、全国の投票数を総合すると、全体の30パーセント近くの票を集めていて、保守党や労働党とそれほど劣りません。でもイギリスの選挙は、一選挙区につき一人の当選という方法を取っていて、これが歴史的に労働党に有利になるように作用しているんです。それで自民党は、比例選挙制に変えるということが何よりのポリシーであり、悲願でもあるんです。

それで今回の交渉では、これが大きいネックになりました。自民党は比例代表制の国民投票を連立の条件にしています。保守党は比例代表制に変える気はありません。そして政策的にも問題があります。自民党は中庸とはいえ、どちらかといえば労働党よりの左よりです。それで今回保守党を連立したら、その次の選挙で支持者を労働党に失うかもしれないという危惧もあります。

もしもこの連立がうまくいかなければ、労働党が自民党と連立して政権を作ることもできます。

その場合の問題点は、労働党党首で首相のブラウン氏と自民党のクレッグ氏は馬が合わないということでした。しかも自民党は、選挙で保守党に負けた労働党と連立することに国民の手前、抵抗があります。

すると昨日ブラウン氏が爆弾発言をしました。9月までに責任を取って党首を辞めると発表したんです。これで自民党との話し合いの障害がなくなりました。自民としては、選挙で負けたのはブラウン氏で、 党首が変われば話が違うと主張できます。

それで昨日労働党と自民党の話し合いが始まりました。

すると保守党も爆弾発言をしました。比例代表制の国民投票を妥協策として提供してきたんです。それで今はまた保守党と自民は話し合いをしています。

でも考えたら変です。選挙ではたった57席しか取らなかった自民党が、どちらに転んでも政府に仲間入りするようです。そして長年の悲願であった比例代表制も実現しそうです。これって、今のところ300席以上の保守党よりも250席以上の労働党よりも、自民党が力があるといえます。

日本に比べるとイギリスの政治家はまだ国民の信頼を受けているのですが、それでもこういうことが長く続くと、結構不信感が高まった行くんじゃないかな。だってせっかく選挙しても、選挙の結果とあまり関係ない政府ができそうだし。

まあ今は誰が総理大臣になっても、ここ数年は財政が厳しく、国民の受けの悪い政府になるだろうとのことなので、どうなってもあまり関係ないようには思うんですけどね。

4 件のコメント:

こんの さんのコメント...

>選挙ではたった57席しか取らなかった自民党が、どちらに転んでも政府に仲間入りするようです

うふふ いわゆるキャスチングボードですね
そういう政党が日本にもありまして...
民主党以前の自民と公明党の関係も似たようなものでした

夏の参議院選でも、きっとそういう政党がでるのだろうと思ってますが...
いずれにしても選ぶのは国民一人ひとりですからねぇ

Atsuko さんのコメント...

こんのさん、今のニュースではやっぱり保守党と自民の連立ができて、カメロン氏が総理大臣、自民党のクレッグ氏が副総理になるそうです。議席の少ない自民党党首が副総理というのは、ちょっと抵抗ありますが、私は保守党に不信感を持っているので、右よりの政策が中庸化されるのは歓迎しています。

ブラウン首相は今日辞任しました。個人的にはいい首相だったと思うので、寂しいです。過去13年間続いたブレア、ブラウンの労働党政権がこれでしばらく終わりです。時代の節目だなあという気がします。

こんの さんのコメント...

日本も、長年の保守政治(自民党)がやっと政権交代した(それもイギリスの二大政党制を見習って)のですが...
民主党の連立政権も迷走をつづけ、夏の参議院選挙ではどうなるか...もう少ししっかりしないと(ダメだなぁ)と危ぶんでます

選ぶのは国民といっても、ね 政治家がもっとしっかりしないと日本の発展も望めない
すべてが政治で決まるわけではないのですが、それでも政治による舵取りは重要ですから...

Atsuko さんのコメント...

こんのさん、私はロッキード事件やら田中角栄逮捕ののころに育ったので、日本の政治は信用ならないと思っていましたが、今はずいぶん変わったでしょうか。

イギリスが民主主義のお手本の件ですが、右翼、左翼という言葉も、イギリスの国会議事堂で保守党が右、労働党が左に座る伝統から来てるんですよ。