2009年12月11日金曜日

エッセイ

先日もちょっと書きましたが、今年の春、文芸思潮という雑誌のエッセイ大賞と現代詩大賞に応募しました。それでその結果の載った雑誌をイギリスまで送っていただいたのですが、そこにエッセイ大賞受賞作品が15編ほど載っていました。(私はエッセイは一次予選、詩は二次予選通過にとどまりました。まあ初めてのことで満足しています。)

こういう公募は大体字数が少なくて、これも2000字から4000字だったように記憶しています。そのエッセイを読んだのですが、その三分の一くらいが戦争についてかかれたことでした。被爆してなくなった青年の話や、戦争中に食べようと亀を焼いた話。グライダーの訓練の話など。

それから肉親の死や病気についての話も多くありました。寝たきりになった母親の話。自殺したお姉さんの話。自分を捨てていった母親との再会。憎みあった父親の死。

ほかには不運な人生を送って苦しんで死んでいった患者さんの話。自閉症になった話。会社の同僚が殺人を起こした話。自閉症の娘の話。父親の死。

それから海外での生活の苦労話もありました。言葉の通じない南米に中学生のときに留学した苦労話や、サウジアラビアに親の転勤で住んでいて、現地人の友達と断食(ラマダン)した話。

全体の3分の2くらいはさすが文章がうまいなあ、この人はもう何年も書いてるんだろうなという感じの作品でした。後の3分の1くらいは、これくらいなら私でもがんばればかけるかなという感じでした。

それにしても思ったんですが、テーマが重い。一応エッセイですから、100パーセント実話でなくても、実際の体験に基づいてると思うんですが、なかなかこんな体験は普通の人は持っていません。すると、なんだか普通の体験に基づいて書いたエッセイなんて、こんな重い話と比べればテーマが比較にならないから、初めから勝ち目はないような気がしてきました。それともこれって、負け惜しみ?いえいえ、そんなつもりはないんですが、私には幸いにも戦争体験もないし、肉親が死んだこともないし、それだけでぱっとひきつけるような大きなドラマがないんです。

よくよく考えてみれば、私の母親は子供のころ2回も離婚してるし、自分も離婚してるし、波風ない人生を送ってきたわけでもないんですが、それとて別にエッセイにするほどのことでもない。これは私の分析力、文章力がないせいか?

よくない思い出のことを、深く思い出して書こうという気にもなりません。アブラハムの引き寄せの法則によると、嫌なことはとにかく忘れることが幸せに生きるコツ。まあこれはアブラハムでなくても当たり前と言えば当たり前。だからエッセイのためとはいえ、掘り返して書こうとは思いませんね。

文章力も当然ながら、そこも賞をとる人ととらない人の差につながるのかも。

今また別のエッセイコンテストのための原稿を書いています。今度はたった1600字なので、すぐに書けることは書けるんですが、なかなかテーマが浮かんできませんでした。テーマは約束。テーマに沿っていれば題は自由です。明るいエッセイ募集とのことなので、戦争体験のない私でも大丈夫か?

過去の受賞作品を見てみると、婚約者のおじいさんとの約束とか、中学生のときのサッカーの先生との約束とか、美容師さんが入院中の患者さんとした約束とかの話でした。それでいろいろ考えたんですが、私には思いつくような約束がない!

それでちょっとひねって、水仙の球根をテーマに書くことにしました。秋に植えた球根は、何ヶ月も寒くて暗いイギリスの冬を地面の中ですごし、わたしが忘れたころの早春に花咲いて、春がそこまで来ていることを知らせてくれる。たった30円やそこらで買った球根の約束が守られると言うテーマです。小さいテーマだから、1600字という短さでもまとめやすいし。

でもこれってたぶん主催者の意図とはぜんぜん外れてると思うんですよね。産経新聞の公募なのですが、あのサラ金のプロミスが主催者のようです。だからテーマが約束。こんなぜんぜんヒューマンドラマのない、心の温まらないテーマ、書く前からぜんぜん入賞なんて無理と思って書いています。

なら時間の無駄だからやめれば良いようなものなんですが、やっぱり物好きで書いてます。だめでもともとというよりも、こうやって公募の経験を重ねるのも良い修行だなって思いながら。結局楽しいんですよね。

5 件のコメント:

こんの さんのコメント...

水仙 約束の話 いいじゃないですかぁ
誰でも思いつくような内容ではダメ! 意外性がいいのですよぉ
ぜひ、ぜひまとめられて応募してください(楽しみだなぁ)
写真のコンテストでもそうですが、審査員が驚くようなのが受けるのです
スポンサーのことはあまり考えなくてもいい
忘れて頃に約束が果たされる(た)というあたりがポイントでしょうねぇ
うふふ ガンバレ あつこ!! ですねぇ
あとは運を天にまかせましょう

Atsuko さんのコメント...

そういっていただけると、書く気が沸いてきました。書く内容が決まって、あとは文章力だけ、ということになるとまたそれが難関なんですが。

原稿用紙4枚。こんなに短いと難しいです。

かいこ さんのコメント...

コメント初登場です。
あつこは文章は書くのが好きなんだね。
私は苦手。
なんでも挑戦するエネルギーがすばらしい!

かいこ さんのコメント...

コメント成功のようです!
よかった。
これからたまにブログチェックしますね。
あつこに刺激をもらおうっと!

Atsuko さんのコメント...

かいこ、私もあれこれチャレンジするほうだとは思いますが、かいこにはかなわないですよ。「何でもやってみたい。たとえ三日坊主に終わっても。」というかいこのモットー、覚えてますよ。

じゃあ私のブログ、お気に入りにいれといてくださいね。