2019年9月30日月曜日

ブレクジットの件、アイリッシュ・バックストップとは?

ブレクジットの交渉で一番のネックになってるのが、アイルランドのバックストップの件です。

アイルランドについてよく知らない人が多いと思うので、ちょっと説明します。

アイルランドはアイルランド島にあります。島のほとんどがアイルランド共和国に属します。普通アイルランドと言えばこの国を指します。がこの島の北の一部が「北アイルランド」で、ここは英国に属するのです。

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ですから英国と言えば、詳しく言うとイングランド、スコットランド、ウエールズ、そして北アイルランドで成り立っています。

今まではアイルランド共和国も北アイルランドを含む英国もEUだったから、関税の問題もなかったし、国境の問題もありませんでした。

ご存知かもしれませんが、20年前くらいまで、北アイルランドのテロは大きい問題でした。詳しくは書きませんが、北アイルランド内に、カトリックの親アイルランド派と、プロテスタントの親英国派が存在し、この不自然な領土をめぐってテロが何年も続いたのです。内戦状態が長く続き、多くの人が亡くなりました。それが1998年に「グッドフライデー条約」が結ばれ、やっと平和が訪れたのです。

この脆弱な平和を維持するためには、絶対に北アイルランドとアイルランド共和国の間に国境を設けてはならない。これは誰もが同意することのです。

が、イギリスがEUを抜けると、イギリスの一部である北アイルランドもEUを抜けることになります。すると北アイルランドとアイルランド共和国の境界線は、EU圏と英国の唯一の国境となるのです。

EUとイギリスは別々の経済圏になるのだから、この国境はノーチェックというわけにはいかない。でもチェックを導入する(国境を設ける)ことは、平和維持のためには誰も望んでいない。

どうするの?

というのが、バックドロップの背景なのです。バックドロップというのは、メイ首相が交渉したEUとの離脱条件の一つで、私も何回読んでもよくわからないんですが、「取りあえず将来のめどが立つまで、北アイルランドはEU扱いにしましょう。あ、でもそれでは北アイルランドだけイギリス本島と別扱いになってそれじゃいかんので、イギリス本島もとりあえずEU扱いにしときましょ。」ということらしいです。

???でしょ。

それで、「こんなの、どこが離脱だ~!」という怒りをあちこちから買って、条約は決まらなかったわけです。

もっと驚くことは、3年前にブレクジットの国民投票が行われたときは、この北アイルランドの問題は、誰一人として指摘してる人がいなかったのですよ。つまり、この北アイルランド国境問題のことなど全く頭になく国民投票が行われて、今になって、ところでこれどうする?って感じなのです。あほやね、ほんまに。

ちなみにこの間日本のラグビーチームが下したアイルランドは、全アイルランドチーム、つまりアイルランド共和国と北アイルランドのチームだそうです。ところが、サッカーのワールドカップのチームは北アイルランドとアイルランド共和国に別れているそうです。ややこしいです。

ではこちらもよろしくお願いします。



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