予想はしていたことですが、私が手塩にかけている菜園と果樹園は、私が日本にいる間に無残なことになっていました。まあ誰も手入れをしないことはわかっていたので、驚きはありませんが、でもやっぱりなあというかんじです。
日本から戻ってきた同日は夕方7時くらいに家に着きました。私は外に出る気力はありませんでしたが、子供たちはまだまだ明るいイギリスの夕刻の光の中を庭に出て行きました。戻ってきた二人にどうだったか聞くと、チャーリーは「冬の畑みたいだった。」と一言言いました。うーん。いろいろ想像させる一言でした。
翌日、曇り空の中を、ちょっと重い心で見に行きました。今年のイギリスの夏は、寒くて雨が多かったそうで(去年と同じ)、確かにひまわりはまだ咲いていません。でも雨が多かったので、水遣りをしなくてもその点は大丈夫でした。雑草が生い茂っています。行く前に順調に育っていたカリフラワーは、残念なことに誰も収穫しなかったので、全部だめになっていました。それからキャベツ、ブロッコリーもかなり何かに食べられています。ネットをしていたのですが、どうしても青虫がついたり、鳥がつついたりするんですね。アーティチョークの大きな低木も、アーティチョーク自体が盛りが過ぎて、花になって枯れはじめていました。にんじんは順調に育ってはいますが、これも盛りを過ぎても収穫されていないので、一部は地表に出ている部分がだめになって、スズメバチがたかっていました。ほかにもラズベーリー、レタス、トマト、豆類など、書き出すときりがありません。
これを見たときの気持ちといえば、たとえて言えばマイホームに泥棒に入られたり、洪水にあったりしたような感じです。今まで大切に手を入れてきたものが損なわれて、これからまたがんばって元のように戻していかなければいけないなあという気分。
そうそう、ズッキーニという野菜ありますよね。これも育てているんですけど、これって収穫しないで放っておくと巨大化してマローという別の野菜になるんです。なってました。
でも一番ショックというか困っているのは、りんごとなしの木です。今年はりんごは今ひとつですが、なしが豊作のようです。それがそのうちの2本が、強風を受けて斜めになってしまって、今にも倒れそうなんです。支えが腐って折れていたのはわかっていたのですが、もう植えて5年以上になるので、大丈夫かなあと思っていたんです。それが豊作のせいで重みで枝が曲がったこともあり、こんな風になってしまったようです。
それが土曜日。それから毎日少しずつ畑仕事を再開し、今日は火曜日ですが、まあ何とか見通しがたって来ました。週末には木に支柱を付け直す予定だし、菜園もだんだん元のようなかわいく美しい野菜畑に戻れそうです。
ところで今日はルイが友達の家に行ったので、私とチャーリーはダムゼンというウメ科の果物を採集しました。これはうちの生垣に自生しているもので、毎年できるわけではなく、天候によってなったりならなかったりします。ここに越してきて最初の5年間はならなかったので、数年前までこんな木があること、知りませんでした。これはそのまま食べるとすっぱいので、ジャムやパイにします。でもうちは誰もジャムを食べない上に、昨年作ったイチゴジャムがたくさん残っているし、パイはおいしいけどカロリーが高いので作りたくないのですが、でもせっかく実ったダムゼン、やっぱり収穫してしまいました。そのまま放っておいて鳥に食べさせてあげても良いのに、なっているとどうしても採りたくなるんですよね。
ついでに近所の木になっていたへーゼルナッツもとりました。これも別に誰も好きじゃないので食べないんですけど、やっぱりなっていると採りたくなるんです。貧乏性というのでしょうか。でも私だけでなく、誰でも同じだと思うんですけど、違うかなあ。
今日は天気はなかなか悪くなく、ダムゼンやへーゼルナッツを陽だまりの中でとりました。結構温かく、なんとなく優しいひかりには、秋の気配を感じました。まだ8月ですからイギリス人にとってはまだまだ夏なんですけど、日本から戻ってきたせいか、あちらこちらに秋を感じています。イギリスの「暗くて寒くて良いことなんか何にも無い」秋ではなく、日本風の、暑さが緩んで光がやわらかくなってほっとするような秋です。日本にいなくても日本の秋を感じられるなんて、もうけもの。
5 件のコメント:
人が住んでいる家は、そう簡単に傷まないのですが、空き家は意外に早く荒れ、廃屋化してしまうものです
畑も、それと似たように思います。人の手が入っている畑と、そうでない畑はまるで違います
「冬のような畑」とは言い得て妙ですねぇ
果樹の傾きは、直してあげればどうってことありません。元通りになります
人がいなくてもちゃんと実をつけるものもたくさんありますね。それが自然なのでしょう
実はやはりちゃんと収穫した方がいいと思います。かまわないでおけば腐れてしまうだけですが、その腐れがよくないように思います。「天童の家」のさくらんぼもですから全部もいでしまいます
「足音は田んぼの肥やし」でしたっけ。前にこんのさんに教えていただいた言葉、しみじみ実感しました。普段も別にこれということなく、ぶらぶらと菜園をうろついているだけのようなものなのですが、それでもチョコチョコ知らないうちに手を入れているんですね。
木の傾き、直すというのは支柱を反対のほうにつけて、ひっぱるようにすればいいのでしょうか?
それにしても旦那さまは何もしてくれないのですね。まあ、それだけ広いと、好きじゃない人にちょっと頼めるサイズじゃないんでしょうね。うちはベランダの植木鉢5つ程度なので、留守中には水やりを頼んでいきます。枯れた花を取ったりはしてくれないので、帰ってきたら荒れてますが、ま、生きてはいます。それ以上鉢を増やすなと常々言われています。
イギリス人はみんなガーデニングが好きな訳じゃないみたいですね(笑)。
まぁ、ガーデニングという言葉がどこまでカバーしているのかは私にはわかりませんが・・・。
デイブさんがどういうタイプの人か、お会いしたことがないのでわかりませんが、うちの夫も家のことはほとんど何もしてくれないです。
だから、日本から帰ってきた時のキッチンの汚れとか、私的にはとっても気になります。
実家の父は昔の人だから、もちろん家事などしないのですが、母が居ない時とか、病気の時なんか、案外キッチンをきれいに整頓していたりして、とっても意外だったんですよね(笑)。
この国の男性というか、少なくとも私の周りにいる同世代の人って、案外子供の頃からお手伝いとかしてなくて、ここに来てしばらく、唖然という感じでした。
テーマから外れてしまいましたが、貴女の庭の野菜や果物を一度食べてみたいなぁとつくづく思います。
あくあさん、畑の世話などもともとぜんぜん期待していませんでした。どんどん実る野菜も、きっと食べたりしないだろうなって。そもそも家で食事しないだろうし。
ただ、熱帯魚と猫だけは死なさないでくれと願っていました。室内の観葉植物はあきらめていましたが、犠牲はひとつだけでした。そして外の植木のうちのどうしても愛着のあるのだけは、お隣さんに預けていきました。そのくらい信用していないんです。
ふさん、うちは一応帰ってくる前にあわてて掃除機をかけたりした気配がありました。イギリスを発つ前に入れた洗濯物が、今頃干されていたり。
やっぱりお風呂場とか流しとか、いろいろ目に付きましたが、まあ全体としては、思ったよりも家はきれいでした。猫も魚も生きてたよ。
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