2010年7月8日木曜日

ヘレンケラー、完

ヘレンケラーの本を読破しました! なんて、実は120ページしかない子供の本なんですけどね。

意外にもいろいろ気づくところがありました。多分昔読んだ自分の印象とずいぶん違うから、特に気になったんでしょう。それで今日はあと2点、書いておきたいことがあります。一つ目はサリバン先生のことです。

彼女は貧しいアイルランドの移民の家に生まれました。幼くして視力障害になり、母親を結核で亡くしてからは、孤児院で育っています。とっても気性が激しくかんしゃくもちで、子供の頃はこれでいろいろ問題が持ち上がったようです。

彼女が盲学校を卒業してヘレンの家に来たのは22歳のときです。そのときのヘレンはまるで野生動物のようで、かんしゃくもちで何でも自分の本能のままに好きなようにすることに慣れていました。それなのではじめは二人の意志と意思の対決で、身体的に押さえつけたりなど、なかなか壮絶だったようです。子供を持つ親なら、ある程度までは簡単に想像できることです。

サリバン先生は別に先生になる教育を受けたわけでもないし、自分の子供もいないし、22歳の何の経験も無い女性が、よくここまでやったなあと本当に読んでいて感心します。上に書いたとおり彼女は激しい性格で、ヘレンが成人してからも、ヘレンの周りの人とぶつかることも多く、敵も多かったようです。ヘレンはその頃は有名人ですし、貧しい移民の出身の出というだけで、ヘレンの後見役にふさわしくないという人もたくさんいました。

でもこの激しい気性がなければ、きっとヘレンを教育することはできなかったんじゃないかなあ。ヘレンが大きくなってからも、予備校、大学とずっとサポートし続けたし、その後も死ぬまでヘレンの面倒を見続けました。私も子供の頃から母に気が強いと批判され続けました。母の考えでは「気が強い=性格が悪い」だったんですが、それって一概に言えないですよね。サリバン先生が気弱い女性であれば、きっとヘレンをここまで教育できなかったと思います。「気が強い=意思が強い」。そういう気性の人がいなくなれば、きっと世の中はうまく回らなくなりますよ。

それから最後まで読んで何より思ったのは、ヘレンの成功の何よりの原因は、彼女の向上心でも努力でもなく、楽観的な前向きな性格だったと思います。パイオニアというのはなんでもそうですが、彼女も何かをしようをするたびに、それは無理だという世間の声にぶつかりました。でもそういう障害があればあるほどますますがんばったそうです。そして全体としての印象は、「逆境にめげずに強く生きた女性」というよりは、「どんなときでもいいことに目を向け、いつも楽しく人生を前向きに歩き続けた人」です。

アブラハムによると、人間は生まれてくるときに「こういう人生を送ろう」というような目的なようなものを持って、それぞれそれにあった環境を選んで生まれてくるとか。きっとヘレンの場合は、すごく才能と生命力とエネルギーのある魂が、大きなチャレンジを選んで生まれてきたんじゃないかなあ。それを克服することで、世界中の人をインスパイアするのが彼女の目的だったんですよ。

この本は写真もいろいろ載っていました。どれをとっても、80歳を過ぎても、ヘレンはいたずらそうな目をして楽しそうに写っています。世界中で講演し、何冊も本を出版し、歴代の大統領全員と会見し、映画に出てアカデミー賞までもらっています。

けれどもその楽しそうな笑顔の向こうで、彼女は生涯沈黙と暗黙の世界に生きたのかたかと思うと、強く胸を打たれました。

2 件のコメント:

こんの さんのコメント...

あつこさん 遅くなりました。さくらんぼで忙しかった
>、「逆境にめげずに強く生きた女性」というよりは、「どんなときでもいいことに目を向け、いつも楽しく人生を前向きに歩き続けた人」
ヘレン女史の偉大さがよく分かりました
ありがとうございます

Atsuko さんのコメント...

こんのさん、私こそ改めて彼女の偉大さがわかりました。本当にすごい人ですね。しかもサリバン先生との出会いがまたこれこそ運命の出会いと思いました。