「ライ麦畑でつかまえて」「フラニーとゾーイー」「大工よ屋根の梁を高く上げよ」のどで有名なアメリカ人作家のJDサリンジャーは、人嫌いで知られています。特に後年は一切作品を発表せず、人里はなれた田舎で隠遁生活を送ったとか。
その彼の娘が彼のことをかいた本をだし、その抜粋が今日の新聞に載ってました。
彼女が生まれたのは彼が有名な作家になって、人里離れた土地に移ってからです。ここは我が家なんてとても足元にも及ばないすごい田舎らしく、彼女はほとんど両親以外の人間をみたことなくそだったとか。自然療法を信奉していたサリンジャーは、病気になっても医者にも見せてくれなかったそうです。学校に行きはじめてからも、友達を連れてくることは許されず、家には誰もきたことがなかったそうです。
彼女と弟が病気になると、すごく怒ったそうです。なので、具合が悪くなってもそれを親に隠し続け、かくしきれなくなると、彼が自ら木製の鍼(?)で鍼をうったとか。それがすごく痛かったと書いてありました。
お母さんはすごく若くして(大学生)30代半ばの彼と結婚しています。彼女はこんな生活ですから当然のようにうつ病になりました。そして娘と心中しようとしたことまであったとか。
新聞の抜粋はこの程度で終わっていますが、どう読んでもポジティブなことは書いてありません。理想と夢を子供に押し付けようとした、現実離れした自分勝手な人間という書き方でした。
わたしも大学生の頃はサリンジャーが好きだったし、感化された作家の一人だったんだけど、現実にはそういう人だったんですね。これを読んで、おどろいたというよりも、やっぱりそうかという感じがしました。天才というのはなかなか普通の生活は難しいものなんだろうなあ。そもそも天才は結婚したり子供をもったりしちゃいけないんじゃないかなあ。考えてみれば太宰治をはじめ、天才的な作家は家庭人としては最低という人が多いし。
小林秀雄が「モオツアルト」で、「モオツアルトのような音楽が書ける人間にとって、だらしがないなどのごく普通の人間的欠陥が何の意味があるだろうか。」というようなことを書いていました。やっぱり天才ってなかなか普通の世では生きにくいんだろうなあ。
このブログを書くのに、サリンジャーの略歴をしらべていたら、彼はつい先月27日に亡くなったばかりでした。それにしてもこの娘さん、お父さんが死んだとたんにこんな本出すんだね。彼女自身も苦しんで大人になっただろうから、これを書くことで救われる部分も多くあるんだろうなあ。
ライ麦畑、昔は日本語訳で読んだので、英語版をちょっと読みかけておいてあるんです。また読み始めようかな。
8 件のコメント:
人は「身の丈にあった生き方をする」しかないのかも...
凡人には凡人の、天才には天才しか生きられない生き方があるのかなぁ
また、生きている時代の空気というか、趨勢の中で、その影響を受ける人、まったく意に介さないで生きられる人とさまざまななんでしょう
子は、自分の意思を持たないまま生まれてくるといわれておりますが、親子関係ってなかなか難しいなぁと思います
親がそんな人だと、いくら立派な業績を残した人だったとしても辛いでしょうねぇ。
そこまでいかなくても長嶋茂雄さんとその息子さんとか・・・。
そこまでいかなくても親が自信家で子供に考え方や生き方を強制するタイプだと子供はゆがみますよね。
「ライ麦畑xxx」は大学の英語の教材になっていた記憶があります。
これまた懐かしい。
そんな変な小説ではなかった気がしますが。
天才は、天才なりになやんでいる筈です。
凡人は凡人なりに。
さて、今日も一人でふらふら砂丘をさ迷っていたので、
夕方から家庭人に帰り、娘を塾へ迎えに行こう!
こんのさん、こどもって意思は持たないで生まれてくるかもしれませんが、それぞれの性格はありますから、親と気が合わない子供もいるでしょうね。
あくあさん、長島さんのところも何かあったんですか?親子って他人だと言うことを、親が自分に言い聞かせるべきなんだと思うな。
山歩きさん、その家庭人に変わるって言うのいいですね。わたしもそんな風に使い分けたいな。
「サリンジャー 娘」で検索してここに辿りつきました。
通りすがり失礼します。
>そもそも天才は結婚したり子供をもったりしちゃいけないんじゃないかなあ。
同意です。
正直、サリンジャーに娘がいることを知ったときショックを受けました。
この事実を知る前と後とでは何かが大きく変わってしまったような気さえしました。
作者の現実と作品を結びつけてしまうのはナンセンスだと分かっていても・・・・
なんだか愚痴っぽくなってしまってすいません(汗)
なんだかんだ言って、亡くなられた今でも気になってしまう人物です。JDサリンジャー。
Anonymousさん、始めまして。ありがとうございます。コメントが迷惑メールフィルターに引っかかって、時間差ができてしまいました。失礼しました。
私もこの記事を読んだときはちょっとショックでしたね。私はサリンジャー読んだのは20年以上昔だし、今では自分も子供がいるのでそれほどではないけれど、その頃ならもっとショック受けていたと思います。
他にもいくつかサリンジャーのことを書いたので、よければお読みください。「本」のレーベルで出てくると思います。
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