2009年6月11日木曜日

イチゴ

うちの畑はテニスコートの半面くらいの大きさです。これだけで、6月位から10月くらいまではほぼ野菜は自給自足できます。そのほかの季節も、冬野菜だとかピクルスにしたりジャムにしたり冷凍した野菜や果物が一年中食べられます。

数えてみると、野菜はハーブを入れて今年は43種類、果物は食べられないオリーブとオレンジや、まだ実がなったことがないレモンとブルーベリーを入れると13種類も育てています。まあ、マニアですね。食べるものはこんなに育てているのに、観賞用の花はあまり育てていないので、食い意地が張っているんです。

その中でも一番たくさん育てているのがイチゴです。イギリス人はイチゴが大好きです。季節感のないこの国で、夏の訪れを知らせる数少ない食べ物がこれなんです。ウインブルドンのテニスに行くと、誰もがイチゴのクリームかけを食べています。イチゴ+ウインブルドン=夏、ということです。

イチゴは育てるのがすごく簡単。ほとんど肥料もいらないし、一度植えると3年は実がなります。そして親のイチゴの苗から子供の苗が出てきて、翌年はこれを植えると新しいイチゴ畑ができる。こんなに国民的に愛されるからには、それだけ土地や気候に合った育てやすい果物なんですね。

そして自分で育てたイチゴは、店のイチゴとまったく比較にならないくらいおいしいんです。うちの子供などは、スーパーのイチゴだと食べません。どうしてこんなに味が違うのかは不明。スペイン産がおいしくない、イギリス産がやっぱりおいしいとみんな言っていますが、イギリス産だって、家で育てるのと比べれば、ぜんぜんおいしくない。まだ赤くならないうちにつんで出荷するのか、それとも運送に耐えられるようなタフな種類のイチゴを育てると、おいしくないものになるのか。

うちは別に特別なことはしません。ただ畑を作ったときにたくさん馬糞を撒いたので、土がいいことはいい。水もよっぽどの日照りが続かないとやりません。肥料は春に一度有機栽培用のを上げるだけです。

でも育てるのは簡単なんですけど、守るのが大変。敵はナメクジと鳥です。

ナメクジはいろいろ試行錯誤しましたが、最近は有機栽培用の人間にも野生移動物にも害のない殺ナメクジ剤ができたので、これを使っています。前にも書いたけど、効き目は怪しいのですが。そして雨が降って泥だらけにならないように、赤くなりかけた実の下にわら(straw)を敷きます。だからストロベリー(strawberry)って言うんですよ。

そして鳥はネットを張るしかない。

鳥は一般に言って、作物にかかわらず畑をかなり荒らします。芽や菜っ葉や葉を食べるんです。それなので一応何の種をまいてもネットをかけるんですけれど、これは上にふわりとかける程度。

でもイチゴは違います。鳥はイチゴが本当に大好きで、なんとしてでも食べようとするんです。ネットの間の小さな隙間とかから入って、命がけで食べます。実際毎年ネットに絡まる鳥がいて、今までは運良く私が見つけて、ネットを切って助けてあげましたが、死んでしまうことももちろんありえる。だから本当に文字通り命がけなんです。

それでイチゴだけは竹のさおで簡易フレームを作ってしっかりガードします。これが結構面倒くさい。畑仕事の中で、一番面倒な作業です。それで、毎年先送りにして、イチゴが赤くなりだしたらネットをかけようと思うのですが、ネットをかけないと赤くならない。鳥が食べてしまうからです。

それで先週の後半からネットかけの作業は始め、昨日やっと終わりました。そしたら案の定、ネットをしたとたんに、赤く染まり始めました。

昨日も今日も珍しがって、5つずつ捕りました。でもあと一週間もすると、一日おきに嫌でも雨でも収穫に行かなければならなくなる。そして6月が終わることは、毎日2キロくらい取れます。

これをどうするか。たくさんできるから売ろうか、というはなしもでるのですが、結局いくらか人にあげるほかは全部食べてしまいます。そのまま食べたり、デザートにしたりするのが半分くらい。4分の一くらいを冷凍に、4分の一くらいをジャムにするんですけど、うちは考えたら誰もジャムを食べないので、ぜんぜん減らない。冷凍のものはクリスマスのころ大切に食べます。でも大切にしすぎて、いつも冷凍室に残ってる。それで昨日、去年の残りの冷凍のものをあわてて食べました。

おいしいイチゴを食べるのは本当に楽しみ。でも毎日1時間もかけて収穫しなければいけないのと、毎日毎日それを洗ってひとつへたを取ったり、時間のあるなしにかかわらず、デザートにしたりジャムにするのは、すごくたいへん。

ジャムは食べないから、今年は作るのはやめようかな。でもそんなにたくさん冷凍庫に入りきらないなあ。やっぱり新鮮なのを食べるのが一番ですね。

5 件のコメント:

こんの さんのコメント...

イチゴ 漢字は苺 草冠に母 いいですねぇ
イギリスの夏を告げるのですね

ネットをかけないと赤くならない。に笑ってしまいました
さくらんぼもネットを張らないと鳥たちに突かれますから困ります

キジやムクドリなどさまざまな鳥たちが食べにきます

イチゴは、私も大好物です。日本では栃木県が大生産地(とちおとめ)ですが、このへんの農家でも庭続きの畑にイチゴとミニトマトをならせ、食後にいただきます

野菜が自給できるって、幸せですよねぇ

こんの さんのコメント...

梅雨って、梅が大きくなる時季の雨
「天童の家」にも梅の木が4本あります
20Kg入りコンテナ数個分もなりますので、出荷してます

母が、毎年「梅酒」を作るのですが、飲む人がいません(私が少しなめるだけ)
それでも毎年作るのでストックが増えて困ります

イチゴジャムに似てるなぁ... と、笑ってしまいました

Atsuko さんのコメント...

すごい偶然なんですが、今梅酒を飲みながらこれを書いているんです。2年前日本で買ったのですが、私はお酒をあまり飲まないので、ずっと残っていたんです。でも週末にあるどぶろく(これについてはブログに書きます)を作る計画で、そのためのビンが必要になったので、飲んでからにしたところだったのです。

今ユングの偶然性について読んでいるので、余計驚きました。

天童の家の梅は、梅干にしたりする青梅ですか。すごい量ができるんですね。梅酒、甘くて好きなんです。ストックが増えてなんて、もったいない。まさにうちのジャムと同じですね。

子供のころ(多分今でも)母が梅酒を作っていました。で、すごく小さいころから飲んでいました。中学生くらいになると、ストレートで。ちょっと怖いですね。

私の作る予定のどぶろくも、子供が好きで作るんですけど、アルコール度は1パーセントとかわいいんです。ブログ、お楽しみに。

あくあ さんのコメント...

お二人ともよく似た生活をされているようで、会話を見ていて面白いです。縁って不思議なものですねぇ。

Atsuko さんのコメント...

インターネットのおかげで、今までありえなかったような縁ができてきたというのは、最近の現象でしょうねえ。不思議なもんですね。