2012年8月17日金曜日

母親なら子育てができるという思い違い

昨日ちょっとYahoo Japanのニュースで読んだんですが、母親が赤ちゃんを車に置いたままパチンコをしているまに、その子供が死んでしまったという事件があったそうですね。こういうの初めて聞いたわけではないので、頻繁・・・とまでも行かないまでも、年に一度くらいは起こる出来事なのでしょうか。

それで関連ニュースとして、警察がパチンコ店に、子供を乗せた車の駐車を禁止するように要請してるという記事の見出しも見ました。これはこの事件の前の記事のような気がするので、 頻繁に問題になるのかもしれません。

数年前には私が大阪に帰省している時に、大阪の風俗店で働いている若い女性が1歳児と3歳児を家に数日放置して死なせた事件が大きいニュースになってました。

その後別に特にそういうニュースを探してるわけじゃないんだけど、折檻死やらネグレクトなどの記事を時々目にします。読みたくも無いから詳細は読まないけど、折檻死にバラエティーは無いですから、読まなくても分かります。

このパチンコ店の駐車場を子供連れ禁止にするというのは、一歩前進だと思います。子供をつれて来店したら、子供と一緒に入らない限り、子供は置きっ放しですからね。でもこういう発案があるあたりがまだまだ日本って、児童保護の点ではすごく遅れてると思います。

同じようなことをイギリスでしたらどうなるか。普通に人通りのあるところなら、まず10分以内にパチンコ店に誰かが通告するでしょうね。もしもパチンコ屋の呼び出しで親がすぐに現れなければ、さらに10分以内に警察に連絡が入るでしょう。普段、窃盗くらいではぜんぜん何もしてくれない警察ですが、こういう事態ならあっという間にパトカーが来て、おまわりさんが車のドアをこじ開けて子供を救出し、子供はソーシャルサービスの元で保護されるでしょう。そして保護者が見つかっても、たぶん簡単には子供は返してもらえないし、もしかしたら親元から取り上げられるかもしれません。

私が昔ルイが1歳のとき、店に返品するものがあり、たまたま店の前に車を停められたので、ちょこっと、それこそ3分くらいルイを車に残して店に入ったことがあります。この道がハイストリートで人通りが多かったこともあるんですが、店を出たら車の前に人が数人立っていて、心配そうに「あなたの子供ですか・・」と軽くとがめられました。まあおせっかいといえばおせっかいなんだけどね。

(もっとも昔からそうだったわけではなく、私の向かいの60代のおばさん は、自分が子供を育てた頃は、その同じ店の前にバギー置き場があり、みんなそこに子供ごとバギーを置いて、買物してたそうです。)

先に書いた大阪の乳児と幼児の放置事件にしても、泣き声だとか聞こえるし、イギリスならば絶対近所の人が警察に通報して、 すぐにドアをぶち割って中に入って、子供達を救助したと思いますよ。もっともこの事件のときも、近所の人は何人か別々に通報していたらしいんだけど、誰も何も措置を取らなかったということでしたが。

イギリスだって日本ほどの頻度ではないけど、たまに折檻死などがニュースになります。イギリスの場合はさらに最近は、アフリカの黒魔術関係の児童殺害が問題になってます。だからこれは日本が悪くてイギリスがいいという話ではないんです。

でも、ネグレクト死・・・というのはイギリスではめったに聞きません。というか聞いた記憶は一度もないですね。 これはどうしてかというと、上記のように、子供をほったらかしにしたり、ネグレクトの様子があったり、いつまでも泣き声が止まなかったりしたら、イギリス人は躊躇無く警察に連絡するし、こういう問題専門の機関がすぐに介入するからです。

うちの子供たちが赤ちゃんのときはお尻に蒙古斑があったのですが、ホームドクターが、「ああこれね。これ家庭医や看護婦、保健婦の試験によくでてくるんだよね。」と言ってました。折檻によるあざと混乱しないためにだそうです。看護婦や保健婦は、ちょっとでも怪しければ折檻を疑うようにトレーニングされているからです。

日本では、「母親なんだから、子供が可愛くて当たり前。」「母性本能があるから誰でも育児ができる。」という思い込みが社会全体にはびこっているんじゃないのかなあ。でも母親といってもいろんな事情や状況があるし、母子家庭やら若いお母さんやら、育児ノイローゼやら実家からのヘルプなしでの子育てやらで、誰もがスムーズに子育てができるわけじゃないんです。

もちろん大半のお母さんは、だんなが手伝わないとか実家が遠いとか何がしかのハンディはあっても、何とか髪の毛を振り乱して育児するわけですが、それができない人もいる。その辺の認識が日本は薄い・・・・というか、そんなことは「甘えだ 」といって、まともに問題として取り上げない風潮があるんじゃないでしょうか。

イギリスの場合は、基本的に「子供は常に親からの危険にさらされてる。」という前提で物事が成り立ってるようです。もしも赤ちゃんが突然死したら、まず親が一番先に疑われます。家で転落事故があったりして医者に連れて行っても、遠まわしにいろいろ質問されます。若くて母子家庭のお母さんだけが 子供に危害を与えるというわけではありませんからね。

警察や医療関係者だけでなく、普通の人たちもちょっとでも疑ったら、すぐに通報しないまでも、それとなく監視したり注意したりすると思います。日本でもそうかもしれない。でも日本だと「おせっかいかな」とか「大きなお世話かな」とか、遠慮もあるかもしれない。イギリスの場合は、こと子供に関することならば、おせっかいを承知でなにかアクションする人が大半だと思います。

子供を親だけで、夫婦だけで大切に育てられるっていうのは、幸せなことなんですよ。でもそれができない人もたくさんいる。そういう親は悪人・・・だとか言うディベートの前に、まずとりあえずは、子供が親の手で危害が加えられるという悲劇だけは避けられるような社会に日本もなってほしいです。

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6 件のコメント:

本読みと山歩き さんのコメント...

このニュースは我家庭でも話題になりました。
5ヶ月の赤ちゃんをこの暑い夏にほっとくなんて…信じられない。
昔、妻が娘を間違って車に閉じ込めてしまい、JAFを呼んで待っている30分、気が狂いそうだったと妻が言っておりました。
とても信じられないとのコメントでした。
 子育てが出来る親と出来ない親がいるのは確かでしょうね。
出来ない親が増えるように道徳教育にもっと力を入れてほしいな~。
社会もその子供を救えるような、人間関係を大事にする社会を(イギリスのような)造る努力をせねばいけませんな~。
これも、人間らしい社会を実現する教育と社会システムを造らんとね。

お子さんには蒙古斑があったんですか~。
昔、中国で仕事をしていた頃、もめると、夜飯を食べながら、「俺たちは、同じ蒙古班があるモンゴロイドじゃないか」などと仲直りをしたものです。
この班には、結構 へんな思い入れがあります。(笑)

匿名 さんのコメント...

昔から良く感じていたのですが、日本人は子供は親の所有物であるからよそ様の子供のことに関して口出ししないという概念があるのに対して、イギリス人には子供とは社会の資産であるから親が誰であれ保護するという考えがあるようです。それでも毎朝凝った手作りのお弁当を作っている日本のお母さん達と、簡単なサンドイッチを作っているイギリスの母親軍を比べるとやっぱり日本の母には尊敬してしまいます。

Atsuko さんのコメント...

山歩きさん、私も奥さんとまったくおんなじことをしてしまいました。こういうことってよくあるんですね。本の
1分くらい2歳くらいの娘を車に置いたまま店の中に入ったら、でてきたら車が移動していたこともありました。なんと、彼女がハンドブレーキを下げてしまったんです。坂が本の少しで終わったので大事には至りませんでしたが。

育児がどれだけ大変なことか、周りの人の手助けなして成し遂げるのはほぼ不可能に近いくらい大変ということが、イギリスのほうがよく理解してると思います。なのでサポートシステムも多いし、育児失敗の惨事を食い止めるシステムもできてるんじゃないかな。日本でも育児ノイローゼの女性はすごく多いと思いますよ。そういう人が孤立すると、すごく危険なことになる気がします。

Atsuko さんのコメント...

匿名さん、そうですね。親子心中でも日本では「可哀想に」という目で見られますが、こちらでは自分の子供を殺す鬼以下の非人間という見方がされますからね。そういったレベルではないにしろ、日本だと自分の子供を人前で堂々とけなしたりだとか、「自分の子供だから何を言っても自由。」みたいな感じはありますね。

私もサンドイッチ派です。しかもそれすらも、毎晩「明日のお弁当作るの面倒やなあ。」と思って寝ます。でもまあまあいいお母さんだと自負してますよ。

あくあ さんのコメント...

自分では考えられないけど、世の中にはそんな人もいるんですよね。子供ってやることやって、対処せずにほっといたら産まれてきちゃうから、本来母親になる能力のない人が産んじゃうってことがあるんでしょうね。

それと最近はいじめの話がよくマスコミに登場してます。今まで伏せられていたのが噴出してるようですけど、いやー悲惨ですよ。前からこんなんだったのか、最近のことなのか・・・。私が中学生の時も、かみそりで人の顔切ってる不良とかいたからなぁ。

Atsuko さんのコメント...

あくあさん、私も自分が子供を持つまでは、きっとそういう悪い母親は異例な特殊な人間だと思っていたと思います。でも自分で子育てして、乳児と一日中向かい合って過ごすのがどんなに孤独で退屈かも分かりました。だからほんのちょっとしたことで育児ノイローゼにかかるということも納得できます。
この大阪の人の例なんかでは、母親を弁護するわけじゃないけど、彼女を助ける人がいなかったことのほうが腹が立ちますね。
いじめ、私が中学のころも、暴力的なものから陰湿なものまであって、もうあれから30年以上たってるから、改善してるものとなんとなく思ってたんだけど、そうじゃないんですね。