2018年6月11日月曜日

グレンフェル・タワーの火事 1.

ロンドンの高層住宅の大火事で多くの人が亡くなってちょうど一年になります。半日くらい火が収まらなくてどんどん燃え上がり、それがテレビで生で中継されていましたから、日本でもテレビで見た人も多いと思います。結局70人以上の方が亡くなったのですよ。それに関する公的ヒヤリングが最近行われ、これも話題になっていました。

この事件は、私にはちょっと信じがたい出来事でした。火災になってもこんなに長時間燃え上がり続け、たくさんの人が救出されず亡くなるなんて、21世紀に起こるような事件だとは思えません。

そもそもイギリスは、火災予防に対する法律は厳しいものだと思っていました。例えば、普通に個人が賃貸で家を貸し出すにも、カーテンとかソファーとか、燃えない素材のものをそろえないといけません。ファイアードア(締め切ると最低でも30分は火災を遮断できる)とか非常口とかの規制も厳しいんです。賃貸、持ち家にかかわらず、煙報知機は一般家庭に浸透しているし、2階建ての我が家でも3つもあります。 一般に家の安全基準は厳しいです。

今回、この高層住宅の一軒の家の台所で始まった火事がこんな惨事になったのは、ビルの外側に張り付けたクラディングというもののせいだと言われています。

こういった公団の高層住宅は1970年代に建てられたのですが、それから40年以上経ち外観がかなり悪くなってきました。それを手っ取り早く改善するために、クラディングという工事が行われました。これは要するに、外壁にパネルのようなものを張り付けて、見かけをよくするというもの。

このクラディングの材質があっという間に燃え上がる材質で、これが今回の惨事の原因となりました。この材質の適正については、火災直後からそれが原因ではないかといわれてましたが、今回のヒヤリングで、「熱されて溶け、石油のような燃料と化した。」と明らかにされました。

これって、火災当時から、私のような素人が見てもすぐに感じました。コンクリートの外壁自体は不化燃性でも、そこに段ボールみたいなもの貼り付けたらいかんだろうって。

いろいろ書きたいことがあるんですが、よく考えて書きたいので、今日はこの辺で。明日続きを書きます。

ではこちらもよろしくお願いします


2 件のコメント:

直子 さんのコメント...

イギリスの火災防止の法律って一見厳しいように見えるけれど、これは表面上だけだと思います。例えばLONDON Building Actという火災防止を目的に作られた法律があるのですが、なんと5年前に一部改定されていたのです。この法律が元のようであればグレンフェルタワーの悲劇は避けられていたと行う見方があります。しかしこのLONDON Building Actって17世紀のロンドン大火の後、セントポール寺院を設計したクリストファー・レンの提案で作られた法律なのに、この昔の教訓を無視して地方政府の住宅負担を軽くするために改定されてしまって多くの方が犠牲になった、誰か責任を取るべき。

Atsuko さんのコメント...

直子さん
その話知りませんでした。今回のヒヤリングで出てくるかもしれませんね。
責任。そうなんですよ。今のところ、醜いくらいの責任の擦り付け合いですよね。
昔直子さんが住んでいた場所、グレンフェル・ロードとか、そんな名前じゃありませんでした?それで、もしかしたらあのあたり?と、火事の当時思ったのですが、全然違う場所でほっとしました。