2011年12月29日木曜日

読書感想 Outliers

Malcolm Gladwell  という著者のOutliers-the story of successという本を読みました。成功についての話というので読んだのですが、思ったよりもずっと面白かったです。成功といっても億万長者になった人の話しばかりというわけではなく、いろんなケースが人類学やら心理学やらいろんな側面から語られていました。

面白い話がいろいろあったのですが、そのうちのいくつかを何度かに分けて書いてみたいと思います。

あるアメリカの音大で、バイオリン科の学生を3つのグループに分けました。グループAは将来世界的な音楽家になるであろうと思われる学生、Bはプロとしておそらくやっていけるであろうというグループ、そしてCはプロになることは無理で、おそらく学校の音楽の先生になるであろうというグループです。

それぞれのグループに、今まで子供のときからすべて総合して、何時間くらいバイオリンの練習をしたか聞いて見ました。するとはっきりとしたパターンが現れました。

グループAは10000時間、Bは8000時間、Cは4000時間でした。これは才能だとか家庭の社会経済事情などにまったく関係なく、ただただ今まで費やした時間だけが、レベルの差になっているとのことです。

それでこれと同じような調査を他のジャンルでも調べたところ、次のような結果がでました。

練習が必要になるような複雑な行為は、それがスポーツであろうと音楽であろうと創作であろうと、ほぼ例外なく、一流になるには10000時間の練習が必要とのことでした。

いろいろ例も出ていました。ビートルズは駆け出しの頃ドイツのハンブルグによく出稼ぎに出かけ、そこのナイトクラブで、何週間も続けて、週7日間、一晩8時間以上も演奏したそうです。10週間とすると、560時間ですね。これを年に3回、3年間したとしたら、これだけで5000時間くらいになります。初心者の頃の練習の時間も入れたら、有名になるころまで10000時間くらいは演奏しただろうということでした。

ビルゲイツの話も出てました。裕福な家庭出身の彼は、私立の中学に行ったのですが、そこで彼はコンピューターに出会い夢中になり、それからというもの寸暇を惜しんでプログラミングに励みました。といっても時は60年代の後半で、生徒がコンピューターを使えるような学校は、世界中にここくらいしかなかったんじゃないかとのことです。その後、いろんな学校や大学、企業や機関と交渉したり頼み込んだし泣きついたりして、学生時代の彼はプログラミングをし続けました。やがて大学2年で自らの会社を設立するためにハーバードを中退する頃には、10000時間をゆうに越える時間をプログラミングに費やしていただろうとのことです。

でもモーツアルトなんかの天才の例もあるだろうと思うでしょうが、これにも触れられています。

逸話ではモーツアルトは4歳で作曲したとのことですが、現代の研究家が調べたところでは、彼が子供のときに作曲したといわれている曲は、父親のものか、それともいろんな曲をつなげてたしたものばかりだそうです。彼の作品の中で今でも評価されているものでいちばん古い物は彼が21歳くらいのときに作曲したものだとか。それまでには彼はゆうに10000時間以上を音楽に費やしているので、、ある意味では早熟などころか、普通の人よりも一人前になるのに時間がかかったくらいだと書いてありました。

この本の主題としては、誰でもが1万時間という長時間をひとつのことに費やせるわけではなく、たとえばビルゲイツの例では、たまたまあの時代にコンピューターを使えたから、今の彼があるわけで、成功とは運と境遇と才能と努力、そのすべての賜物だという話でした。

だからやっぱり成功は運次第なんだな後もいえますが、それでもどんなに天才でも運がよくても、やっぱり10000時間の努力をしないといけないんだなあ。

それにそこまで行かなくても、オリンピックに出られなくても、世界的ピアニストになれなくても、努力すればそれだけ努力に比例して報われるんだなあということは、かなり心強くなる発見でした。

また続きを書いてみたいと思います。

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2 件のコメント:

あくあ さんのコメント...

いい話ですね。すぐに水泳のことが思い浮かびました。週に1時間じゃあかんわな。私も読んでみたいです。アマゾンで買えるかな。たぶん。

Atsuko さんのコメント...

まあでもルイでも初めは週1時間でしたから。だんだん増やしていくしかないんでしょうね。キンドルなんかで買えるんじゃないのかな?