2011年11月3日木曜日

hedge

今年の秋はりんごを使っていろいろジェリー(ジャムのようなもの)を作るのに凝っています。りんごだけではつまらないので、ミントやチリなどをいろいろ組み合わせているのですが、最近ローズヒップ、ブラックベリー、スローのジェリーを作りました。この3種類の木の実はどれも自然に生垣に生えています。ブラックベリーはそのまま食べてもおいしいのでいちばんよく知られていますが、あとの二つはそのままでは食べれないので、私のように物好きな人がせっせと生垣沿いを散歩して、集めます。

それのことについては今まで何度もこのブログに書いたのですが、そこでごく普通に「生垣」と言う言葉を使いましたが、きっとそれでは伝わらないだろうなあと思っていました。英語ではHegde、もしくはHedgerowといいます。でもアメリカにはHedgeは存在しないと言う話も聞いたことがあります。

まずどんなものか、古いですが写真を載せます。

この道の左右の生垣です。


テントの後ろに生え続いてるのがヘッジ


この道の脇にあるのがHedge です。で、雪の写真だとよくわかると思うのですが、遠くの雪に覆われた草地の仕切りとなっているのがこのHedge です。

役割としては、道と草地や農地を隔てる境界だったり、草原と草原の間の境界だったりします。イギリスならどこでもあるかというと、たぶんあることはあるんだけど、ヨークなどの北部に行くと、生垣の代わりに石垣が多くなります。

これだけなら別にどうってことないんだけど、実はこの生垣がイギリスの自然界のバランスを保つための役割は計り知れないくらい大きいのです。

私が住んでいるデボンはとくにこのヘッジの多いことで有名です。デボンでは土が高く盛られてその上にヘッジが生えているのですが、このスタイルのヘッジは「デボン ヘッジ」と言う名前まであります。このデボンのヘッジについてのウィキからの記事をちょっとかいつまんで訳します。

デボンのヘッジは距離にして53000キロもあり、イギリスのどの州よりも長く、(イギリスで2番目に大きい州なので当然かも。)そしてそのうちの4分の一以上は800年以上も存在するヘッジだそうです。そのせいもあり、 野生動物が多く棲むヘッジの20パーセントはデボンにあり、600種類以上もの野生の花、1500種類の昆虫、60種類の鳥、20種類の哺乳動物がデボンのヘッジで見られます。

この古いって言うところがすごく意義があるんだと思うんですよ。ヘッジというのは境界という実際の役割がありますから、時々はトラクターで刈られたり手入れをされるんですが 、それはせいぜい年に一回のことで、それ以外はほったらかしです。800年もその状態で木が育っているのですから、何種類もの自然が栄えるのは当然と言えば当然です。

私の家の裏には2000坪くらいの庭兼草原があるのですが、これも当然回りは古い古いヘッジで囲まれています。特にうちの場合はごく最近まで近寄れないくらい放ったらかしの野生の王国状態でした。距離にしたら1キロ弱くらいあるかなあ。

昨日と今日はローズヒップとスローの実を捜して、ぐるりとヘッジ沿いに歩きながら、じっくり観察しました。こうしてみると食べれる実だけでも、他にエルダーベリー、へーゼルナッツ、ビーチナッツがありました。しかも、今まで食べられないとばかり思っていたこの時期山程なっている赤い実も、実はジェリーにできることがわかりました。食べるだけじゃなくて、冬には私は趣味で細い若い枝を切って籠を編むし、本当にヘッジって奥が深いし生産性が高い。しかも一体何の木が生えてるのかわからないんだから、まるで宝箱のようなものです。

そうそう、昨日ヘッジ沿いを歩いていて、家の近くの生垣の奥のほうに クリスマスツリーのもみの木が5本くらい植わってるのに気がつきました。そういえば数年前、このすぐ近くでクリスマスツリーが生えてているのを発見して、切って家に飾ったことがありました。この木はイギリスの自然の木ではないはずなので、きっとこの家の前の持ち主が植えて、それが野生化したヘッジに覆われて今まで気がつかなかったのでしょう。

この周りの生垣の木を切れば、このもみの木は元気にもっと成長すると思うんだけど、その件についてはまた写真入で報告します。

今日取ったスローの実もチャツネ(スパイスの効いたインド風ピクルス)にするつもりですので、そちらもまた報告します。

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4 件のコメント:

コロボックル さんのコメント...

佳い話を読ませてもらいました
日本でも似たような杜があります
鎮守の森です。ですが、それもだんだんに少なくなって...

古い林 貴重な宝物!
だいじに大事にしたいですね

Atsuko さんのコメント...

コロボックルさん、コメントありがとうございます。
本当にこういう古い林や生垣は宝物ですよね。木の寿命って長寿と言われる樫でも150年くらい、普通は100年くらいだそうですが、800年なんて木が8世代ですからね。その間一体どれだけの野生動植物がそこを棲みかとしたのか。

鎌倉時代くらいからあるヘッジがまだそんなに残ってるなんて、やっぱりすごい。

本読みと山歩き さんのコメント...

興味深いテーマでした。
イギリスでは13世紀頃から「囲い込み運動」が始まり、その後に農業革命とともに土地の私有化が鮮明になってきます。
 生垣もその名残りかと思いますが、歴史がすすめば、それもまた自然の一部になっていくんですね~。
 う~ん おもしろい。学術的なテーマでした。

Atsuko さんのコメント...

山歩きさん、普段はヘッジに囲まれて生活しているから考えたこともなかったのですが、最近になって野生の植物探しをするようになって、ヘッジって奥深いような気がしてきました。
13世紀から。なるほど数字がぴったり合いますね。囲い込み運動ってなんでしたっけ?学校でやったはずなのかな?

今からまたヘッジ沿いの散歩に行って、木の実を集めてきます!