2016年10月14日金曜日

イギリス人の戦争観、在英日本人の方たちには特にぜひ御一読いただきたいこと

イギリスで生活しているとたまにしみじみ実感することですが、戦争、特に世界大戦に関する認識が日本とぜんぜん違うようです。簡単に言うと、イギリスでは戦争を、「祖国と正義のために戦う勇敢で栄誉ある行為。」と捉えているように感じられます。

ま、確かに第二次世界大戦は、日本とヨーロッパはまったく別の戦争を戦っていたようなもので、ヨーロッパ人にとっては「ユダヤ人のナチからの解放」がすべてです。ですから、勝戦国でもあることだし、戦争とは栄誉あることなのですね。

敗戦国であり、基本的にぜんぜんほめられる点のない日本国軍の行為と比べると、それは仕方のないことかもしれません。

先日、ある裕福な老女の会(ライオンズクラブの女性版みたいなもの)でスピーチを頼まれました。趣旨はヨガ関係だったのですが、日本のことも話して欲しいということで、少しだけ戦争の話になりました。太平洋戦争では、広島長崎ばかり知られているけど、それに至るまでにも、考えられないような悲劇が何年も続いたのですよということを、数分でちょこっと触れたのです。

するとそこである女性(70代くらい)に言われたことです。

「日本ではそうやって、戦後からずっと、戦争の悲劇を語り続けているのね。イギリス人も徴兵でたくさんの若者が亡くなり、空襲もあり人々は苦しんだけれど、イギリスではそのことを口にしてはいけないような風潮が最近まであったの。戦争で戦うことはあくまでも栄誉ある行為で 、その悲劇を口にすることは、裏切り行為的に見られかねない風潮。

それがやっと最近では、戦争の悲劇を語ることが許されるようになってきたようだわ。」

これには、本当に目からうろこが落ちる思いでした。イギリスに長く住む日本人は、多かれ少なかれ、私と同じような、腑に落ちない感覚を、戦争に対して持っていたんじゃないかと思います。どうしてあんな悲惨なことが、栄誉あることと捉えられるんだろうって。

でもそうじゃなかったんだなあ。やっぱり人間は同じなんだな。

イギリスは勝戦国であったがために、 且つ、ナチスドイツという悪と戦ったために、戦争の傷を隠すような風潮になったということでしょう。

これは私の中ではすごく大きいわだかまりだったので、すごく重要な出来事でした。

ではこちらもよろしくお願いします。
 
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2 件のコメント:

nekonasu ねこなす さんのコメント...

戦争に関しては、たしかに戦勝国と戦敗国の立場で大きな違いがありますよね〜。
私がいつもカチンとくるのは、例えば、イギリスの植民地はcolonisationとなるのに、日本の場合はinvasionとなること。
同じように資源や土地目的で他国に攻めて入ったものなのに、イギリスの行為は正当化するような表現をすることです。
はっきり言って、イギリスをはじめとする西欧の方がアフリカやアジアなどを勝手に占領して、そのあと自分たちの都合のいいように国境を設定して内戦の種をまいて、今でも中東からアフリカにかけて起きている問題の原因になっているのだし。
それに、アメリカやオーストラリアだって、先住民を迫害して国を作ったわけですよね。
そういう風に見ると、西洋の視点から歴史が書かれているな、と思います。

ボブ・ディランの受賞、ビックリしましたが、スッと納得しました。(↓)
受賞が発表されたとき、周囲がザワついていましたが、反発する人もいるのかな、やっぱり。

Atsuko さんのコメント...

ねこなすさん、
私もその植民地の件、すごく思うのです。昔イギリスで経済の歴史を勉強してたとき、イギリスがインドを植民地にしたことで、インドがどれだけ経済的に成長したかばかりが強調されていて、納得できませんでした。元大英帝国は、今でも輝かしい歴史という捉えられ方だし、それが今ではコモンウエルスとなり、嬉々としてオリンピックもどきのことしたりしてるし。

文学賞の発表、テレビでご覧になったのですか?あれって、本人どう思ってるのかな、興味あります。